アイコン スーダン救出作戦 、日本首都脱出、米国出し抜き退避完了、仏失敗引き返す


エジプト軍はスーダン北東部の基地で国軍に対して軍事訓練を行っていたが、国軍とRSF=緊急支援部隊が首都で衝突、瞬く間に戦火が全土に広がり、同基地一帯をRSFが急襲、逃げ遅れ、同基地のメロウェ空港に取り残されたエジプト軍はRSFに包囲され、身動きできなくなリ、実質投降。
そうした中、RSFに影響力を持つUAEが仲介し、177人のエジプト軍は19日、同空港からエジプト軍の軍用機4機で帰国した。
 RSFには、ほかサウジアラビアやロシアの民間傭兵部隊のワグネルも関係している。

一方、国軍にはエジプトが関係しているが、今回の開放でスーダンへの軍事介入はできなくなったと見られる。RSFは同空港で国軍のミグ戦闘機などを捕獲している。また首都ハルツームの国際空港もRSFが占拠しており、国軍は戦闘機で攻撃し、駐機中の旅客機が破壊されるなど、空港は使える状態ではない。

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邦人救出には、
首都であってもあちこちで交戦状態にあり、あちこちに民間人含む遺体が転がっているという。それほど住民も身動き取れなくなっている。首都の各地にいる邦人を一ヶ所に集めるにも停戦中でなければ不可能に近い。

★停戦はこれまで何回も合意しているが、すべて反故状態。ただ、ここにきて、欧米の要請に基づき、RSFも国軍も外国人の国外退避には協力すると表明している。(戦闘の真っ只中、各地の部隊に指示命令が伝わるかはわからない)

RSFの本拠地は非アラブ系住民が多いダルフール(同地のアラブ系遊牧民の民兵組織5~6千人が核となり、その後組織を拡大させ続けた緊急支援軍/元々バシル元大統領が組織させ、ダルフール大虐殺事件を国軍と共に起した前科)であり、戦火は、首都周辺都市のほかダルフールへも広がっている。

<日本の救出作戦は>
日本は現地にいる60人あまりを救出するため、自衛隊が救援機をジブチに飛ばしている。
スーダンには首都から北西方向の紅海に面したポートスーダンがあり、そこまで陸路移動し、そこから船でジブチまで行き、救援機で帰国する予定のようだ。しかし、大使館員は別にしても民間人の市内移動・大使館集合は危険を伴う。

ポートスーダンに至る途中には、エジプト軍がRSFに包囲されたメロゥエ市の軍用空港などもあり、危険を伴う地帯を移動することになる。

南東のエチオピアからジブチに入るにも距離があり、また首都ハルツームから東は砂漠地帯が多く、砂漠を越え標高2000メートルあまりのエチオピアに入るにもかなりのリスクがある。
エチオピアもまたスーダンと面する北部ティグレ州は国軍とティグレ族民兵との紛争地帯でもある。

結果、陸路ではポートスーダンしかなく、空路は首都ハルツームの南にある国際空港は最大の激戦地で利用できない。
西側が共同して安全地帯を作り、ヘリで避難するしかないが・・・。米国を筆頭にばらばらに動いている。

<米国とアフリカ>
米国のアフリカにおける権威は、過去、独裁政権を支持していたため、ほとんどなくなっている。そうした独裁政権を軍事クーデターで倒し、現在の別の独裁政権を支援しているのは中国であり、ロシアとなっている。その見返りに両国はレアメタルや原油など資源をアフリカで確保している。
元スーダンの宗主国である英国も米国同様となっている。
アフリカ諸国に人権問題をいきなり要求してもなかなか実現できない。たとえ成功しても南アフリカ国のように過去の米国に対する怨念からウクライナ侵攻問題ではロシア支持に回っている。

現在のスーダンで、一方の勢力に対して影響力を持ったとしても、戦闘状態にある限り救出は困難、双方の勢力に対して実効性のある停戦を合意させ、停戦させない限り、欧米も含め外国人たちの救出は困難を極めると見られる。

国軍と解散を命ぜられた緊急支援軍=RSFは、双方とも勢力は各10万人あまりで均衡、戦闘機は国軍しか持たず国軍有利だが、ミサイルや戦車も含め重火器などの兵器は双方とも同レベル、あとは兵隊の士気。しかし、国軍では兵士約320人が死にたくないとスーダン東のチャドに亡命する事件も発生している。
民族間・地域間の戦闘ではないため、仲介も難しい。

<韓国は>
韓国は救出作戦に救援機と共に軍の特殊部隊をジブチへ派遣している。韓国はRSFに影響力を持つUAEと深い関係にある。

<やはり、出し抜いたアメリカ・バイデン>米の救出作戦
4月23日の報道では、米政府は、アフガン同様、ス-ダンの大使館員など政府関係者とその扶養家族等約70人をスーダン外に退避させたと発表した。
救出作戦には特殊部隊が動員され、33人搭乗できる大型のチヌークヘリ3機を米大使館に着陸させジブチに避難させたという。その際、ジブチ、エチオピア、サウジの支援を受けたとされる。そして残る米民間人については(空っぽになった)大使館へは向かわず、追って連絡するまで屋内に留まるよう指示したという(民間人放置に今後米国内で問題になる可能性もある。)

<フランスは失敗、大使館に引き返す>
一方、フランスも大使館から避難させていたが、大使館を出た車列が銃撃を受け、大使館に戻ったという。ヘリでの救出ではなかった。国軍とRSFの両軍の脱出了解を事前にとっていなければ、車列でも鉄道でもヘリでも危険そのもの。

<袂を分かった2人の将軍>
2019年4月のバシル独裁政権を追放し、2021年10月に文民暫定政権を軍事クーデターで葬り去ったブルハン将軍(国軍/現暫定政権の議長)とダガロ将軍(RSFのリーダー/副議長)の2人。
2022年9月、RSFのダガロ将軍は、民政のための新憲法草案作りをしている弁護士協会などで作るイニシアティブや選挙で選ばれた首班に対し権力を移譲する考えを表明した。また、2021年の民政暫定政権に対する軍事クーデターは間違いだったとも表明している。

これに対してブルハン議長は、民政移管に対して異論はないが、選挙などで選ばれる者以外への政権移譲はないとし、イニシアティブへの政権移譲の考えはないと言明、欧米は両者の対話を求めたが、対話なく、対立が浮き彫りになっていた。

<国軍、バシル回帰への動き鮮明>
国軍将軍のブルハン議長は、21年の軍事クーデター後、バシル独裁政権当時の与党「国民会議党」(NCP/2019年に解散命令/前身は民族イスラム戦線)の元閣僚らを要職に復職させ、NCPの公金不正で逮捕されていた閣僚らも含め釈放させ復職させている。公金横領で凍結されていたNCPやその関係者・閣僚らの銀行口座も凍結解除している。2021年にはバシル大統領も2年の刑期を終え出所、その影響力も持ち、両者は利害関係を一致させ、バシル派の旧NCPとブルハン議長は急接近している。
そして今年4月になり、ブルハン議長はダガロ副議長切りに動き、RSFに対して解散を命じた。怒ったRSFと国軍が4月15日から首都で全面衝突、全国各地に戦闘が拡散している。

一部の外紙報道によると、RSFは同国の反政府組織などを糾合する動きにあり、実現すれば、形勢はRSFに傾く可能性もあると報じている。
いずれにしろ泥沼状態が続き、多くの民間人も巻き添えになる。

<影響力を持つ国>
ほかに影響力を持つ国としては、鉄道等インフラ整備し借金漬けにしている中国(見返りは原油)であるが、一方の肩を持つような国ではない(国際指名手配中だったバシル元大統領は中国の軍事パレートに招待していたという関係)。残りはロシア、バシル政権時は兵器や戦闘機・ヘリなど供与してきたが、現在の関係は不明、ウクライナを抱え余裕も西側の信用もない。ロシア政権の代行者でもあるワグネルはRSFと関係が深く、対話を仲介する立場にない。これまでワグネルはRSFが採掘した金の見返りに重火器含む兵器を供給している(スーダン東のダルフールからスーダン中央のコルドファン州域まで金鉱脈は広く分布している)。
ロシアは金/中国は原油とスーダンでは棲み分けしているようだ。

<停戦合意中、戦闘>
停戦合意中の22日、RSFが占拠していると見られる大統領府の周辺で爆発音や戦闘機の音が聞こえるという。
停戦合意中でありながら、戦闘機を持つ国軍が、RSFが占拠にしている大統領府を攻撃したようだ。
WHOによると21日までに420人以上が死亡し、3700人あまりが負傷している。戦闘は15日に始まった。

両者は外国人の退避に対し協力するとしている。

首都の空港はRSFが占拠し、その後、戦闘が続いていた。
旅客機が破壊されたりしており、空港施設はほとんど使用不可能な状態、周辺の飛行場が使えるのかどうかは不明だが、英・仏・中国などが軍用機を現地空港に飛ばし救出するという。
両者の軍隊は共にロシア製や中国製の兵器が主をなしており、万が一のとき、どちらが攻撃したのかさえ分からない。

<各国の救出状況>
22日米国はヘリで大使館員と家族を焼く100人をジブチに脱出させた。
23日、EU代表部関係者は約100人がハルツームの空港からジブチに退避したという。
  EU諸国のスーダン滞在者は1500人に達するという。
23日にはサウジとクウェートも陸路-ポートスーダンから救出、カタールは脱出の車列が略奪にあった。
フランスは大使館から出た車列が銃撃され、大使館へ引き返している。
ドイツは軍用機がハルツームに到着、今後、大使館などから空港へ向かわせる。
激戦地となっていた首都ハルツームの空港、滑走路は使える状態のようだ。実際は不明。

23日までに日本の救出作戦で、無事に首都を脱出、ポートスーダンに向かっている。首都を脱出できただけでも9割方救出作戦は成功したものと見られる。

両者の停戦合意は21日から23日までの3日間。
記事は現地に記者が滞在している多くの海外紙から構成している。

↓スーダンの鉄道 (動いているかどうか不明)

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[ 2023年4月24日 ]

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