アイコン 韓国の分譲マンション価格▲30%下落 仁川の団地の場合


韓国土地住宅公社(LH)がソウル市のベッドタウンの仁川市で開発し、2021年に実入居条件付きで格安分譲価格が適用されたA団地。当時、3.3平方メートル当たりの分譲価格は1100万ウォン台だった。近隣のB団地の価格は3.3平方メートル当たり1600万ウォン台だった。人気を博し即日完売された。販売されたA団地のマンションの入居は来年4月からとなっている。

公社が条件付で安価に販売したマンションも下落
景気低迷でマンション価格の下落が続いている。
ところが、B団地の価格が2021年当時の1600ウォンから現在は30%安の1100万ウォン台までに下がった。
A団地が年4月に入居が始まるまでに、B団地の価格がさらに下がれば、A団地が逆に高くなり、相場ではA団地に入居した途端、評価相場も下落し、B団地と同じような相場になると見られている。A団地には実入居の制約もあり、B団地より相場が低くなる可能性すらある。

 

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 最近、A団地の住民の間では、「実居住義務が廃止されなければ、家を適正価格で売ることができ、かえって良い」という話が出ているという。
韓国土地住宅公社(LH)に買い戻し特約で、実居住義務を違反すれば、住宅を売らなければならない。この時、売買価格は分譲価格に定期預金の利息を加えた価格と定められている。
周辺の公認仲介事務所は、「周辺相場があまりにも下がり、居住義務を破ってLHに売って損害を防ぐという話をする住民が多くいる」と伝えた。

分譲住宅の実居住義務を廃止する案が今年12月の通常国会で可決されず、市場に大きな混乱を招いている。
このままでは、今年1月の政府発表を信じて分譲を受けた人たちは、突然数億ウォンの残金を用意したり、契約金を放棄して家を手放さなければならない。A団地のように実居住義務を故意に破ろうとする動きまで出ている。

こうした当時は安価に販売された実居住義務の適用を受けた首都圏のマンションは、2023年11月基準で合計72団地、4万7,595世帯に上る。
ソウルは9団地の計7,647戸、
京畿道は50団地の計3万0,221戸、
仁川はは13団地の9,727戸)など。
当数値には約1万2,000戸規模のソウル江東区のオリンピックパークフォレオン(遁村住公の再建築物件)も含まれる。

韓国全土の住宅不動産取引価格平均値(韓国不動産院版)
2022年1月は4億2,765万ウォン
2023年5月は3億8,375万ウォン
下落率は▲10%。

韓国では2017年から2022年で住宅価格は倍になった。日本嫌いの文在寅氏が大統領に就任し、左派らしく、住宅価格を下げるとして各種販売規制をかけた。ところが再開発なども規制強化したため、首都圏で供給不足が生じ、5万戸とされる首都圏の需給バランスが崩れ高騰、文政権は追い討ちをかけ購入規制をさらに強化、大小25回も規制を掛け続けたものの、不動産価格は高騰し続けた。2018年初からの北朝鮮との雪解け外交、ソウル首都圏が北朝鮮の開発拠点になるとして、中国など外国勢が大量買付けしたことも値を押し上げていた。

不動産ファンドの問題
不動産バブル崩壊のきっかけとなったのは、レゴランド社債償還問題、2022年8月に発生、昨年5月開園した江原道春川市にレゴランドがオープン、第3セクターの不動産開発会社の社債の切り替え社債が、それまで保証していた江原道が、道知事の交替で保証しないと発表、金利高騰もあり借り換えできずデフォルト、投資ファンドの社債消化が一挙にできなくなり、高金利発行社債が続出する辞退に至った。
韓国の中央銀行が資金を金融機関に流し、江原道もその後保証するとして問題は解決したが、金利高で社債市場やマンション開発などに利用されていたPFがファンド購入者もいなくなり、私募債も含め大幅に利用が縮小した。

チョンセの問題
韓国には住宅の賃貸制度でチョンセという住宅相場程度の資金を一括支払い月々家賃が発生しない制度がある。チョンセ事業者はその資金を運用して利益を上げ、退去者に預かったチョンセ代金を返金していたが、銀行の金利が高くなり、銀行借り入れ含めた資金運用が厳しくなり、破綻するチョンセ事業者が続出、そうした不動産が売りに出され、価格が大幅下落した。

インフレ退治・為替問題からの金利高
金利を上げれば、事業者の利益は損なわれ、給与は上げられず、投資も行われず、お金が循環しなくなり景気は冷え込む道理。
新コロナで0.5%に落ちた政策金利、物価高騰+ドル高ウォン安対策により現行3.5%にある。貸出利率も1%あまりが現行4.5%まで上昇している。
無担保の社債などの発行レートも大手であっても6%以上とかなり高くなっている。一時は10%前後に達し、資金調達のための発行を断念する大手も多かった。

こうしたいろいろな問題が重なり合い不動産価格は高騰し、また下落している。

そんなこんなで不動産価格は下落に転じているが、韓国の国民性から下落場面でも多くがチャンスとばかりに下値拾いの購入者が現れ、価格は大きくは下がらない。
しかし、こうした下落傾向が続けば、買いも入らなくなり、購入した人たちの損切り処分も増え、下落が止まらなくなる可能性もある。
国民性が集団で動き、一方通行であるため、早期に不動産は回復する可能性もある。韓国の人たちが大好きな仮想通貨も今年1月から1.6万ドルが上昇局面へ、10月から急上昇して12月9日には年初から3倍増近い4.41万ドルまで上昇(現行利食いに押され4.18万ドル台/12/12日)した。
こうした韓国の仮想通貨の巨額不労所得が不動産市場に流れ込み、不動産市場が持ち直す可能性もある。


 

[ 2023年12月12日 ]

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