破産の秀和システム、出版事業はトゥーヴァージンズが継承へ──「新社」として再出発
7月4日に東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた老舗出版社・株式会社秀和システムの出版事業が、トゥーヴァージンズグループに譲渡されることが7月14日までに明らかとなった。トゥーヴァージンズ側は「株式会社秀和システム新社として再出発し、書籍の継続的な提供を行っていく」としており、実質的な事業継承によるブランド存続を目指す。
かつての定番入門書「はじめての」シリーズを展開
秀和システムはかつて、『はじめてのWindows』シリーズなどでIT・ビジネス書分野において確固たる地位を築いた出版社。実用的な入門書を多く手がけ、書店の定番棚に並ぶ存在だった。
しかし近年は出版以外の事業に傾注。2021年には子会社を通じて東証一部上場企業だった船井電機(現・FUNAI GROUP)を買収し、さらには脱毛サロン「ミュゼプラチナム」など異業種への大型投資を行うなど、本業からの逸脱が目立っていた。その結果、関連会社が取引先とのトラブルを起こし、秀和システムも連帯保証人として多額の負債を抱えることに。最終的には船井電機とFUNAI GROUPも破産へと至り、秀和システムも連鎖的に経営破綻を迎えた。
破産時点での負債総額は約50億円。出版業不況のなかで多角化を図ったものの、専門外の事業リスクが裏目に出た形となった。
トゥーヴァージンズが「新社」立ち上げ
今回、事業を引き継ぐトゥーヴァージンズグループは、出版社トゥーヴァージンズを中核とし、出版・ブックカフェ事業などを手がけている新興企業グループ。紙の書籍文化を重視し、実店舗での書籍販売や読書体験の再構築に注力している。
同グループは、秀和システムの持つ出版資産とレガシーを評価。新法人「株式会社秀和システム新社」として事業を継承し、「はじめての」シリーズを含む既存書籍の継続的な発行を行うとしている。
出版の灯をつなぐ再出発に
今回の事業継承は、出版業界にとっても大きな意味を持つ。単なる倒産処理に終わらず、著作資産やブランドが別企業の手によって再生される動きは、紙媒体が縮小する時代における“文化の継承”といえる。
迷走の末に破綻した旧・秀和システムの経営とは対照的に、「出版」にこだわりを持つ企業が再建の舵を取ることで、再び読者との信頼関係を築けるかが注目される。





