アイコン 韓国の1月上旬、輸出回復11%増 サムスンの動向


韓国の経済紙を読めば、常に順風満帆の経済であるが・・・、
2024年初めの韓国の輸出は引き続き増加となり、増加率は前年の同期間に比べプラス10%以上となったと大喜びしている。

韓国関税庁は11日、1月1日~10日までの輸出額は154億39百万ドルで、昨年同期に比べて11.2%増えた。
同期間の操業日数が昨年と同じだったため、一日平均輸出額も11.2%増加した。輸出は昨年10月にプラスに転じ、4ヶ月連続して増加が続いている。

品目別に見ると、
☆半導体輸出が25.6%増え、輸出増加をけん引。半導体の輸出は昨年11月にプラスに転じ、12月も2ヶ月連続増となった。
☆石油製品は20.1%増、
☆乗用車は2.2%増、好調だが前年同期もすでに好調だった。
☆鉄鋼製品は5.9%増、
☆船舶は182.9%増
なども好調だった。

 

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一方、
無線通信機器(スマホ)は▲22.0%減、
精密機器は▲1.8%減だった。

国別に見ると、
対中国輸出が10.1%増、
1日~10日の期間では2022年5月の9.7%増以来1年8ヶ月ぶりに増加に転じた。
同期間の対中輸出額は32億40百万ドルは、対米輸出額の26億42百ドルを上回り、昨年12月に米国に明け渡していた最大輸出相手国の座を取り戻した。
☆米国は15.3%増、
☆欧州連合は16.2%%増、
☆日本は18.5%増
などへの輸出も2桁増加した。

一方、
1月1~10日の輸入額は前年同期間比▲8.3%減の184億54百万ドル。
原油は19.0%増、
石油製品は11.8%増
の輸入などが増加
半導体は▲3.4%減、
(中国の自社工場から輸入、システム半導体の台湾からの輸入)
天然ガスは▲45.0%減、価格下落による
石炭は▲23.3%減、価格下落による
同期間の貿易収支は▲30億15百万円の赤字だった。
ただ、赤字幅は昨年同期の62億40百万ドルに比べて50%ほど縮小している。
月間の貿易収支は昨年6月から12月まで7ヶ月連続で黒字を記録している。
以上、報道参照

韓国の貿易で特記するところは、造船輸出が急増していることにある。
新コロナで船舶不足(荷揚げ停滞による)が深刻となり、現在は沈静化したものの、今度は露制裁で欧州向けが急増しており、受注してから2~3年後の納期により、韓国では、その納期時期に来ている。ただ、一昨年は資材の高騰(厚板高騰)、労務費高騰により、造船大手3社はいずれも造船部門で赤字を露呈していた。昨年期はまだ決算発表がなされていない。

半導体は、サムスンもSKも中国に工場を有しており、特に製品メーカーでもあるサムスンは、NANDメモリを中国から輸入し、セット・パッケージ化してベトナムやマレーシアの自社製品工場に送っている。そのため韓国からの輸出はベトナムやマレーシアなどが多くなっている。

ただ、サムスンはプレミアム価格帯のスマホを韓国で製造し、ほかはベトナム・インドなどで製造している。
それに伴いそうした製造国(スマホや家電)へ韓国から半導体・部品部材が自社工場向けに輸出されている。
ところが、世界のスマホ市場は販売数量が頭打ちになり久しく、最近は不景気もあり、低迷し続けている。

サムスンは、自社製スマホに自社製の半導体を組み込んでおり、スマホの販売数量が減少すれば、半導体の輸出にも、業績にも影響する。
プレミアムスマホは最新半導体の搭載量も多いものの国内生産であり、韓国からの通信機器の製品輸出に影響している。

サムスンの2023年12月期の通年決算は、売上高は前年比▲14.5%減の258兆16百億ウォン(約28.2兆円)、営業利益は前年比▲84.9%減の6兆54百億ウォン(約71百億円)だった。

スマホがこれまでプレミアム価格帯が好調だったことから、半導体の赤字をカバーしてきたが、ここにきて、中国勢の(安価な)プレミアム価格帯での台頭、輸出攻勢により、スマホ利益は多くを望めない環境になりつつある。

変わって、半導体の利益がやっと浮上しつつある。世界景気が同時に回復しているわけではなく、逆に厳しい国もあり、特にメモリ半導体は大手メーカーも多く、その優位性には限界があり、常に山・谷を繰り返し、今回の半導体暴落がそれを示している。

期待したい本格的な景気回復
新コロナ特需の反動減からの回復、膨大なAI特需、サーバー需要回復、データセンター回復、5G中継基地用需要増、景気が回復すれば、半導体もスマホも売れる・・・・

<スマホと半導体の好調、交互に訪れる・・・サムスン>
サムスンの場合、半導体が低迷期にはスマホが業績を牽引し、今回もこれまでプレミアムスマホが牽引してきた。
こうしたなか、スマホが翳ろうとしており、変わって在庫も減った半導体が浮上しつつある。
両方とも不調だった場合は膨大な赤字に至り、サムスンの限界もそこに見える。

同社の両軸となっている半導体とスマホ、両方が業績好調の期間は短く、景気の波、材料と製品のタイムラグ、また、スマホの販売数量の頭打ちからの減少、景気悪化および中国勢の安価なプレミアムスマホの台頭で、サムスン・アップルの販売数量は低迷してきている。


 

[ 2024年1月15日 ]

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