アイコン スーダン 停戦できず 戦闘続く


ラマダン明けの3日間停戦で合意するよう欧米やアフリカの国々が要請した。緊急支援部隊SRAはいち早く停戦すると発表したものの、政府軍がSFAを疑い合意の発表は遅れた。
そして停戦がなされるはずだったが、これまでの3回と同様、停戦には至らず戦闘が続いている。

スーダン在住の60人の日本人の救出のため自衛隊の輸送機がインド洋に面したジブチに向け出発したが、戦闘は首都の空港や放送局などが最初のターゲットとなり、首都の各地で戦闘が続き、空港は使える状態ではなく、救出は陸路かヘリを利用した空輸になるが、戦闘はハルツームだけではなくすでに全土へ飛び火しており、陸路は危険な状態となっている。首都の中での移動さえ危険な状態。そうしたことからラマダンの祈りも多くがモスクへは行かず、自宅で祈ったという。それほど現地の住民も危険が迫っていることを認識している。

 

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Rapid Support Forces (RSF)

今回の内戦は、政府軍のAbdel Fattah al-Burhan(ブーハン) 将軍が、民兵組織の緊急支援部隊RSF(ハンマド・ヘメティ・ダガロ将軍=通称ヘメティ将軍)の解散、政府軍への編入命令を下したことで勃発した。
RSFは民兵組織といっても5~15万人の軍事組織とされ、兵器も潤沢に有し、停戦合意しなければ戦闘は長期化し、多くの市民が巻き添えになる可能性が高い。すでに隣国へ避難している住民もいる。

将軍どうしの権力抗争とされ、政府軍のブーハン将軍とRSFのヘメティ将軍の連力争いとされるが、共に2004年に生じたスーダン西方のダルフールの大虐殺事件の首謀者であり、30年間独裁政権にあったバシル大統領の要請に基づきダルフールのアラブ系住民を中心に結成された組織であり、政府軍としてダルフールに入っていたのがブーハン将軍であった。ダルフールの非アラブ系住民たちが組織して地域の利益の分配を求め政府に楯突いたため、バシル大統領が民兵組織と政府軍を動員して平定させる過程で大虐殺が生じた。火のバジル大統領は経済不振から国民の不満が爆発して反政府運動に、2019年4月、両将軍が手を取り、バシルを失脚させ無血クーデターとなった。
その後、民政移管された暫定政権が、バジル時代の閣僚や関係者たちの不正が次々に明らかにされ拘束されたりしたが、2021年10月、再び両将軍が手を握り、クーデターで民政政権を追放した。
ヘメティ将軍は事件前のBBCのインタビューで、2021年10月のクーデターはやるべきではなかったと述べている。
それは国軍として権力を持つブーハン将軍が、逮捕されたり、失脚していたバシル時代の閣僚らを次々復帰させ、国民も恐れていた総合情報局 (GIS/秘密警察/旧名:国家情報セキュリティサービス)も復活させ、それも当時のNCP(国民会議党=バシル政権)の指導者だったアーメド ムフダル将軍を復帰させ、GISのトップに据え、ムフダル将軍はすぐさま人権派活動家らを拘束、70人あまりが現在も行方不明のままになっているという。
そうした経緯からヘメティ将軍は、ブーハン将軍に権力が集中しすぎていると見たのか、現在の暫定政権を批判したインタビュー内容となっている。

ただ、ヘメティ将軍はアラブ系ながらダルフール出身の田舎者、首都の市民にはまったく人気がなく、また、2021年のクーデター時に流血弾圧事件の当事者としてダークなイメージが付きまとっている。謝罪もしていない。

そうした中、ブーハン将軍は、へメティ将軍率いるRSFに対して解散命令を発した。それに猛反発したRSFと政府軍が交戦状態となったもの。

ヘメティ将軍はこれまでスーダン西部のダルフールからスーダン中央部にまたがる高原地帯の金鉱脈により財をなしたとされ、その金がロシアのワグネルに渡っていたものと見られる。ワグネルはバシル政権時代、軍事顧問として武器提供など行い、その見返りに金を採掘し、ロシアへ送っていたことで知られている。
バシル失脚後、ヘネティ将軍を経由して金をロシアへ送っていたものと見られる。当然その見返りが重兵器だろうか。ワグネル創設者とヘネティ将軍のツーショットの写真もある。

政府軍のブーハン将軍が勝利したとしてもバシル政権関係者が大量に暫定政権に復帰しており、バシル時代の不正が明らかになっており、国民からは反発を買うものと見られる。
バシル政権時代の巨額不明金の追及もクーデター後、調査委員会がブーハンにより解散させられ、取り止めになっている。

ブーハン将軍はバシル政権時の閣僚らで収監されていた人物たちも無罪放免で釈放させ、政権に復帰させている。バシル政権の傀儡政権になる可能性も高い。
バシル氏と中国習近平国家主席はお友達だ。
バシル氏はダルフール事件で国際手配されているが、実権を持つブーハン将軍もダルフール大虐殺の主犯者の一人であり、インターポールにバシルを突き出すわけでもなく、スーダンでは汚職などの罪で訴追され、2019年12月たったの2年の実刑判決、すでに檻からも出ており、いろいろ画策しているという。

ヘメティ将軍にしてもスーダンでは各地に各民族ごとに反政府組織があり、同盟を結び、政府軍を圧倒する可能性もある。
ヘメティ将軍はダルフールでの大虐殺事件の主犯者の一人でもあるが、今回は、同地の非アラブ系の反政府組織と結合する可能性すらあるという。ダルフールでもすでに政府軍との間で戦火が発生している。

<スーダン、人口:4800万人と民族と宗教>
アラブ系が政治を支配している。
北部のナイル・サハラ語族ヌビア諸語を話すヌビア人+
中部のヌバ山地のニジェール・コンゴ語族コルドファン語派を話すヌバ族+
南部のカドゥ諸語を話す民族など非アラブ黒人が52 %、

北部を中心にアラブ化した黒人や黒人との混血を含む「アラブ系」が約39%、

東部のアフロ・アジア語族クシ語派ベジャ語を話すベジャ人が6%、
外国人が2%、
その他1%。
西部のダルフールには
北部にザガワ族、
中部にフール人、
南部にバッガーラ族が居住している。

宗教は、イスラム教徒が70%、西部に多い伝統宗教18%、南部に多いキリスト教徒5%
追、スーダン政府軍の兵士たち320人が戦いたくない、死にたくないとして隣国チャドへ亡命している。


 

[ 2023年4月22日 ]

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