アイコン EV 中国勢先行の安価なLFPバッテリーに韓国勢も参入へ


LGエネルギーソリューション(LGES)は、中国のバッテリーメーカーが先行しているリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー市場に参入すると発表した。

これに先立ちSKオン(SKイノベーションから電池事業を分離した新会社)もLFPバッテリー開発計画を発表しており、韓国バッテリーメーカーの中低価格バッテリー市場への参入が本格化する。
LGESは10月25日、親会社であるLG化学の7~9月期業績説明会でこうした事実を公式に明らかにした。LGESはすでにLFP正極材を開発し量産している。素材の長所を考慮して、空間と重さの制約がなくコスト競争力が重要なエネルギー貯蔵装置(ESS)市場に優先的に適用するため開発している。

SKオンに続きLGESがEV用LFPバッテリーの開発を検討するのは世界の自動車メーカーが低価格モデルに価格の安いLFPバッテリーを導入していることによるもの。
LFPバッテリーは高価格なコバルトの代わりに安い鉄を使い、韓国勢が注力する三元系バッテリーNCM(リチウム・コバルト・マンガン)などに比べ価格が20~30%ほど安い。

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最近起きているこうしたレアメタルの原材料需給問題や価格高騰を克服するためにもLFPバッテリーが事業多角化で有利だとの評価も出ている。
これに対しLFPバッテリーは、エネルギー密度が低く長距離走行には適していないという短所もある。現在LFPバッテリーはCATLとBYDなど中国企業が主に生産している。

世界のLFPバッテリー市場は最近急速に成長中。市場調査会社のウッド・マッケンジーは世界のバッテリー市場でLFPが占める割合が2015年の10%から2030年には30%に大きくなると予想している。
LFPバッテリーはNCMバッテリーと比べ原価競争力があり、低価格電気自動車(EV)分野に採用が拡大している。ただLFPバッテリーの短所を克服するため、コバルトフリー基盤の低コスト正極材を開発する必要もある。

LFPバッテリーは正極素材にリン酸鉄リチウムを使用することで安全性を高めてもいる。弱点の馬力不足については、中国製LFPバッテリーを搭載しているテスラ・モデル3の場合は幾分かソフトウェアで改善させ、充電時間も高速充電を可能にしている。

車両価格に対するバッテリーコストが1/3以上と高く、EVメーカーにとってバッテリーコストを下げる必要がある。
バッテリー専業メーカーの韓国勢3社の利益はまだほとんど出ず、儲かっているわけではない。LGESの場合、搭載したGM-ボルトで火災が発生、これまでに販売された14万台あまりのすべてをリコールするが、その費用は2千億円に達し、8割方LG側が負担する。製造上まれに発生する不良のためバッテリーに問題が生じ火災を引き起こしているとされ、14万台あまりを最新版のバッテリーに積み替えることから、膨大なリコール費用となっている。バッテリー専業メーカーはこうしたリスクも抱える。
以上、

日本のバッテリー専業メーカーはパナ社を除き蚊帳の外どころかその立つ位置にもいない。世界をあっと言わせるEV用電池を、国が銭を出し産学官が協力し合って開発してもらいたいものだ。


 

[ 2021年10月28日 ]

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