アイコン エチオピア内戦は中国習政権に尻を拭かせよ 国連が出る幕ではない


エチオピアでは、今月4日に北部の州政府を担う少数民族ティグレの軍事部門が、政府軍基地を攻撃したのに対し、アビー首相が反撃を命じて軍事行動が始まり、これまでに双方の兵士、合わせて500人以上が死亡したと伝えられている。
これについて、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は11日、「7000人以上が難民となって、エチオピアから隣国のスーダンに逃れた」と発表した。
「戦闘が続けば人道状況は一層悪化する」として今後、難民の数が急増するおそれがあるとしている。
エチオピアの報道によると、
国防軍のテセマ少将は、エチオピア北部のティグレ人民解放戦線(TPLF)が、国防軍のジェット機を撃墜したとの発表を否定した。モハメッド少将は、空軍はまだ選択された標的を攻撃していると付け加えた。
TPLFは、国防軍による攻撃的な作戦の激化に直面して、広い領域を避難させてきた。したがって、多くの地域の特殊部隊と民兵が平和的に降伏していると説明している。

国防軍の出撃は、この地域に拠点を置く北部司令部に対するTPLF(ティグレ人民解放戦線)の攻撃によって引き起こされた。

このグループは、地域の州の人々を保護し、奉仕するために20年以上にわたってティグライ地域に駐留していた本部の兵士を殺害し、大砲と兵器を奪ったことで始まった。
TPLFの露骨な行動に続いて、国防軍は連邦の任務と責任に従って地域で法執行活動を行ってきたとしている。

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以上、

エチオピアは中国が鉄道、道路、通信インフラを借金の漬物にして構築、しかし、建設価格がアフリカ平均の倍以上高く、鉄道利用費用も高く利用客が少なく、物資輸送も少なく、中国は回収に難儀している。
そうした中、ティグレ族の居住地区北部に高速道建設の計画が持ち上がったが、中国が回収難になることを恐れ投資拒否、北部振興が遅れている現状があり、ティグレ族の不満となっていた。

<エチオピア民族>
エチオピアの人口は約1億200万人、国民の大多数は黒人とアラブ人の混血と推定されているエチオピア人種で80以上の異なった民族集団が存在する多民族国家。

最大の勢力はオロモ人で34.4%を占め、次にアムハラ人が27.0%、ティグレ人6.0%、ソマリ人6.2%、シダモ人4.0%、グラゲ族2.5%、オメト族、アファル人、ハディヤ人、ガモ人、コファ族、コンソ人が主な民族。

かつてエチオピア帝国を建国したのはアムハラ人であり、以後もアムハラ人がエチオピアの政府の中枢を握ってきたが、1974年にメンギスツ・ハイレ・マリアムのクーデターにより崩壊した。
1991年には、メンギスツ政権を打倒したエチオピア人民革命民主戦線の中核をなすティグレ人の手に渡った。

<政治>
1974年、エチオピア革命
メンギスツ少佐(南部部族出身)らがクーデターで政権奪取、エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)結成、
メンギスツは数十万人を粛清後内戦激化、
1991年、メレス・ゼナウィ(ティグレ族)がメンギスツ政権を打倒し政権奪取、メンギスツ逃亡
2000年、EPRDF中核のティグレ人民解放戦線分裂
メレスはアフリカ最大の人権抑圧者とされた
2012年、メレス政権からハイレマリアム・デサレン(南部オメト族出身)政権に移行
2018年4月、ハイレマリアム首相の辞任を受け、後任の首相にアビィ・アハメドが就任。1991年にエチオピア人民革命民主戦線が政権を握って以降、オロモ族の首相就任は初めてとなる。2019年10月、エリトリアとの和平を成し遂げたことが評価され、アビィ・アハメド首相にノーベル平和賞授与された。

アビィ首相の連立与党は、エチオピア人民革命民主戦線 (EPRDF) を構成するオロモ人民民主機構 (OPDO)、アムハラ民族民主運動 (ANDM)、南エチオピア人民民主運動 (SEPDM)、ティグレ人民解放戦線 (TPLF)の4党
新政権は民族ごとに州を新設し、各民族語による教育を認めたため、最大民族であるオロモ人の勢いが強くなっている。

中国
中国のインフラ投資を通して借金の漬物国にした一帯一路軍事覇権戦略の大成功例のとして挙げられるエチオピア。
民族弾圧で知られるティグレ族出身のメレス政権時代に中国はエチオピアに進出、地盤を築き上げた。
エチオピアは各民族に連結したそれぞれに解放戦線があり、少数民族出身のハイレマリアム首相は辞任に追い込まれ、このたび、最大民族のオロム族出身のアビィが首相になっても政治は揺らぎ続けている。
最大民族が政権を取れば、出身民族を優先するのは当然、そうなれば、ほかの民族の解放戦線が動く、今回もこうした民族間の抗争でもある。
中国はどの組織とも脈を取り、民族間対立時は政治介入せず、政権者になった人物に対して関与し続けている。
誰が、どの民族がエチオピアを統治しようと君臨し続ける中国。
国連は、今回のエチオピア内戦の早期終結は、難民問題も含めて中国習政権に対して、責任を持って行わせるべきである。

少数民族のティグレ族は、これまでエチオピア政権に直接・間接的に関与してきたが、オロモ族の首相になり、また北部振興策も打ち出されないまま不満が鬱積、今回の衝突になったものと見られる。
ただ、紅海に面するエリトリアとティグレ族は国境を接し以前から紛争が絶えず、海賊国のソマリアにも近く、ティグレにIS残党などイスラム原理主義武装組織が介入すれば、収拾は困難どころか拡大する可能性もある。また、エチオピアのほかの民族にも飛び火する可能性すらある。

隣国のジブチに中国軍の大基地があり、中国軍がエチオピアに介入・出撃すれば、早期に解決するものと見られる。
そうなれば、中国のアフリカ進出の素顔が国際社会にもよく見えることになる。
中国は現地の中国製の武器を消耗させ、さらにエチオピアに兵器を売り込むため、紛争を放置する可能性もある。
また、東の隣国スーダンは長年、親中国の軍事独裁政権のバシル大統領は、2019年4月に自らが作った国防軍によって追放され逮捕され、民主政権へ移行しつつある。
スーダンでは原油が取れ、中国が開発、原油代の見返りに兵器も輸出、その原油の積み出しでエチオピアを傘下に収める必要もあった。そのため中国はエチオピアに借金を負わせ、エチオピアからジブチに鉄道を敷設したもの。


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[ 2020年11月12日 ]

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