アイコン 狼を背にしたポピュリズム政権の悲劇


4100万人の人口を抱えるウクライナのゼレンスキー大統領、2019年5月に誕生した典型的なポピュリズム政権、現在44歳、元コメディアン・俳優として人気、不正腐敗が蔓延る政治家や企業家を猛批判することで特に若い世代の支持を集め大統領に就任。

米トランプ前政権下では、米大統領選でトランプ氏がバイデン氏の息子がウクライナ企業から月500万円の顧問料を受領していたとして、徹底調査を要請されたりしていたが、その見返りに米国からミサイルを供与されたりしていた。

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ロシアを敵に回したゼレンスキー、
1、 2021年7月、ウクライナの古来民族法の制定、78%がウクライナ人と他民族を圧倒している、17%はロシア人も暮らし、ほかに10民族以上がいるなか、ウクライナ人とクリミアタタール人のほか計3民族を指定して法制化した。これに対して、露プーチンは猛烈に抗議、欧州議会にも反対するよう要請したりしていたが、結果、制定されたままになっている。

2、 ミンスク停戦合意について、当時のウクライナ大統領も出席して合意したものだが、ゼレンスキー大統領は屈辱的合意だとして容認しないとあからさまに発言するなど、民族主義を煽る発言を繰り返してきた。(実際、停戦させたい独仏とウクライナ大統領の譲歩による合意だった)

3、 NATO軍事同盟(集団自衛権条約/北大西洋条約機構)へ加盟申請、これは国家として当然の権利である。
しかし、ゼレンスキー大統領は、NATOに対して、加盟を認めNATO軍を派遣してミサイルを配備するように何回も求め迫った。こうした発言にロシアが猛反発し続けた。
しかも、ウクライナの状況は、東部ドンバス地方ではロシアや親露勢力と停戦しているだけで紛争状態にある中での加盟推進要請でもあった。
そのため、欧州国はロシアと貿易上も大きな関係があり、申請を保留したまま今日に至っている。

2008年、NATOは、ウクライナに対してNATO加盟権を与えることを決定している。
2021年4月6日、ゼレンシキー大統領とストルテンベルグNATO事務総長(ノルウェー)は加盟推進で合意し、ゼレンスキーは加盟に向け舞い上がった。

ただ、加盟は加盟国の全会一致(集団自衛権組織であり、各国の国会批准が必要)で申請承認され、加盟権と加盟はまったく別物。
ウクライナは1991年、ソ連から独立する際、米ソに次ぐ200発あまり核保有大国、米英露が推進して核を撤去・廃棄することで合意、その際、米英露がウクライナの安全を保証するというものだった。
しかし、そうした合意は遵守されず、現在のウイクライナ外相は、核があればロシアの侵攻はなかったとして、米国は約束を守れと叫んでいる。(米国は大統領が変われば、前政権下の条約さえ破棄する国でもある)

(一方、ウクライナの政治経済は、新コロナ事態に直面し打撃を受け、不正腐敗の問題も蔓延ったまま。欧米からの支援金が不正の巣窟、中国のインフラ投資も助長している。現在では中国はウクライナの最大の貿易国。2014年2月民主クーデターで倒れた親露政権であるが、2010年の大統領選で親露政権が誕生したのも当時の前政権の不正腐敗によるものだった。その親露のヤヌコーヴィチ政権も不正腐敗を克服どころか自らも溺れ、民主クーデターとなっていた。)

2000年からロシアに君臨し続けるプーチンは、現在もソ連時代を生きる人物、東側=ソ連圏に対抗する形で1949年に誕生したNATO、ソ連崩壊後、NATO拡大に異を唱えている人物である。元KGB出身、計算尽くすほど用意周到、反プーチン者の暗殺・監獄送り、際立つ権力欲、国内経済は新コロナ惨禍もあり停滞、疲弊、国民の不満が高まるなかウクライナ侵攻、ロシアは米国同様、戦争では国がまとまる国でもある。2014年の米など西側経済制裁では経済はどん底、愛の手を差し伸べたのが中国の習近平国家主席、天然ガスのパイプラインを中国へ敷設することで合意、中露蜜月時代を築き上げている。

東部ドンバス地方2州に高度な自治権賦与はミンスク合意、
守られず、破棄同様の所見を述べるゼレンスキー大統領率いるウクライナ、
対して、
親露武装勢力が実効支配する地域を独立国として認めたプッチン・プーチン、
その後、州を独立させるとしたエスカレートさせたプーチン(実効支配地はロシア人が過半を占めるが、2州に拡大すればそれぞれ40%以下)、
そしてこん日、ウクライナを非武装国にする
とさらにエスカレートさせ続けている。

3月4日から始まる北京パラリンピック、中国としては開催2月までに、ロシアに戦闘を停止させたい思惑があるだろう。
ウクライナ侵攻ではロシアに対して北京冬季オリンピック開催期間中を回避させた習国家主席、パラリンピックでも同様な要請をしているものと見られるが、ウクライナは今後、ロシア軍に対して激しく抗戦することが予想され、開催そのものも予断を許さないものになっている。

ロシアは、制空権の支配などの電撃作戦は早期に停戦することを前提にしている可能性もあるが、ウクライナの民族主義にも火をつけており、ウクライナ軍の反撃により泥沼化する恐れが高い。

これまでの仲介役は独メルケルと仏マクロン、メルケル退陣により、新参の独ショルツでは荷が重すぎ、コソボ紛争などかつての仲介役、ノルウェーなどはロシアが認めないだろう。
中国がマクロンと結託して仲介役になる可能性は残る。
2014年当時同様ヒステリックにロシアに反応する米国は今回も蚊帳の外に置かれることになる。
外交でプーチンを押さえ込むことができるのはトランプしかいないが、トランプは今ではただの人、その力はない。
現在の原油高・天然ガスの高騰の一旦は生産量を増加させないトランプ支持の米国の原油生産業界にある。

仏マクロンも大統領選挙を控え、懸案の新コロナも感染者が減少過程に入り、ウクライナ問題での点数稼ぎに必至。
ロシアも米欧分断工作上からも仏独との関係は維持したいものと見られる。

ロシアは、即時停戦し、ウクライナもロシアもミンスク合意の原点に立ち戻るべきだ。特にドイツとは貿易面でも関係が深い。

余談
日本政府が半導体の対露輸出を規制する動き、・・・ロシア最大の自動車製造販売会社は仏ルノー系と現代Gの現地生産会社、自動車用パワー半導体の入手が困難になれば、生産に支障が出よう。仏経由や隣国経由でのロシアの自社工場への搬入(=輸出)は米国の目が光そうだ。

ポピュリスターのウクライナ・ゼレンスキーに踊らされ、踊るプッチン・プーチンとオールド・バイデンのようでならない。


スクロール→

ウクライナの民族構成

ウクライナ人

77.8%

 

ロシア人

17.3%

 

その他

4.9%

主に少数6民族

 うち高麗人

1.0%

李氏朝鮮設立により露沿海州に逃れた高麗人を祖先とし、1930年頃ロシアから日本人のスパイと看做され、民族追放の悲哀、中央アジアへ移動した人たち。

ロシア人の多い州

クリミア自治共和国(半島)

58.3%

露占領中

ルハンシク州

39.2%

40%を親露勢力実効支配

ドネツィク州

38.2%

40%を親露勢力実効支配

ハルキウ州

25.6%

 

ザポリージャ州

24.7%

 

オデッサ州

20.7%

 

ドニプロペトロウシク州

17.6%

 

キエフ市

13.1%

 

ゼレンスキー

2021年7月、先住民法を制定、ウクライナ人とクリミアタタール人など少数2民族だけ指定(計3民族)/ロシアが反発

 

[ 2022年2月25日 ]

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