アイコン 安価な「デキサメタゾン」重症患者の死亡リスク大幅改善/英オックスフォード大

 

 

英オックスフォード大学の研究チームが主導する科学者グループは、炎症治療などに用いる合成副腎皮質ホルモン剤「デキサメタゾン」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者の死亡リスクを大きく下げるという試験結果が出たと発表した。

同研究グループは、合計2104人の患者が無作為にデキサメタゾン6mgを1日1回(経口または静脈内注射のいずれかで)10日間投与され、通常のケアのみに無作為化された4321人の患者と比較した。
通常のケアのみを受けた患者では、28日間の死亡率は酸素呼吸器が必要な患者で最も高く(41%)、酸素のみが必要な患者では中間で(25%)、呼吸介入を必要としない患者では最低でした(13%)だった。

デキサメタゾンは、
人工呼吸器を必要とする患者の死亡率を3分の1に減らし(比率比0.65 [95%信頼区間0.48から0.88]; p = 0.0003)、
酸素のみを受けた他の患者の5分の1(0.80 [0.67から0.96]; p = 0.0021)、
呼吸サポートを必要としない患者の間では効果はなかった(1.22 [0.86〜1.75; p = 0.14)。

BBC放送は、呼吸に問題のない軽症患者には、同薬はさほど役に立たないが、重症患者には効果があることが分かったと報じている。

デキサメタゾンには炎症抑制作用や免疫抑制効果がある。
白血球などの免疫に関わる細胞の能力を低下させて炎症を緩和し、リンパ系の活性を抑えて免疫反応を抑制する。
しかし、細菌やウイルスなどによる感染疾患に対する抵抗力を弱めたり、感染を引き起こす可能性があり、視力障害などの副作用もあるため、医師の処方に従って使用しなければならない薬物。

研究チームを率いたオックスフォード大のマーティン・ランドレー教授は「酸素呼吸器に依存する患者などに効果があることは明らかだった」とし、「10日間デキサメタゾンを投与しても5ポンド(約664円)しかかからない」と指摘した。
共同研究者のピーター・ホビー教授は「デキサメタゾンは現在のところCOVID-19の死亡リスクを著しく下げることが確認された唯一の薬品」と強調した。

研究チームはデキサメタゾンを直ちにCOVID-19患者の治療に用いるべきと主張している。
英国のマット・ハンコック保健相は、「デキサメタゾンは安価で手に入れるのも難しくないため、容易に命を救うことができる」とし、COVID-19患者に直ちに処方できるようにすることを明らかにした。
一方、世界保健機関(WHO)は今回の発表について、画期的な突破口を開いたと評価した。

しかし、米ハーバード大学病院のキャサリン・ヒバート集中治療課長などの一部の専門家は、試験データに対する検証が済むまでは慎重なアプローチが必要だと指摘した。

デキサメタゾンは、COVID-19を根本的に治療する治療薬というよりは、炎症反応を緩和する目的で用いる補助的な治療薬と見られ、デキサメタゾンは免疫力も落として副作用が現れる可能性があるため、注意が必要との見方もある。

新コロナウイルスに免疫暴走=サイトカインを抑制することで死亡リスクを減じたのだろうか。

オックスフォード大のHPの「デキサメタゾン」発表文(英語)
http://www.ox.ac.uk/news/

[ 2020年6月18日 ]

 

 

 


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