アイコン 韓国を支える半導体・家電・造船・5G・自動車のゆくえ

 

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サムスンディスプレーとLGディスプレーが大型液晶パネルの国内生産量を縮小することを検討している。
中国メーカーが低価格で物量作戦を展開し、液晶パネルの価格が急落。いくら売っても利益が出ない状況となっている。
 サムスンディスプレーは液晶パネルを生産している忠清南道牙山事業所の第8.5世代パネル生産ライン2本で生産量を減らすことを検討している。一部のラインが近く稼働を中止する可能性が高いとみられる。

業界では、同社が最大で国内生産量(月産25万枚)の20%を削減するとみている。同社は代わりに次世代のディスプレーとされる量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルの生産に向けた投資を行うとみられる。

<液晶から有機ELにシフト>
LGディスプレーも第8.5世代の液晶パネル生産ラインの稼働中止を検討している。同社が7月23日に、現在設備を遊休状態とし、第8.5世代液晶パネルの生産を部分的に見直している。本質的にラインを運営すべきかどうかを含め、さまざまなオプションを検討していると説明している。

韓国のパネル業界は液晶パネルに代わり、OLED事業を加速する構え。
液晶は中国勢の台頭に韓国勢は駆逐されようとしている。

OLEDは韓国勢が圧倒的に技術的に優位であるが、TV戦線では、ますます高価格帯TVシフトせざるを得なく、市場が一番大きな普及品TVから放逐されることも意味する。また、普及品分野で力をつけた中国勢が、OELDについても追い上げることになる。

<家電>
韓国勢が得意とする洗濯機と冷蔵庫分野の家電は、すでに普及品は中国勢の手になる。高価格帯では韓国勢が優位であるが、開発費負担、新商品サイクルの短期化などから利益が出なくなっている。

<スマホ>
スマホは周知のとおりで、すでに世界市場はピークアウト、大市場の中国は、米中貿易戦争により経済低迷、買い替え期間が延び、落ち込みを加速させている。サムスン電子にとって、米トランプ政権のファーウェイ潰し作戦により、その恩恵を受けようが、それは長期にわたるものではない。中国勢のほかのメーカーも中国市場を愛国心からファーウェイに奪われ苦戦、海外強化を図っている。

<造船>
造船は、韓国勢の安値受注が祟り、韓国勢ビッグ3も一時銀行管理下にあった。巨額粉飾処理の政府系の大宇造船海洋は、現代重工業に身売りされ、ビッグ2になる。
文政権になり金融機関のタガが外れ、相変わらず安値受注合戦を繰り広げている。
ただ、船種で見れば、韓国勢が優位にあるのはLNG運搬船くらい。鉱石などバラ積船では中国勢が優勢で、タンカーやコンテナ船では互角の戦いとなっている。中国勢は技術的には川崎重工の合弁造船会社2社が牽引している。
構造改革をしない中小の韓国勢は、失業対策から受注する必要もあり、安値受注を続け、補助金で生き延びている有様。
自国の商船会社からの発注が限られる韓国勢にとって、この間、整理淘汰させ構造改革してきた中国勢により、互角の戦い部分で負ければLNG運搬船だけになり、その分野も次第に中国勢に食われることになる。
結果、世界のビッグ2=韓国ビッグ2の将来も安泰ではない。

<ディスプレー>
液晶やOELDも、もはや毛穴まで見えるほど精細化され、一般消費者にとって極限に達しており、宣伝力でここまで来ているが、この分野の更なる競争は、医療用・軍事用など限られたものになり、これ以上は業績にとって開発費負担から自らの首を絞めることになる。もはや宣伝に踊らされている消費者というイメージが強い。

<半導体>
半導体は韓国勢の技術的優位性は変わらないが、増産と単価下落を繰り返してきた市場であり、IOT・AI・クラウド用データセンター・完全自動運転車というビッグ市場を抱えているものの、眼下、世界経済の低迷により、数年前のスピードが大幅に遅れており、その間に、韓国外の勢力も生産工場を拡大させ、過剰供給から値崩れはさらに進むと見られる。
サムスン電子やSKハイニックスはすでに生産調整しており、米中貿易戦争が和解でもしない限り、先は見えてこない。

こうした事象は韓国勢2社が得意とする汎用性のメモリ半導体で生じており、使用目的が限られたシステム半導体や車両用のパワー半導体では大きな値崩れは生じていない。
そのため、サムスン電子は製造ラインを(ファプレスメーカーの)システム半導体の受託生産工場(ファンドリー事業)に切り替えている。同社は10年後には、半導体事業はメモリとシステム半導体を両機軸にするという計画。
 
<5G>
 5G機器でも、米トランプ政権によるファーウェイ潰しの最大の恩恵を受けているのがサムスン電子、5G・次の6G世代となると完全自動運転車に欠かせないものになることから、5Gでの市場シェア急拡大はサムスン電子にとっての恩恵は大きい。

ただ、サムスン電子自体が、あまりにも図体が大きくなり過ぎ、スマホや長期にわたる半導体特需などない限り会社を支えることは今後難しくなっていくものと見られる。

<自動車>
別記事で紹介しているとおりで、中国ではTHAAD制裁のよる不買から立ち直れず、インドに起亜が30万台の工場を近く完成させることもあり、現代グループはインドにシフトするという。ただ、これまでのように、協力企業かせの部品の仕入れコストを抑えるやり方は、最低賃金の大幅増もあり、難しくなってくるものと見られ、欧米日メーカーの2~3割安での販売は難しくなってくるものと見られる。

韓国勢に限らず、日本勢も含めて、米中貿易戦争の早期和解が望まれている。
しかし、中国は交渉条件を拡大し続けるトランプ米政権との交渉を見切っており、一方、トランプ氏は来年大統領選(20年11月)を控え、最後の3000億ドルを9月1日からと12月15日から制裁をしてしまえば、来年の大統領船終盤には追加関税高製品が消費者を襲っており、選挙で不利になる。
すでに焦り始めており、「(米国の気に入る条件で)早期に和解しなければ究極の制裁を行う」と過激な発言をするなど、貿易戦争はさらに激化し続ける可能性がある。
究極制裁とは、大幅な禁輸措置と見られる。

トランプのそうしたことが、不安定な世界の株式市場を演出している。
 

[ 2019年8月17日 ]

 

 

 

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