アイコン (4/5)世界最大のワクチンメーカー 世界が注目するインドSII社/どんな会社


<170ヶ国へワクチン輸出、インド最大の医薬品企業>
SIIのホームページによると、同社は生産量と国際販売で世界最大のワクチン企業。年間15億回分のワクチンを生産している。これまで年間15億回分という量に注目する必要がある。
SIIは、これらの生産能力とノウハウを基に、世界に新型コロナワクチンを大量に供給する基盤を備えている。

同社が生産するワクチンは、ポリオ、ジフテリア、破傷風、百日咳、肝炎、BCG、ヘモフィルスB型、麻疹など多様。
同社は、世界中の子供の65%は、自社が生産したワクチンを少なくとも1回は接種していると推定している。
同社が製造したワクチンは、WHOの認定を受け、世界170ヶ国に輸出されている。
SIIには、自社が製造したワクチンは各国のワクチンプログラムを通じて接種され、これまで世界中で数百万人の命を救ったという自負がある。

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<貧しいインドの子供を救う>
創業当時のインドは、技術も経済力も不足していた。当時、インドでワクチンは必需品ではなく贅沢品に近かった。供給量が大きく不足していた。輸入品は価格が高く、一般人には手が届かなかった。

プーナワラ会長は様々なワクチンを開発して大量生産し、合理的な価格でインド市場に供給した。一番初めに着手したのは破傷風を治療する抗毒素。創業から2年でこれを開発し、市場に出した。破傷風は、土や動物の糞便などに含まれる破傷風菌が皮膚を通じて人体に入り、毒素を生成して起こる病気で、神経異常を起こし、呼吸麻痺や筋肉のけいれんが起こる。動物に嚙まれたり昆虫に刺されたとき、汚染された釘や道具で皮膚が傷ついたときによく感染する。
さらに恐ろしいのは、出産直後に十分に消毒されていない道具でへその緒を切ったときに発生する新生児破傷風だ。この病気は死亡率が90%を超え、発展途上国の乳児死亡率を高める主な疾病となっている。

1974年には子供たちに必ず接種されるDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンを開発した。
今では新生児に欠かせない予防接種の1つとなっている。
1984年には、ヘビに噛まれた人を治療する抗ヘビ毒血清を開発した。
1989年には、麻疹(はしか)ワクチンを開発し、M-Vacというブランド名で医療機関に販売した。
続いて、ポリオワクチンと子供のためのもう1つの必須ワクチンのMMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)ワクチンも開発した。
B型肝炎ワクチンは、多数の第三世界の住民の生命と健康を救った。

<インドをワクチン大国に、自給自足の保健向上に貢献>
SIIのワクチン開発と供給に支えられ、インドは1980年代にワクチン自給を実現することができた。これにより、より多くの人々、特に乳幼児が予防接種で命を救われた。
インドの保健環境は目覚ましく改善した。

これがよく表れている代表的な保健指標が出生瞬間の期待余命(何歳まで生きることができるかに関する統計的分析=期待寿命)。
国連経済社会理事会(ECOSOC)の「世界人口展望」によると、
インドの期待余命はプーナワラ会長がSIIを創業した1966年には44.84歳だった。それ以降の変動を10年周期でみると、1976年は51.25歳、1986年は55.98歳で、1996年に初めて60歳を超えて60.53歳、2006年に64.72歳、2016年には68.67歳に達した。ことし2021年には69.96歳に及ぶ見込みで、2022年に初めて70歳を超え、70.19歳に達すると予想されている。

期待寿命は、食料・食品安全・衛生・医療など様々な要因が作用する。期待寿命の上昇は、多くの経済的・社会的要因が作用した結果だが、その中でも乳児死亡率を大幅に下げたワクチン供給の役割を無視することはできない。

[ 2021年2月27日 ]

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