アイコン 現代造船の大宇造船買収に立ちはだかる韓国民主労総

 

 

アジア通貨危機により破綻した大宇財閥、傘下の大宇造船海洋は事実上国有化、その後政府系産業銀行が経営に当たってきたが、産業銀行から輩出した社長らによる大粉飾決算が露呈(2015年決算で2兆4千億ウォンの赤字計上/以降7兆ウォン以上公的資金導入)、韓国政府が救済して今日があるが、銀行により、採算性重視の選別受注を3社にさせたところ、受注が激減した。  
大宇のほか現代もサムスンの3社が世界中で安値受注合戦を繰り広げ赤字に陥り一時銀行管理下に入っていた。
しかし、昨年から3造船会社に対して金融機関がタガを取り外し、再び、韓国造船3社は安値受注合戦を世界中で繰り広げている。

そうした中、日本政府が、韓国政府が大宇造船海洋に資金支援するのは、WTO競争法違反であると追及、韓国政府は政府機関の産業銀行関係者による巨額粉飾決算もあり、手に負えないと判断し、今年3月、現代重工業に売却することを決定した。

しかし、当売却につき、現代重工業の過激な民主労総が立ちはだかり、強化させている。

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民主労総の現代重工業労組は29日まで会社の分割臨時株主総会が開かれる蔚山市内の会場を3日にわたり占拠している。所属組合員が20万人に達する金属労組は「全事業所総スト」を掲げた。金属労組はこの日傘下労組に「進行中の交渉を中断し現代重工業株主総会阻止闘争に結集せよ」という指針を出した。
民主労総の金属労組が支配する現代自動車労組も「(現代重工業労組の)株主総会占拠座り込みに公権力が投入されれば全組合員の総ストと連帯闘争に出るだろう」としている。

大宇造船は国からの軍艦・潜水艦等を優先的に受注しており、現代重工にとっては大きなメリットとなる。

<現代重工業の物的分割4大争点>
今回の騒動は、現代重工を会社分割し、持株会社の韓国造船海洋を設立、傘下に現代重工と大宇造船海洋を配置するもの。
これに対して、会社分割に反対する全国民主労働組合総連盟(民主労総)と現代重工業労組は27日から3日にわたり臨時株主総会の会場を違法占拠している。

1、会社分割問題
  一般的な企業買収ならば現代重工業が産業銀行が保有する大宇造船海洋の株式(55.7%、2兆ウォン相当)を取得すれば良い。
だが、現代重工業の大宇造船海洋買収は、韓国の造船産業競争力強化のため行われる「ビッグディール」の性格を帯びている。
造船業の過当競争を防ぎ世界1位の競争力を維持するための買収作業であるだけに産業銀行は株式を売却する方式の代わりに、持株会社の韓国造船海洋に株式を出資する物的分割方式を採用している。
これは、昨年も営業損失▲5225億ウォンを出した現代重工業の事情を考慮し買収負担を減らすためのもの。
産業銀行は、会社分割後、現代重工業持株会社の約28.5%に続き18.0%の株式を持つ「韓国造船海洋」の2大株主となる。
韓国造船海洋は傘下に現代重工業、大宇造船海洋、現代三湖重工業・現代尾浦造船の4造船所を持つことになる。

労組が主張する鄭夢準峨山財団理事長の長男である鄭ギソン現代重工業副社長の経営権継承と関連はないというのが会社側の説明。しかし、鄭副社長は鄭理事長の25.8%などに続く現代重工業持株会社の3番目の株主で5.1%を持つ。
韓国造船海洋の株式を確保する必要性はない。

2、現代重工業だけ損?
  労組は、物的分割後の新設法人である現代重工業が「抜け殻」に転落すると主張している。現代重工業分割計画書によると昨年9月末基準で同社の負債7兆2215億ウォンのうち97.7%の7兆576億ウォンが新設される現代重工業に継承される。

具体的に
▽船舶金融借入金2兆2000億ウォン
▽資材購入費など買掛金1兆5000億ウォン
▽船主から受け取った前受金1兆8000億ウォン
▽瑕疵に備えた引当金1兆3000億ウォンなど。

会社側は、造船所で船体を製作するドック施設など主要資産を新設法人が持っていくため船舶建造と関連した負債の大部分を現代重工業が継承すべきと反論している。現行商法と税法に基づいて負債継承比率を決めたと説明した。
同社関係者は「3兆1000億ウォン規模の前受金と引当金は、帳簿上の負債であるだけに事実上の負債とはみられない。残りの負債も現代重工業と持株会社である韓国造船海洋がともに責任を持ち償還することになる」と話している。

3、ソウルに持株会社置けば蔚山経済に打撃?
  韓国造船海洋はソウルに本社を置き4つの造船所を管理する。研究開発業務に集中する予定。
労組は「コントロールタワーの役割をする韓国造船海洋の本社をソウルに置くのは47年にわたり蔚山経済を支えた現代重工業の根幹を揺さぶるもの」として反発している。
会社側は優秀人材確保が核心である研究開発の特性上ソウルに本社がなければならないと主張している。
蔚山の現代重工業と現代尾浦造船、巨済の大宇造船海洋、霊岩の現代三湖重工業と全国に散らばる造船所の効率的な管理も理由に挙げる。
現代自動車も本社をソウル・良才洞、研究開発部門を京畿道華城と首都圏に置き、蔚山と忠清南道牙山、全羅北道全州などに生産工場を運営している。
現代重工業関係者は「韓国造船海洋の従業員は500人水準で、1万4500人の現代重工業とは比較できない。現代重工業本社が移るのではなく地域経済に及ぼす影響もわずかだ」と話している。

4、現代重工業の労働条件悪化?
  現代重工業従業員の労働条件問題も争点。
労組は分割計画書に新設法人の現代重工業が、既存の労使間団体協約を継承するという内容がないという点を理由に賃金削減と福利厚生縮小の可能性を提起している。
大宇造船海洋買収後に重複事業に対する構造調整に出る可能性が大きいと主張している。

これに対して 会社側は、労働者の懸念を考慮し21日に韓永錫・賈三鉉代表理事名義の談話文を出し、「物的分割後も労働条件から福利厚生まで、すべての制度はそのまま維持する」として団体協約の継承を公開的に約束した。
現代重工業は3月8日に産業銀行と大宇造船海洋買収本契約を締結する時も「買収後に人為的な構造調整はない」と強調している。
以上、韓国経済新聞参照

社会主義政策で北朝鮮愛に溢れた文政権になり、韓国労総より、急速により過激な民主労総が勢力を拡大し、先発の韓国労総と2分する勢力にまで拡大している。
いくら過激な民主労総でも政治的には文政権を支える支援者。文政権としても戦う気は毛頭ない。

しかし、いくら労働組合から逃れても、左派の砦・光州市が文政権の支援を受け設立した自動車受託専門工場(団体交渉権5年間なし/従業員賃金350万ウォン1年間凍結)は、現代自動車が同工場に発注・生産指導することになっており、2021年には工場が完成してくる。
民主労総と文政権の全面対決の構図が否応なく来年初めからでも表出し、深刻化してくることになる。
高見の見物。
韓国の財閥は一族支配、業種が何から何までダボハゼのように企業を持っており、中小企業の付け入るスキをまったく与えていない。
金融機関が不採算事業の企業に対して、政策的に締め付け、スリム化させ、中核事業分野に集中させるべきだろう。
特に十大財閥はそぎ落とさせる必要がある。

 

 
[ 2019年5月30日 ]

 

 

 

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