隣国造船業界の膨大な受注残と材料価格の高騰 そして大量受注残
ウクライナ戦争でロシア産原材料の需給が厳しくなった上、新コロナ19による中国地域の封鎖まで重なり原材料の大混乱が続いている。原材料の需給難に加え価格まで急騰し輸出採算性まで急悪化している。
鉄鋼価格の急騰は造船にも影響
造船協会の関係者は「今年4月、厚板価格が史上最高値を更新し国内造船所の収益が大幅に悪化した」とし、「厚板価格の引き上げ分に対して積み立てなければならない損失充当金が増える場合、会計上の営業損失は4兆4000ウォン(円貨約0.1円)に達する」と述べている。
隣国造船海洋事業の報告書によると厚板価格は2020年1トン当たり66万7000ウォンから2021年1トン当たり112万1000ウォンへと2倍近く急騰している。
現代重工業傘下の造船3社は昨年、造船事業で鋼材購入だけで2兆6454億ウォン。売上原価のうち鋼材購入費が占める割合は14%程度と推算されている。
問題は造船会社が船舶を受注してから実際に建造に至るまで2年半ほどかかるという点。昨年、建造を終えた船舶は主に2019年の不況期の受注であるため相対的に規模が小さい。以後、受注活況を勘案すれば今後、建造される船舶が増え、このため厚板価格の上昇による負担がさらに大きくなる。
現代重工業系の船舶の受注残高は2019年末の23兆3481億ウォンから昨年末32兆9688億ウォンへと41%も増加している。
ポスコなど鉄鋼会社と国内造船会社は今年、厚板価格の交渉を進めている。
鉄鋼会社は鉄鉱石や有煙炭価格の高騰によるコスト上昇を考慮し厚板供給価格を前年比10%水準まで引き上げるべきだという立場だ。一方、造船会社各社は2%以内の引き上げを要求し平行線をたどっている。
以上、
スクロール→
↓国際市場の先物相場と為替・ドル高
先物相場と為替 |
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100基準 |
19/4月 |
21/4月 |
4/20日 |
21年比 |
19年比 |
原油価格(WTI) |
57 |
62 |
103 |
166.1% |
180.7% |
天然ガス |
2.560 |
2.600 |
6.817 |
262.2% |
266.3% |
石炭 |
84 |
94 |
326 |
346.8% |
388.1% |
鉄鉱石 |
96 |
145 |
146 |
100.7% |
152.1% |
スチール |
4,108 |
4,750 |
5,176 |
109.0% |
126.0% |
対ドル円 |
111 |
109 |
128 |
117.4% |
115.3% |
対ドルウォン |
1,143 |
1,110 |
1,236 |
111.4% |
108.1% |
<世界から取り捲る隣国造船業界、世界一の受注量>
隣国の造船会社が今年第1四半期、全世界の船舶発注量の半分ほどを独占する受注を爆発させた。
2021年期の3大造船Gは軒並み造船部門で大赤字を計上しているが、今後、船価上昇による業績改善も続くと見ている。
今年、第1四半期に隣国の造船会社が「驚きの受注」を申告し期待感も高まっている。造船会社は年初に提示した受注目標の40.9%を第1四半期にすでに達成している。
企業別では現代重工業が26%、現代尾浦造船が42%、現代三湖重工業が90%(以上3社は現代重工業G)、サムスン重工業が25%、政府系銀行傘下の大宇造船海洋が47%などの達成率を記録している。
これら造船会社の第1四半期の受注規模は152億ドルに達する。世界の新規発注量の49%を隣国造船会社が占め2015年以降7年ぶりに第1四半期の受注で中国を抜いた。
専門家たちは受注実績とともに先価格の上昇に注目すべきだと指摘。
収益性の面でも国内造船会社が有利な位置についたとみている。国内造船所の今年第1四半期の新規受注総トン数は昨年第1四半期比減少したが、受注金額は同水準を維持している。
業界では造船会社が受注残高のおかげで攻撃的な受注に乗り出す代わり船価の引き上げに集中しているという分析が出ている。実際、コンテナ船が40%、LNG船の新造船価格が22%上昇したという。
英クラークソン・リサーチが発表する新造船指数も昨年、第1四半期130から今年第1四半期158まで上昇している。
クラークソンによると韓国は今年1~3月、全世界の船舶発注量920万CGT(259隻)の49.7%にあたる457万CGT(97隻)受注して世界一。
全世界の受注残量は3月末基準で9,471万CGT、うち隣国は3,238万CGTで、2019年下半期から2021年までに受注した2,826万CGTが受注残として残っている。
こうした船舶の建造に厚板価格や機械類、諸材の高騰により、2,019年上半期までに受注した分で前期は大赤字となり、それ以降2020年までに受注した船舶が今年完成してくることから今期も大赤字が予想される。