アイコン 日産、追浜から九州へ生産集約──揺れる地域、進む再編 自動車産業の地殻変動


日産自動車は7月15日、神奈川県の追浜工場での生産を段階的に終了し、福岡県苅田町にある「日産自動車九州」に生産機能を移管・統合すると発表した。2027年度末までに、現在追浜工場で製造している「ノート」「ノートオーラ」や、新型「キックス」の生産をすべて移す。これにより、日産の国内生産体制は大きく再編されることになる。

 

「カーアイランド九州」の存在感が拡大

九州は、トヨタ・日産・ダイハツなどが拠点を構える「カーアイランド」として知られる。中でも、日産自動車九州は年50万台の生産能力を持ち、約4,500人の従業員を抱える巨大工場だ。地元の商工会や自治体からは、「経済効果が期待できる」と歓迎の声が上がっており、苅田町や福岡県の首長も安堵感を表明している。

一方で、地元の従業員からは「情報が何もない」「急な話だ」と戸惑いの声も漏れる。受け皿となる九州にとっては追い風だが、追浜工場の従業員や関連企業には逆風が吹いている。

 

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国内再編は業界の共通課題に

今回の決定は日産に限った話ではない。国内の自動車メーカーは今、電動化やCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の潮流に押され、設備投資や人員配置の最適化が迫られている。トヨタも愛知県内での工場再編を進めており、ホンダも八千代工業の生産終了などを通じてサプライチェーンの見直しを進めてきた。

背景には、EV転換による部品点数の減少、工場の自動化、省人化といった構造的変化がある。加えて、人口減少による労働力不足や、地方分散によるコスト抑制も重要な要因だ。日産九州工場について、九州経済調査協会の片山礼二郎氏は「生産性が高く、土地も広く、賃金も抑えられる。日産が集約を進めるのは合理的だ」と分析している。

 

「選ばれた九州」も安泰ではない

ただし、九州が“守られた”のではなく“選ばれた”に過ぎないという見方も重要だ。生産の安定は販売の好調があってこそであり、もし世界市場で競争力を失えば、再び生産体制の見直しを迫られる可能性もある。

今後注目されるのは、追浜工場跡地の活用や、従業員の雇用維持策といった「責任ある撤退」の姿勢、そして移管後の九州工場が本当に成長を遂げられるのかという点だ。

 

自動車産業、日本の地図を塗り替えるか

今回の再編は、地域経済・雇用・産業集積の在り方にまで影響を与える可能性がある。自動車産業はかつて「東京・愛知」中心だったが、いまや「九州」や「東北」へのシフトが明確になってきている。

グローバル競争の中で、日本の自動車産業は今、大きな地殻変動の只中にある。その動きがもたらすものは、単なる“効率化”ではなく、地域産業の再構築と新たな成長の種かもしれない。

[ 2025年7月16日 ]
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