アイコン 米マイクロン 売上高の半分の中国で販売差し止めの仮処分 制裁合戦・報復合戦

 

 

米トランプ政権の301条による340億ドル中国制裁と中国の報復を7月6日に控え、米国は先んじて安全保障の観点から華為、ZTE、チャイナモバイルなどに制裁を課している。

これに対抗するように中国は、中国市場で全体の半分を売り上げる米マイクロンの中国内での販売差し止めの仮処分を決定した。

ZTEは、別途、イラン制裁を受け、倒産の危機にあり、米トランプ政権の言いなりになる代わりに(10億ドルの制裁金を支払い+4億ドルの不履行保証金支払い+役員刷新などの諸条件)、米企業の製品納入禁止の解除を求めていたが、トランプ政権はこれを了承した。しかし、米議会が反発している。

中国で商売する限り中国の承認が必要となる国際間の買収や合併、米半導体大手クアルコムがオランダ半導体企業NXPの買収を巡り、中国が審査に時間をかけ過ぎて、困難を来たしたとブルームバーグが報道していた。
米制裁が本格化する7月6日以降は、こうした遅滞事案が多発するものと見られている。

中国は、別途、サムスン・SK・マイクロンの3社を半導体価格談合の疑いで調査に入っている。

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<中国のマイクロン制裁>
マイクロンが中国で販売停止に追い込まれた場合、マイクロン製品は、米IT製品企業のほとんどが中国で組み立てなり、製造なりしている製品にも組み込まれており、米IT製品企業にも大きな影響を及ぼす。

米国の半導体大手マイクロン・テクノロジーが、中国で製品の販売差し止めの仮命令を受けた。6日の米国の関税賦課を控えて電撃的に出された今回の決定をめぐって、貿易戦争の信号弾という分析が出ている。

現地時間3日、ブルームバーグなどによると、中国・福州中級人民法院は2日、マイクロンの中国内での販売を差し止める仮命令を下した。

この命令は、マイクロンが生産したDRAM、NANDフラッシュメモリー関連製品など26品目に適用される。
米国に本社を置くマイクロンは、昨年の売り上げの半分以上を中国で得ている。

福州中級人民法院の今回の命令は、マイクロンのライバル会社である台湾の半導体大手、聯華電子(UMC)の発表によってメディアに知らされた。
UMCは中国国有企業の福建晋華と合弁で現地にDRAM生産工場を建てており、昨年からマイクロンと特許侵害および企業秘密などをめぐって法的闘争を繰り広げている。

マイクロンは昨年12月、UMCがDRAM半導体の特許や企業秘密を侵害したとし、米カリフォルニア州裁判所に訴訟を起こし、UMCは今年1月、マイクロンに対して中国地方法院に訴訟を起こした。
世界最大の半導体市場である中国の今回の決定で、米国と中国の貿易葛藤がIT分野で本格化するという観測が流れている。

半導体工場を作ろうにも厳しい条件下にあり、簡単に造れるものではない。自然災害や停電が皆無な地に建物を完成させ、設備・製造機器を導入し、試験操業に約1年を経て、問題なければ本格生産に移行できる。計画から本格操業までに3年かかる。世の中が変わっている。
また、EMSメーカーの鴻海は、米APPLE製品の組立工場を中国深センなどに擁しているが、ローコストな従業員を100万人以上雇用している。生産工場を短期間で変えることはほとんど不可能な話だ。
鴻海が米国に巨大工場を作るとして、米トランプは大喜びしているが、鴻海にしても付加価値の高い製品しかコストの高い米国では造らない。鴻海はそうした分野へ進出する予定なのだろう。

共和党の議員や米トランプはどこまで分かっているのだろうか。中国を世界の工場に仕立て上げたのは米国自身でもある。
そもそもの大間違いは、米国が、中国の国営企業を米国市場に上場させたことに始まる。そうした国営企業の株をいくら購入しても買収などできないペーパーカンパニー株を購入しているのが真実。米国が、中国の国営企業に米国の資本市場から資金調達させた成れの果てが軍事力で米国を脅かすまでに成長した現在の中国だ。

修正するには時間がかかるが、米大統領の任期は4年、長くやっても8年が限度だ。それでも米トランプのような超短期間で迫る無謀なやり方では、米国自身も痛むし、世界中も痛むことになる。その影響が市場に、国民に現出してくるのは、早ければ秋、遅ければ、中間選挙を終えた来年からだろうか。
それも感情的にエスカレートしたものになってきている。
和を以って尊しとなす

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[ 2018年7月 6日 ]

 

 

 

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