アイコン リモコン電波ががん細胞だけ爆破処理 夢の「光免疫療法」 進む第3相治験 小林久隆医師

2012年オバマ大統領が一般教書で発表したがん細胞を破壊する「光免疫療法」が日本で始まっている。
「光免疫療法」と呼ばれる新しいがん治療が、世界に先駆けて国内で始まった。光の作用でがん細胞だけを狙い撃ちにする仕組みで、副作用も少ないと期待される。
すでに今年1月に国立がん研究センター東病院で治療が始まっており、治療は国内約20の大学病院などで受けられる。ピークとなる2028年度には420人程度の治療が見込まれている。

厚労省が2020年9月承認した光免疫療法で使うがん細胞とだけ結合する抗体薬「アキャルックス」は、創薬ベンチャー「楽天メディカルジャパン」が製造販売する。使用する施設を限定し、有効性や安全性を引き続き調べる「条件付き承認」であるが、光免疫療法用の医薬品はこれが世界初である。

2012年、アスピリン・セラピューティクス社が米国国立衛生研究所(NIH)から特許利用権を取得。開発資金を必要としていた同社に楽天が出資、楽天アスピリンとなり、同社は2018年8月に1億5000万ドル調達、同年12月には1億3400万ドル調達している。
再発頭頚部がんを対象とした第3相試験を、日本を含むアジア、米国、EUで実施すると発表(国際共同治験)。対象者は275名としている。

 

関西医科大(大阪府枚方市の私立大)では、2022年4月に「光免疫医学研究所」を設立し、国内での普及を後押しする。
所長に就任する小林氏は「これまでに大きな副作用は起きていない。改善を続け、将来はさまざまながんで使えるようにしたい」と話している。

<近赤外光線免疫療法(NIR-PIT)>
「近赤外光線免疫治療法」、米国立がん研究所(NCI:National Cancer Institute)の小林久隆・主任研究員が開発した。
がん治療法には、「外科手術」「放射線療法」「化学療法」の3つがあるが、外科手術は患者の身体への負担が大きく、他の2つは副作用がある。転移・再発防止などにも課題もあった。

これに対し、小林氏の開発した新しい治療法はがん細胞の死滅率が極めて高く、ほとんどのがんに適用できる。やっかいな転移がんにも有効。副作用がなく、必要な設備や薬品は安価なので、医療費の削減にも貢献する。

光免疫治療法=近赤外光線免疫療法(NIR-PIT)
近赤外線の当たったがん細胞は1,2分でバタバタと破壊される
これほどがん細胞の選択性が高い治療方法は過去になかった
全身のがんの8~9割はこの治療方でカバーできる
転移がんは活性化した免疫細胞が攻撃に行く
費用は安く、日帰りの外来治療も可能
生物、物理、化学の融合領域には大きな可能性がある
臨床医だったからこそ理解できた現場の問題

<小林久隆シニアフェロー>
1961年、兵庫県西宮市に生まれる。
灘高等学校を経て、1987年京都大学医学部卒。
1995年、京都大学大学院を修了。医学博士修得。アメリカ国立衛生研究所(NIH)臨床センターフェローに。
2001年、アメリカ国立がん研究所(NCI)と米国国立衛生研究所(NIH)のシニアフェロー就任。
2004年、NCI分子イメージングプログラムで主任研究員として基礎研究開発部門を主導。
2011年、「がんに対する光免疫療法」について、の主任研究員である小林久隆が主導する研究グループが、『ネイチャー メディシン』に発表。(動物実験段階)
2012年、オバマ大統領の一般教書演説で紹介。
日本政府の国家戦略室より「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」として表彰される。
2014年、NIH長官賞を受賞。
2015年、治療が難しい頭頸部癌患者を対象にした臨床治験が米国で開始。
2018年3月、再発頭頸部癌患者を対象にした臨床治験を日本で開始していた。

米国でも2015年から臨床治験が始まっているが、抗体にはセツキシマブを用いた複合体RM-1929(セツキシマブ サロタロカンナトリウム)が使用されている。

 

[ 2021年7月 2日 ]

 

 

 


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