アイコン 6月の韓国の貿易収支況 輸出▲13.5%減 89ヶ月連続黒字

 

 

韓国の輸出額は半導体価格の下落と需要低迷により7ヶ月連続で減少した中、6月は最悪の実績となった。
こうした中、日本政府が7月1日、韓国に対する核心半導体・ディスプレー素材の輸出を規制すると明らかにし、不確実性はさらに高まっている。

<輸出>
韓国産業通商資源部と関税庁によると、6月の暫定輸出額は441億7900万ドルと、前年同月比▲13.5%減少した。前年同月比の輸出額減少幅は2016年1月以来の最大となった。
輸出実績は、昨年12月から7ヶ月連続で減少しているが、6月の減少幅が最も大きくなっている。

減少は
国内主力輸出品の半導体と石油化学・石油製品の輸出額減少が際立っている。
半導体は前年比▲25.5%減、
石油化学品は▲24.5%減、
石油製品は▲24.2%減となった。
関連製品の業況が振るわないうえ、製品単価が急落し、このような結果を招いた。

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6月25日基準で
半導体の単価は▲33.2%下落し、
石油化学▲17.3%下落、
石油製品も▲11.6%下落している。

主力製品の輸出が不振を免れない理由は、長期化する米中貿易紛争で不確実性が高まっていることによるもの。
6月の対中国輸出は▲24.1%減少し、金融危機(2009年5月)以降で最悪となった。対米輸出も▲2.5%減少した。

一方増加したのは、
船舶は前年同月比46.4%増、
自動車は同8.1%増(SUVの輸出が好調)
バイオヘルスは同4.4%増
二次電池は同0.8%増、
電気自動車(EV)は同104.3%増
などの新産業も好調傾向が続いている。

<輸入と貿易収支>
輸入は、需要不振および原油価格の下落もあり、400億1,000万ドルで、前年同月比▲11.1%と2桁減少した。
結果、貿易収支は41億7,000万ドルで、89ヶ月連続で黒字を維持している。

<上半期の貿易収支>
上半期の輸出は前年同期比▲8.5%減の2715億5,000万ドルで、輸入も▲5.1%減の2,520億ドル。上半期の貿易収支は195億5,000万ドルの黒字を記録した。

<韓国の電子産業の状況・5年間比較>
韓国の輸出をけん引する電子産業は、ここ5年間、半導体分野を除き、いずれも生産と輸出でマイナス成長となっている。(上記掲載どおり、韓国電子産業大手はベトナムなどでの生産を拡大させ、韓国での生産を縮小させている)
半導体の2018年の生産額は122兆9,084億ウォンと年平均17.9%増加。半導体素子も2.2%増となった。
しかし、
携帯電話の2018年の生産額は19兆7712億ウォン(約1兆8400億円)と、この5年間で年平均▲11.9%減少した。
カラーテレビは過去5年間で年平均▲11.6%減。
パソコンは同▲16.9%減、
モニターは同▲6.5%減、
プリント回路基板はPCB、同▲4.3%減、
液晶ディスプレーは同▲12.1%減もマイナス成長だった。

これは、中国勢の追い上げと日本勢の回復によるものだろうが、見落としてはならないのは、韓国勢はすでにベトナムなどへ大規模工場進出しており、この間にコストの高い韓国での生産より、コストの安いベトナムなどでの生産を拡大させていることにある。
特に家電やスマホの生産はその傾向が強い。サムスン電子はベトナムだけで60万人を雇用しているほど。

<世界の市場環境>
6月28・29日開催されたG20大阪サミットで、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は貿易戦争の休戦に合意したが、市場は「一時的な休戦」と解釈している。
米中貿易戦争などの影響から世界全体の貿易環境が悪化している点も無関係でない。
韓国だけでなく、
中国は▲2.7%減、
米国は▲2.5%減、
ドイツは▲9.1%減、
フランスは▲1.6%減
など主要国の輸出(4月基準/前年同月比)も減少している。

<対韓国、日本の制裁>
こうした中、日本の経済産業省が7月から韓国に対する半導体・ディスプレー核心素材3品の輸出を特恵対照から外すことを明らかにし、韓国業界の不安感は増幅している。
輸出制限品目はフッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガスの3品で、半導体・ディスプレー生産に必須の素材である。
これら素材は対日依存度が高い。日本現地メディアは日本政府のこうした措置について徴用被害者賠償訴訟をめぐる韓日間の対立と関係があると解釈している。
  成長官は「政府は輸出不振状況に危機意識を抱いてあらゆる輸出力量を総動員する」とし「企業も積極的な市場開拓で輸出に活力を与えてほしい」と述べた。

<↓輸出推移年間チャート>
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[ 2019年7月 2日 ]

 

 

 

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