アイコン OPEC+ バイデン大統領の言うこと聞かず 過去が災い 今後の動向


バイデン米政権は5日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど主要産油国でつくる「OPECプラス」が日量200万バレルの大幅減産を決めたことについて、決定を非難する発言が相次いだ。
バイデン大統領が7月、ロシアのウクライナ侵攻を受けた世界的な原油高の緩和に向け、人権面で批判してきたサウジアラビアを訪問してまで増産を働きかけた「石油外交」は不発に終わった。
11月8日の中間選挙に向けた国内のインフレ抑制策にも打撃となる可能性がある。

「大統領はOPECプラスの近視眼的な決定に失望している」。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とディース国家経済会議(NEC)委員長は5日、連名の声明でこう述べた上で、「エネルギー価格上昇で苦しんでいる中・低所得国に最も悪い影響を及ぼすだろう」と批判した。
ジャンピエール大統領報道官も記者団に「OPECプラスが(減産決定によって)ロシアと手を結んだのは明白だ」と語った。

バイデン政権はロシアのウクライナ侵攻後、同国への軍事支援や対露制裁を主導する一方で、高騰するエネルギー価格の抑制を優先課題に据えてきた。
高騰が長期化した場合、もともとロシアへの依存度が高い欧州諸国などで対露融和論が強まり、結束が揺らぎかねないとの懸念からだ。
以上、報道等参照

 

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米国そのものがそうであるように保護主義=自国第一主義に入っており、スウェーデンではNATO加盟を推進した政権が敗れ下野、イタリアでも右派政権となり極右の首相が誕生しており、エネルギー高に、欧州国では今後、各国で選挙があるたびに現在の露制裁派が敗れ、これまで結束していた欧州の露制裁が雪崩れ現象を起こし、破綻する可能性もある(露の思惑でもある)。

OPECがロシアと関係したのは、オバマ政権(バイデン氏が副大統領)時代、原油価格が暴落(2014年9月90ドル→15年1月31ドル)し、サウジは米国に対して減産を要請した。

しかし、オバマ政権はシェールオイル・ガス革命でリーマンショックを乗り越えてきた経緯があり、減産に応じなかった(その間、原油と天然ガスについては世界一の生産国となっていた)。

そこで、サウジは北極圏の海底油田で台頭してきたロシアに減産を要請し、ロシアが減産に応じた。その時点からOPECは+ロシアのOPEC+になった。
サウジは、米国からの兵器輸入でも人権問題で断られ、サウジはロシアから調達する動きに、やっと米国が輸出を認可した経緯がある。そうしたサウジは現在では中国の技術協力により迎撃ミサイルの開発に当たっている。
価値観相違の王国=独裁国、欧米の価値観を共有させるには、王権を転覆させるしかない。CIAを使い転覆させるのは得意な米国であるが、一応、親米国でもあり、中東での影響力もあり、米国は何もゴリ押しできていない。独裁国の利害は欧米国では計り知れない。

世界一の生産を誇る米国のシェールオイル軍団は、民主党のオバマ大統領が育成したようなものだが、現在では共和党を支持している。
元々米国の巨大な石油精製所を経営するコーク兄弟(米国の大財閥)は共和党支持(共和党保守派の元ティーパーティ派のスポンサー)で知られており、トランプ時代(コーク兄弟は当初、トランプ支持ではなかった)に、シェールオイル生産の軍団は共和党支持に変わった。

そのきっかけは、原油のパイプライン敷設(キーストーンXLの西部と北部東海岸もあり)計画、カナダのサンドオイル(重質油)をメキシコ湾岸の石油精製施設まで敷設することをトランプ大統領が認可した(国立公園を通るため、国の認可が必要)ことによるもの。

しかし、バイデン大統領になり、最初の仕事で環境破壊を理由にキーストーンXLパイプライン計画の認可を取り消した。これでバイデン政権との対立が確定的になった。

新コロナショックで原油価格が一時マイナスまで下落、その後、経済回復とともに価格は回復してきた。そのショック後シェールオイル軍団の掘削稼動リグ数は大幅に減少していた。
価格回復とともに稼動リグ数も増加してきたものの緩慢な増加にとどまった。シェールオイル軍団には開発には巨額を要し、多くの投資会社が出資しており、生産企業も投資会社も大損害を受けていた。
(OPEC+2は増産し出しても毎月40万バレル、今年5月から25万バレル増加させ、月65万バレルとしていた。それが今回200万バレル減産。しかし、予想されていたこともあるが、先物相場は87ドル前後と経済悪化により需要が減ると見る投資家に押され、10月5日・6日の相場に大きな動きはない。)

現在の高いインフレになったきっかけはバイデン大統領の2021年度(1~12月)に1.9兆ドルの新コロナ巨額経済対策投入によるものは疑いようのない事実。

昨年10月には、すでに原油価格は2014年以来となる70ドル台を付け、今年2月には90ドル台まで上昇、さらに3月7日の露制裁で120ドル台まで暴騰したものだった。
その間、OPEC+もシェールオイル軍団もゆっくりとしたペースで、新コロナ以前の生産量まで回復させる作戦で原油価格は100ドル以上価格が常態化していた。
原油生産企業にとって、稼動リグ数を回復させるにも巨額を要し、化石燃料を忌み嫌うバイデン政権では稼動リグ数を増やしても回収できるか保証もなく、価格高騰で巨額の利益を生産会社と投資会社で分け合う選択をした。そのため、稼動リグ数の増加を遅々として図らず、生産量はいまだ2019年の量には達していない。
資源・エネルギー、食料品の高騰によるインフレにバイデン政権は昨年10月からテーパーリング(大金融緩和の巻き戻し)、今年3月からは金利の上昇を図り、抑制に務めたものの、3月の露制裁により、何でもかんでも値上がりし、米国は半年間で3%も金利上昇させ、やっとインフレ=商品価格の高騰は沈静化の動きとなっている。
原油価格は一時76ドル台(9/26)まで下げたが、米経済の悪化はインフレ抑制レベルには遠く、88ドル台前後も上げている。ただ、今回の200万バレル減産はOPEC+での実効面では、それ以前から200万バレルの生産減となっており、実態を反映したものか、▲200~400万バレルの減産にするのかは不明。
欧州から原油の輸入停止の制裁を受けているロシアは、安価にインドや中国へ輸出し、両国で石油精製され、ガソリンや軽油として欧州へ大量に輸出されている。そのためにもロシアは価格を吊り上げておく必要があり、中国にしても安価に手に入れ、価格高騰で苦しむ開発途上国や新興国に対して安価に提供し、一帯一路覇権戦略での囲い込みの材料にもしている。
世界最大の産油国の米国が本格的な増産をせず、サウジに、ベネズエラに増産要請しても、西側のボンクラには理解されようが、米国と距離を持つ米友好国は台所事情を見て取っている。
原油価格がさらに下がらない限り、11月の中間選挙では共和党に敗退することになり、負ければ、バイデン政権の政策もこれまでのような好き放題にはできなくなる可能性が高く、西側諸国も2年後の大統領選も見据えたお付き合いになる。一部、金魚の糞、腰巾着の国は除く。
(以上、文書内の原油価格はすべて米WTI原油先物価格値)。

↓米国の原油生産量の推移(BBL/D/1K:米EIA版)
1006_05.jpg

↓米国の原油掘削リグの稼動数推移と原油価格および天然ガス価格(米国)、

原油価格は、欧州が露制裁により12月までにこれまでの輸入量(21年基準)を9割減らすとしており、10月5日OPEC+はこれまでの増産から一転して減産表明、今後の欧米の金利上昇による経済悪化懸念が、交錯して現在の価格となっている。
今後も金利がさらに上昇することは必至、欧州の露産原油9割減一巡、12月までに経済悪化が指標に確実に現れるようになり、原油価格はさらに下落、現在一喜一憂している株価も現実の経済悪化・企業の収益減に下がるしかない。
米国FRBはその政策でインフレ率を2%台に設定しており、金利上昇が後1回か2回でストップしたところで、2%台に至るまで高い金利政策が続く。高金利に住宅も自動車もそのローン金利の高さに売れなくなり、企業の利益は金利に食われ悪化し、循環するお金が減少し続け、経済全般が悪化していくことになる。


スクロール→

米国の原油掘削リグ数の稼動推移/ベーカーヒューズ社版

末基準

稼動数

月増数

原油相場

 備考

天然ガス

 

 

 

WTI/ドル

 

NYM

2019/12

677

 

59.8

新コロナ以前

2.292

2020/4

378

 

16.71

新コロナショック

1.790

2020/8

172

 

42.42

新コロナ

2.371

2020/12

267

95

47.09

 

2.583

2021/6

372

105

71.40

新コロナ経済回復

3.274

2021/12

467

95

71.53

 

3.865

2022/1

495

28

82.86

 

4.261

2022/2

522

27

92.05

2/24ウクライナ侵攻

4.471

2022/3

531

9

102.77

 

5.593

2022/4

552

21

105.36

 

7.244

2022/5

574

22

114.67

 

5.424

2022/6

594

20

105.76

 

6.498

2022/7

605

11

97.31

 

8.299

2022/8

605

0

89.55

 

9.545

2022/9

604

-1

79.49

 

6.770

106

604

0

87.92

 

7.054

・米国のシェール層からは天然ガスとオイルが同時に採掘される。

 

[ 2022年10月 6日 ]

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