アイコン 韓国のGDPと半導体 22年10~12月期と輸出動向


韓国の10~12月期の実質国内総生産(GDP)は前期比▲0.4%減だった。
新コロナパンデミック勃発の2020年4~6月期以来、10四半期期ぶりのマイナス成長となった。
リベンジ消費に一時燃えた消費も物価高にマイナス、輸出不振も響いた。

輸出不振は続いており、1月の輸出額は前年同月比▲16.6%減の462億8千万ドル(約6.2兆円)と4ヶ月連続減となった(今年は春節が1月で韓国含む中華圏の稼動日数不足も影響)。
貿易赤字も126億5千万ドルと、月間基準で過去最大となった。
主要品目では
半導体が▲44.5%減
鉄鋼が▲25.9%減、
石油化学品が▲25.0%減
など多くの品目で不振が目立った。

 

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地域別では、
対中輸出の減少率は▲31.4%に拡大、
対米輸出も▲6.1%減とマイナスに転じた。

2月の輸出も前年同月比▲7.5%減の501億ドル。昨年10月の▲5.8%以降、5ヶ月連続の輸出減となっている。引き続き半導体の▲42.5%の輸出減が響いている。
韓国勢が得意とするメモリ半導体は、SK含め世界大手各社が減産し在庫調整に入っているものの、世界最大手のサムスン電子は我が道を行く政策により減産せず、各社の在庫調整が長期化している(2月になりサムスンも実質減産しているようだが具体的な発表はない)。
以上、

一昨年は韓国の輸出の20%を占めた半導体関連の輸出、世界各国がウィズコロナ策への転換により新コロナ需要の反動と米国をはじめとするインフレ退治の高金利での景気後退により、韓国勢が得意とする汎用性のあるメモリ半導体の需給バランスは崩れ、半導体サイクルのどん底にある。
半導体の輸出ピークは2021年夏~秋だったことからその反動減が続いている。単価下落も大幅となっている。

ただ、中国経済は昨年3月からの上海ロックダウンなどから港湾遅滞、サプライチェーン寸断など経済は、昨年12月のゼロコロナ策解除までどん底、その後は、春節明けの2月から百花繚乱状態になっている。
ゼロコロナ策下での大幅な個人の貯蓄増もあり、国内消費が景気を牽引する動きにある。

だが、中国の輸出は今後とも欧米の需要低迷により大幅な伸びは期待できない見込み、スマホ需要など電子製品の回復は内需中心になり輸出の伸びは限られるものと見られる。

欧米経済が好調ともなれば、高いインフレ率が続き、インフレ退治の金利はさらに上昇し続け、それも長期化することが予想される。
インフレ退治策で下がってきた資源や穀物等の国際商品価格が、ここにきて中国の経済回復により上昇機運にあり、先が見えにくくなってきている。6月にも原油は逼迫してくると予想している米大手行もある。

資源のない日韓はともに中国と米国の経済動向に大きく左右され続けることになる。
東南アジアの経済堅調は外資企業の生産活動と資源高が寄与している面が大きい。

22年の韓国の集積回路
韓国の2022年の半導体集積回路の輸出先は、
中国が43.3%、
香港が15.2%、
ベトナムが13.7%となっており、
実質、中国が58.5%、

集積回路半導体の輸出中、55.0%を占めるメモリ半導体では、
中国へは香港(20.2%)も含め71.6%
と圧倒的な輸出量となっている。

スマホだけ見た場合でも、世界では中国での生産量が圧倒しており、韓国勢はそうした外資や中国企業のスマホメーカーの工場向けに大量に半導体を納品している。

2023年の不確実性、
米国が昨年10月の対中制裁を実施した最先端技術の輸出統制にあり、また、米国内での半導体新工場に対するChips法に基づく政府補助金の対中条項にあり、さらにインフレ退治の高金利政策が欧米経済を低迷させ、搭載される電子製品の需要を減少させることにある。

(サムスンは中国西安市に巨大NAND工場を、SKは蘇州市にDRAM工場とインテルから買収した大連NAND工場を有している。/西側の最先端の半導体製造装置などが対中輸出規制対象/Chips 法の補助金では補助金受領企業は、自社の中国工場に対する新規投資規制)

一部は、中国経済の回復により相殺されようが、米バイデン政権は結果としてインフレを煽る経済対策を採り続けており、高金利策が長期化するほどに世界経済は長期的かつ深刻なダメージを受ける。
米国の巨大ICT企業が挙って人員削減に及んでいるのも、インフレの沈静化にも、経済回復にも時間がかかると見て対応しているもの。

2022年後半以降、韓国にとって最大の輸出市場である中国における半導体需要の減速が、韓国の集積回路半導体の輸出、さらには輸出全体の伸びを下押ししている。
そうした状況下、韓国の半導体産業の先行きの不確実性をさらに高めるのが、昨年10月、米国商務省・産業安全保障局(BIS)が導入した半導体関連製品(物品・技術・ソフトウエア)の輸出管理規則(EAR)強化措置である。

こうしたトランプ~バイデンにいたる米国の一連の対中政策は、貿易赤字問題から安保等地政学的なものへと変遷しており、一方で、米国は、アメリカ№1・バイアメリカン主義、米国中心主義の保護貿易主義に大きく傾斜している。

2016年に中国が執行したEV補助金制度、補助金対象のEV用バッテリーを中国当局は認可制を採用して、実質、韓国勢など外資系バッテリーメーカーをパージ、国産メーカー最優先主義を執行、結果、CATLやBYDとういう巨大バッテリーメーカーを誕生させた。米国はそうした動きと酷似している。

韓国勢のバッテリーメーカーは米国のお誘いに挙って巨大バッテリー工場を独自や合弁で、米国内10ヶ所あまりで建設中であるが、関連産業を含め米国のGDPを大きく押し上げても、韓国のGDPを押し上げる効果は微々たるもの。サムスン電子の米国の新半導体工場も同様である。
韓国の半導体企業は、これまで在中国の多国籍企業および中国地場企業の旺盛な半導体需要を満たすことで成長してきた。
しかし、今後は、米国の対中半導体の輸出管理規則による影響が避けられない。
韓国の半導体産業がグローバルバリューチェーン変革時代に直面、特定国への過度な依存を再編成する必要がある。

経済グローバル化の終焉、進む経済・政治のブロック化。
資源国と非資源国の偏差値拡大。

ロシア制裁国とロシアとの経済交流国、
かつて世界にはモンゴル帝国、オスマン帝国、スペイン帝国、大英帝国、ロシア帝国、大中華圏、いずれも久しくこの世が続くと思われていた・・・幻想に過ぎなかった。

祇園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、
ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
ひとへに風の前の塵に同じ。

 


 

[ 2023年3月 3日 ]

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