韓国企業の格下げ相次ぐ──浮かび上がる構造的リスクと政策の不確実性
韓国の主要格付け機関による企業評価の結果が、韓国経済の構造的な課題を浮き彫りにしている。
韓国企業評価は6月末、ロッテグループの中核企業であるロッテケミカルの信用格付けを「AA」から「AA-」へ引き下げ、ロッテ持ち株の格付けも「AA-」から「A+」に格下げした。石油化学分野の供給過剰による業績悪化が主因とされており、同グループの財務への懸念が高まっている。
一方で、同社は7月10日、大韓電線の格付けを「A-」から「A」に引き上げた。海底ケーブルや光ケーブルといった高付加価値分野での拡張戦略が評価された。格付け見通しは「安定的」のままだが、「見通しを変更せず格付けを引き上げるのは異例の高評価」と関係者は述べている。
韓国の3大格付け会社(韓国信用評価、韓国企業評価、ナイス信用評価)が上半期に実施した格付けを分析すると、格上げより格下げが多い傾向が明らかになった。格上げ企業数を格下げ企業数で割った騰落レシオは0.79。1.0を下回る状態は2023年以降続いており、経済の停滞感が定着しつつある。
明暗分かれる業種と企業
格下げが相次いだのは、石油化学や建設、小売流通、ゲーム産業など。ロッテケミカル、LG化学、SKC、現代エンジニアリング、NCソフトといった大手企業も例外ではない。高金利や内需停滞、不動産市況の悪化が業績に影を落としている。
反対に、造船や防衛産業、電力機器、生命保険などの分野は業績が好調で、HD現代重工業、ハンファオーシャン、DB生命などの格付けが上昇。外需志向や高付加価値産業への構造転換が功を奏している形だ。
グループ別では、ロッテやSKグループの系列会社で格下げが目立った。中でもSKは、格付け引き上げや見通しの「肯定的」評価を得た企業が1社もなかった。
信用低下がもたらす悪循環の懸念
企業の格付けは、資金調達のコストに直結する。格付けが下がれば調達金利が上昇し、財務リスクが一段と高まる。業績悪化に格下げが重なることで、企業は悪循環に陥りやすくなる。現在の韓国経済は、不動産不良、家計負債の増加、消費低迷という三重苦に加え、「信用不安」という火種も抱えている。
下半期の見通しも楽観できない。3大格付け会社によると、見通しを「否定的」とした企業は91社に上り、「肯定的」としたのはわずか54社にとどまった。
政策の再考が不可欠
世宗大学のキム・デジョン教授は、「商法や労働法の改正、雇用保険の適用拡大など、企業に負担をかける政策が相次いでおり、不確実性が増している」と警鐘を鳴らす。企業が安心して成長戦略を描ける環境を整えるには、不良産業の構造調整や米国との通商交渉の加速、そして何より、政策のバランス感覚が求められる。
「格付けは企業の顔だ」と言われる。今、韓国経済全体がその「顔」に曇りを見せている。信用という見えざる資産を失えば、回復には長い時間がかかる。





