JR九州 QB浸水問題 JR九州高速船の社長ら3人を懲戒解雇
JR九州は11月26日、古宮洋二社長の報酬を2ヶ月間、3割減額すると発表した。子会社JR九州高速船(福岡市)の浸水隠蔽問題の責任を明確化した。
田中渉同社前社長と前安全統括管理者、前運航管理者の3人は「懲戒解雇」とした。
古宮社長は同日開いた記者会見で「JR九州グループの高速船会社へのガバナンス(統治)が不足していた」と強調した。
一方、自身について退任は考えていないと説明した。
今回の問題で発生した損害は、JR九州高速船の前社長ら3人に賠償請求するという。
JR九州高速船は、24年2月から約3ヶ月半にわたり、博多港と韓国・釜山港を結ぶ高速船「クイーンビートル」を、浸水を隠しながら運航を続けた。
報告書は原因について、再三の運航停止で、営業部門に顧客対応などでさらなる負担を強いることを回避したいという営業上や社内の事情を優先したと分析した。
また、5月下旬の浸水量急増後、浸水を知らせるセンサーを上部にズラしたのは、公式記録として残ることで関係当局に報告する事態になるのを避けるためとした。
今年8月、国交省がJR九州高速船を抜き打ち監査し一連の問題が発覚。
こうした行為は、船舶安全法などに抵触する可能性が高く、船舶の運航会社として安全意識がまったく欠落していると断罪した。
<昨年の罰金刑の違反の浸水事件>
2023年2月11日には、JR九州高速船が経営する対外旅客定期航路事業において、運航する「QUEEN BEETLE」が、運航中、浸水警報装置が作動したため、翌12日にダイバーの潜水により、船体のクラックを確認し、応急処置のうえ、同月14日まで運航を継続させる事案が発生した。
国交省では、上記事業者からの報告を受け、海上運送法第25条に基づく検査を実施したところ、当該クラックからの「船体浸水」を認識したことから、船舶安全法第5条第1項第3号に基づく「臨時検査の受検義務」が生じていたにもかかわらず、未受検の船舶を航行の用に供し、同法第18条第1項第9号に該当したこと、また、事故報告体制が機能していなかったこと等を確認した。
国交省は対外旅客定期航路事業者に対し、海上運送法第25条に基づく検査を実施した結果、船舶安全法等関係法令に違反する事実を確認し、今後、事業者において再発防止策が確実に実施され、輸送の安全の確保が図られるよう、引き続き、厳格に指導監督を行うとしていた。
2023年6月23日、国交省から「輸送の安全の確保に関する命令」ほ受けた。
以上、
JR九州は、青柳-古宮体制が続いているが、JR九州高速船の昨年の浸水問題では罰金刑の行政処分も受けたにもかかわらず、JR九州として何もリリースしておらず、親会社として国交省の行政処分を軽く見て、看過したと受け止められても仕方ない。
ガバナンスどころか内部牽制制度もまったく機能していない。(JR九州高速船の現場関係者から親会社へ内部通報もないほど、JR九州には上意下達だけのド官僚体質が蔓延しているようだ)
昨年の問題は、時期は年度末、決算、株主総会を控えており、コトを荒立てたくないという配慮・忖度がJR九州上層部のド官僚たちに働いた可能性が高い。
その延長線上で今回、子会社のJR九州高速船が、問題を隠蔽した可能性もある。
結果、こうした企業体質を作った青柳-古宮体制も重大な責任があると思われる。ましてやJE九州本体には子会社を担当している取締役がいるはずだが、何のご沙汰もないようだ。
博多-釜山間では漂流木材や鯨等との衝突も過去のフェリー等でも発生し、運休していた。
船名 |
「QUEEN BEETLE」 |
運航会社 |
JR九州高速船 |
総トン数 |
2,582GT |
全長 |
83.5m |
航海速力 |
36.5kt |
旅客定員 |
502名 |
スタンダードクラス348席 |
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ビジネスクラス120席 |
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造船所 |
Austal(オーストラリア) |
建造 |
2020年10月竣工し日本へ回航 |
2021年3月20日国内遊覧就航 |
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2022年11月4日、博多-釜山航路就航開始 |
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船籍 |
パナマ⇒国内就航に問題があり、日本国籍に変更 |
IMO No. |
9874777 |