アイコン 大宇造船海洋 韓火(ハンファ)が買収契約完了


韓国がIMFにお世話なったアジア金融危機、当時崩壊した旧大宇財閥系の大宇造船海洋、政府系の産業銀行が破綻以降経営しているが、2015年には、産業銀行から派遣された経営陣が大粉飾を露呈させ大赤字計上、政府と産業銀行が緊急支援した経緯がある。
大宇に手を焼く政府は早期売却を図り、現代重工と統合させようとしたが、EUが独禁法により統合を承認せず実現しなかった。そこで出直しの売却、軍需企業のハンファが手を上げ2兆ウォンで決着、契約に漕ぎ着けた。大宇は2兆ウオン分増資してハンファは、それを引き受け49.3%の筆頭株主になり、ハンファ傘下とする。

しかし、大宇は2~3年前の鋼材価格が安価なときに受注した案件が現在、引き渡し時期に入り、昨年期の大宇は1兆6998億ウォンの大赤字を出し、さらに今期も大赤字必至、来年はどうだろうか。
現在、ベトナムからの労働者派遣が不正申請から凍結され、12月半ばには認可されるというが、溶接工の労働者不足から2ヶ月以上建造遅れが生じている。そのため、労賃も上昇し、引渡し遅れでは高額な違約金も生じる。それに加え、大宇の場合、組合が強く、今年6月にも50日間のストを敢行していた。そうした労働組合もハンファが引き継ぐことになる。

 

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現在、韓国造船3社勢は、カタールから5年間で60隻受注(今後の発注計画分/7~8割は韓国勢受注予定)を予定するなど、ロシアの天然ガス制裁によるLNG需要が急拡大、世界一の天然ガス産出国の米国も現在LNGプラントの大型工場を建設中で飛躍的に欧州へ輸出できるようになり、海運大手からのLNG船の受注が急拡大してきていた。(天然ガスはマイナス153度にしてガスを液化した状態でしか運べない)

すでにカタール政府から5年計画で韓国3社だけでも計2兆円相当のLNG船を受注している。(受注したことから5年間LNGの建造キャパ余力が0だという)順風満帆だが・・・スチール(厚板)相場が気になる。
(カタールの船舶計画では、すでに日本郵船と中国の造船会社が共同で5隻受注している。また4000億円ほどのLNG船を中国が受注している。)
(今年7月現在の受注価格は1隻当たり3,200億ウォン前後/330億円前後)
LNG船の受注船価は2021年7月から上昇し続けており、22年6月までに20%上昇し、その後も上昇している。
一方、2021年6月以前は2017年6月から上下5%以内の小動きだった(英クラークソン)。

特に大宇は財務体質が脆弱で、ハンファもミサイルや弾薬類が大幅な生産増にならなければ、巨大な大宇を買収しても成功するとは限らない。
そうした中で、ウクライナの弾薬が底を尽き始めており、米国から10万発の155ミリ砲弾の発注が韓国にかかっている。韓国は米国に販売することからウクライナへ投入されることに関しては関与しないしている。ハンファが韓国での弾薬の第一人者、大儲けすることになり、積極的に大宇の買収にも動いていたものと見られる(韓国内の砲弾が不足すると懸念されている)。

ハンファは2008年にも大宇の購入に動いたが、リーマンショックで買えず、購入希望者がが外資だったため軍艦を建造することから韓国政府が売却を認可しなかった経緯がある。

大宇は政府系ということもあり、戦艦や潜水艦を優先的に受注してきたが、韓国の場合、日本と異なり、他国へ売却することも含めて発注予算を決定することから、軍艦といえども大きな利益を得ることは難しい。

日本の軍艦建造の造船会社は多くの天下りを抱えていることから、軍艦が利益の塊となっており、三菱重工の造船部門はすでに商船建造は失敗や受注のたたき合いで儲けられず実質撤退している。先日は軍艦さえ納期遅れになっていた。

LNGの受注残では、船舶は丸型ではなく、フランスGTT社の特許を使用して大容量を積載できる平型ボディのLNG船を製造していることもあり2021年は発注の94%を韓国勢が押さえている。
(平型は仏GTT社が開発、しかし、韓国勢は独自に開発したと認めなかったものの、国際係争裁判所に訴えられ敗訴、特許使用料を支払い、今後、1隻あたり約10億円の特許使用料を支払うことで合意している。韓国政府は別途独自に開発し、GTT社の呪縛から逃れる研究開発を進めている。しかし、特許は隅々まで張り巡らせされており無理だろう。)

ハンファはグループが出資して2兆ウォンを調達する。
「ハンファエアロスペース」が1兆ウォン
「ハンファシステム」が5,000億ウォン
「ハンファインファクトパートナーズ」が4,000億ウォン
「ハンファエネルギー」など計3社が1,000億ウォン。

かつて造船は世界一であった日本、アベノミクス時代に急激にシェアを落としている。日本の3大商船会社も韓国や中国へ超大型船を発注している今の時代となっている。政治に将来計画がなくそのため日本は半導体も蓄電池も何もかもなくしている。米国様から言われるままに。

↓スチールの先物相場/トン/中国元/(船舶鋼板は厚板・・・参考のため)
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[ 2022年12月19日 ]

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