アイコン 黒鉛はEV陰極材に大量不足 新規鉱山開発続く


BMOキャピタル・マーケッツの予想では、EV販売は2030年に3500万台に増える見通し(年車両生産台数:8500~9000万台)。
黒鉛はEV1台あたりEV用バッテリーの陰極材(アノード)用に50キロ~100キロが必要

コンサル会社のプロジェクトブルーの予想によると、黒鉛はこれまで鉄鋼用(電炉の黒鉛電極)が主用途だったが、2023年には車両用と半々にまで車両用が急増すると見られ、30年までには世界で77万7千トン不足する見込みだという。
今後も冶金様に黒鉛需要は増加するとみられている。

ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス(BMI)の報告書では、需要を満たすためには30年までに約120億ドルを投資し、35年までに新たに鉱山を97ヶ所開発する必要があるとしている。

 

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ネクストソース・マテリアルズ社はマダガスかル鉱山に増産の委託をなしている。
テスラ社は、黒鉛確保の先陣を切り、豪マグニス・エナジー・テクノロジーズや、モザンビークで鉱山を運営する豪シラー・リソーシズと既に契約している。

中国の驚異・脅威
BMIによると、現行、中国の天然黒鉛生産は世界の61%、EV・アノード用の精製済み黒鉛に至っては98%のシェアを有している。
中国は球状精製黒鉛で100%の市場シェア、BMIによると、2032年でも市場支配シェアは79%と非常に高いものとなっている。

人造黒鉛
黒鉛には人造黒鉛もあるが、商品化するにはCO2の排出量が55%以上、天然より大量となり、CO2削減にそぐわず、また天然物の方がEV用電池の能力を高めるという。
人造は、コークス=石炭や石油乾留後の残渣物を超高温(3,000℃以上)処理により黒鉛化を行ったもの。

黒鉛確保遅れた欧米
欧米西側国は、黒鉛は世界各地に産地があり、それほど開発に注力してこなかった。この間も鉄鋼増産による黒鉛需要は旺盛であったが、鉄鋼の生産量の増加は主に中国の増産によるもので逼迫を共有してこなかった、中国はEV用にも大量に必要としてきただけに生産を拡大し続けてきた結果、21年に急に世界でEV革命の販売量となり、今後2035年、2050年に向け、EVは拡大し、バッテリー様に黒鉛需要は拡大し続け、黒鉛も増産し続ける必要が生じている。

EV用電池そのものがリチウムやニッケル、コバルトなどのレアメタルや黒鉛を必要としない高出力の蓄電池が開発されない限り、黒鉛の需給は逼迫し続け、レアメタル同様、向こう25年、中国が金の玉を握ることになる。

リチウムに関しては中国での原石生産量は少なく、豪州と米国からリチウム鉱石を大量購入し、世界一の生産量で安価な石炭の火力電力でリチウム鉱石を溶融し、リチウム金属を抽出し、世界一のリチウム金属を製造しているもの。
米・豪は中国と喧嘩しているようであるが、裏ではいくらでも仲好し小好しの関係にある。台湾・鴻海が中国でIPhoneを生産し、ここ7年間に問題となり生産地を分散しているが、インドなどで現行生産しているiPhoneは20%にもならない。
韓国のEV用バッテリーメーカーは材料の8~9割を中国から調達している。
EV用バッテリーの材量コストは販売価格の75%前後に達し、EV販売が増加するほどに中国の売上高は高まる。
 韓国のサムスン西安のNANDやSK無錫のDRAM&SK大連のDRAM +NANDという中国での生産量は、それぞれ社の生産量の3~4割に達する。半導体にしてもその材料の多くを中国製に依存している。

 すべてが中国で石炭をぼんぼん燃やした燃料の電力で生産された電池や半導体・太陽光発電の原材料が生産されている。
西欧でCO2排出を減らしニコニコしても、中国やインドで倍返し、3倍返しでCO2どころか硫黄酸化物も排出している。温暖化の地球規模での総合対策をせず、近視眼的な政策に興じている。 西欧米は米列強時代と何も変わっていない。
 

黒鉛 産地

中国

鱗状黒鉛

東北・内蒙古・河北

土状黒鉛

湖南省

ソ連

鱗状黒鉛

 

スリランカ

鱗状黒鉛

ボガラ黒鉛鉱山

マダガスカル

鱗状黒鉛

 

北朝鮮

土状黒鉛

 

韓国

土状黒鉛

 

その他

 

 

 埋蔵量

鱗状黒鉛

 

 

土状黒鉛

1億トン

 米国埋蔵量

鱗状 

100万トン

 

土状

1000万トン

 全世界に分布

 

 

 日本

飛騨 

岐阜-富山県境に鱗状

 

↓世界生産量は100万トン台

2021年 黒鉛+グラファイト(石墨)の生産量

中国

820,000

ブラジル

82,000

モザンビーク

 

マダガスカル

 

ロシア

 

カナダ

 

ウクライナ

 

北朝鮮

 

インド

 

その他

 

世界生産量計

 

 

[ 2023年6月26日 ]

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