アイコン 京都でお好み焼き店の連鎖倒産が発生 老舗から新興まで相次ぎ経営破綻


~物価高・借入返済・コロナ後の客足鈍化が直撃~

京都府内で、お好み焼き店や鉄板焼き店を運営する企業の倒産が相次いでいる。5月中旬には、老舗チェーンの(株)大阪じゅうべい(京都府城陽市)とその関連会社(株)OJフードサービスが、京都地裁より破産手続開始の決定を受けた。さらに数日後の5月12日には、同じくお好み焼き店を展開する「いっかくじゅう(株)」(向日市)も破産開始決定を受けており、京都のお好み焼き業界で“連鎖倒産”の様相を呈している

 

老舗「大阪じゅうべい」、ピーク時は全国展開

1982年創業の大阪じゅうべいは、お好み焼き・鉄板焼き業態を主軸に、ピーク時には直営・FCを含め全国に店舗を展開。2015年には年商約4.9億円を計上していた。しかし、外食産業全体の競争激化に加え、コロナ禍による時短営業で打撃を受け、売上が急減。さらに物価高や人件費上昇、そしてコロナ融資の返済負担が経営を圧迫し、2025年5月には全事業を譲渡、ついに破綻に至った。負債総額は関連会社と合わせて約4.8億円に上る。

分社化された(株)OJフードサービスも同様に業績が振るわず、同じく事業を譲渡。最終的に連鎖的な倒産となった。

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「いっかくじゅう」も追随、観光地立地でも採算取れず

さらに、京都市内で「いっかくじゅう」の屋号で複数の店舗を展開していた「いっかくじゅう(株)」も破産に踏み切った。負債総額は約1.6億円。同社は国内客に加え、インバウンドによる集客でも一定の成果を上げていたが、コロナ禍で売上が激減。昨年以降は観光客の戻りも見え始めていたが、急激な円安とそれに伴う光熱費・原材料費の高騰が直撃し、採算を維持できなかった。

 

円安・物価高の“ダブルパンチ”が直撃

これら3社に共通しているのは、「ウィズコロナ後」の経営環境に耐えられなかったという点だ。売上の一定回復が見込まれても、物価上昇と人件費高騰、さらにはコロナ融資の元本返済開始が企業体力を削った。特に、地方都市の中小規模外食業者にとっては、**“売上が戻っても利益が出ない”という構造不況**が浮き彫りになった格好だ。

 

地場外食ブランドの淘汰が進行か

今回の連鎖倒産は、単なる経営ミスではなく、構造的な問題の表れでもある。京都という国内外からの観光需要を有する立地ですら、原価上昇・採算悪化の波を食い止められなかった現実は、同業他社にとっても深刻な示唆を含んでいる。

今後、老舗チェーンや地域密着型飲食業において、事業再編・省力化・多角化が急務となる一方、資金的・人的リソースに乏しい企業ほど対応は難しく、中小外食業の淘汰が一層進行する局面に入ったとみられる。

京都発のこの倒産連鎖は、関西全域における中小外食企業の経営動向を占う“警鐘”とも言える。ウィズコロナ、超円安、インフレという三重の逆風のなか、地域ブランドがどう生き残るか。今後も注視が必要だ。


お好み焼き
※写真はイメージです

 

[ 2025年6月 3日 ]
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