アイコン ブラックホールの育成のなぞ 南京大学薛永泉教授ら マグネター誕生を証明

 

 

中国の南京大学は13日、同校の天文学者らが参加した研究により、連星中性子星の合体でマグネターが誕生する可能性が初めて証明されたと発表した。
中国科学技術大学物理学院天文学部の薛永泉(Xue Yongquan)教授を筆頭研究者とする研究チームの得られた成果は11日、英科学誌「ネイチャー」のオンライン版に掲載された。

ブラックホールの誕生は、天体物理研究における長年の謎である。これまでは連星中性子星の合体によってブラックホールが誕生するとの見方が主流だったが、一部の学者はこれを疑問視していた。
2006年には南京大学の戴子高(Dai Zigao)教授らが、連星中性子星の合体によって、質量が大きい別の中性子星を作り出す可能性があることを示していた。
この中性子星は磁場が非常に強力で、地球の磁場の1億倍から1000兆倍となっており、自転速度も速く、周期がミリ秒級で、一般にマグネターと呼ばれている。

南京大学天文・空間科学学院の羅斌(Luo Bin)教授は、「マグネターが存在するかどうか、これまでの天文観測では証明できなかった」と語った。

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羅教授はまた次のように説明した。研究チームは現在世界で最先端のX線観測機器である天文衛星「チャンドラ」に搭載された宇宙望遠鏡の観測データを分析した。
2015年3月の観測で、新型X線トランジェント「XT2」を発見した。このX線の発光持続時間は7時間で、地球との距離は約66億光年である。

同学院高エネルギー天体物理・宇宙学プロジェクトチームの張彬彬(Zhang Binbin)副教授は、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡や天文衛星「インテグラル」などで観測した1次データを利用し、他の波長域での「XT2」に対し、広範囲かつ高精度の探索を再度実施。最終的に「XT2」がマグネターのさまざまな理論的特徴に合致していることを確認し、連星中性子星の合体で直接生み出されるのはマグネターである可能性が高く、必ずしもブラックホールとは限らないことを世界で初めて証明した。

 薛教授は「今回の発見は、マグネターのX線放射を通じて中性子星のより多くの秘密が解明できることを意味している。66億光年先から届く光が、将来の重力波検出や中性子星研究に新たな道筋を照らすだろう」と語っている。
以上、AFP参照

マグネター(magnetar)とは、
極端に強い磁場を持ち、その磁場の減衰をエネルギー源として大量の高エネルギー電磁波、特にX線やガンマ線を放射する中性子星。
マグネターの理論は1992年にロバート・ダンカンとクリストファー・トンプソンによって定式化された。

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[ 2019年4月18日 ]

 

 

 

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