アイコン 新手法により関節リューマチ改善 抑制性免疫補助受容体PD-1抑制誘導法


ポイント:
◆抑制性免疫補助受容体PD-1の機能制限を解除することにより、PD-1の抑制機能を誘導することに成功した。
◆PD-1の抑制機能を誘導することにより、自己免疫疾患である関節リウマチ、多発性硬化症およびシェーグレン症候群の疾患モデルマウスを治療することに成功した。
◆ヒトの自己免疫疾患や他の免疫関連疾患への応用が期待される。

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発表概要:
抑制性免疫補助受容体であるPD-1の機能を阻害することにより、がん細胞に反応するT細胞を活性化して、がん細胞を破壊する治療法が2014年より使用されている。一方、PD-1の機能を人為的に誘導することにより、有害なT細胞を抑制して自己免疫疾患を治療できると期待されるが、PD-1の機能を誘導する方法の開発は進んでいない。

今回、東京大学定量生命科学研究所の杉浦大祐助教、岡崎拓教授らの研究グループは、徳島大学先端酵素学研究所の竹本龍也教授、同大学院医歯薬学研究部の石丸直澄教授らとの共同研究で、PD-1の機能を人為的に誘導することに成功した。

この方法を用いて、関節リウマチ、多発性硬化症およびシェーグレン症候群の疾患モデルマウスにおいてPD-1の機能を誘導すると、各症状が大幅に軽減された。

人口の5%以上が何らかの自己免疫疾患に罹患しており、近年、自己免疫疾患の治療法は大きく改善しているが、依然として効果的な根治療法は無く、十分な治療効果が得られない場合も多く存在する。
今回発見された方法は、従来の治療薬とは作用機序が全く異なることから、自己免疫疾患および他の免疫関連疾患に対する新たな治療法の開発につながることが期待される。
以上、

免疫補助受容体:
T細胞やB細胞の細胞表面に発現し、抗原受容体が抗原を認識することで活性化されるシグナルを増強あるいは抑制する分子のこと。興奮性免疫補助受容体の代表例にCD28やICOS、抑制性免疫補助受容体の代表例にPD-1やCTLA-4がある。抑制性免疫補助受容体を免疫チェックポイント分子と呼ぶことがある。

自己免疫疾患:
免疫システムは本来、病原体等の異物を認識して排除する役割を担うが、自己の成分を認識して攻撃してしまうことがある。免疫細胞が自己組織を攻撃することにより発症する病気を総称して自己免疫疾患と呼ぶ。自己免疫疾患には、関節リウマチ、ループスエリテマトーデス、多発性硬化症、1型糖尿病、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎などがある。

[ 2022年2月11日 ]

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