アイコン 「朝鮮半島出身労働者問題」、国際司法の場での日本側敗訴はない。その1

 

 

きょうも、秀逸のブログ(農と島のありんくりん)に投稿された山路敬介氏寄稿には溜飲が下がるばかりです。

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農と島のありんくりん
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移り変わる自然、移り変わる世情の中で、真実らしきものを探求する

2018年12月18日 (火)

■山路敬介氏寄稿 朝鮮半島出身労働者問題」、国際司法の場での日本側敗訴はないその1

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山路氏より寄稿を頂戴いたしました。ありがとうございます。

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■「朝鮮半島出身労働者問題」、国際司法の場での日本側敗訴はないその1
                                                                                       山路敬介

はじめに 結論は明らかだが

表題のような結論は自明です。

けれど、旧メディアやその出身のライター諸氏の記事、あるいは有志弁護士200名の会などの声明をみると、韓国大法院の異様な判断を法的にあたかも正当であるかのような伝え方をしていたり、読者をして国際司法の場での日本の不利を想起させるような誤った言説が見られます。 

こういう誤った言論にふれる事で、「日本が司法の場で敗北する可能性もあるのでないか?」などと心配される方々が必ず出てきます。

その結果として、韓国政府の音頭取りになるであろう「三者拠出金方式」などに世論が誘導され、最悪の解決方法である「政治決着」に行きつく意見が多数となる事が心配です。

また、「しょせん韓国は人口で日本の三分の一、経済規模で五分の一にすぎず、あえて事を大きくすることは日本経済にとってマイナスだ」との言論に与することも出来ません。

大法院判決は「併合時代が不法」だと言っているわけで、その論理からは「日帝36年間」に行ったすべての日本の行政行為はじめ、往時の日本人個々人の正常な経済活動まで悪とされ補償の対象となる行方が想定されるからです。

何をもって「勝ち」とするか、何が「負け」なのか?を定義する問題はありますが、けれど国際司法の場で法的に日本側が敗訴する可能性は100%ありません。

そもそも「日韓請求権協定」は、日韓両国が批准する「条約に関するウイーン条約」26条、27条により、韓国の司法、立法、行政の三権をすべてを拘束していて、大法院で今回のような判決が出る事自体が違法なのです。

そして実際、韓国大法院の判決全文を読み込んでみれば、それはあまりにも幼稚で初歩的な曲解と誤った前提から導き出される誤謬の数々に満ちていて、とてもまともな法律家のものとは思えない呆れた文書です。

なぜ、その初歩的な誤りを日本の法律家連中や評論家が個別具体的に指摘しないのか、その点も大いに疑問であり不満でもあります。

もちろん巷間いわれるように文在寅大統領自身、「大法院判決」が国際司法で通用するような代物でない事は良く理解しているのでしょう。(そうであれば、むしろ既存の「国際秩序への挑戦」と受け取れます)

なので、竹島問題同様に提訴してもICJ(国際司法裁判所)から逃げ回る事になるのでしょうが、日本は紛争の解決に関する交換公文に記されているように米国を第三者とした決着や、訴訟参加を忌避出来ない国際仲裁裁判所での司法決着に向けて、今すぐに淡々と手続きを始めるべきです。

その事が日本国のみならず、大韓民国国民の為の最良の選択です。 

過去はどうあれ、韓国という国家は日本とは別個の国なのです。

日本政府は腹を決めて大韓民国という立派な独立国を最大限に尊重した解決方法をとるべきです。

なお本記事では、主として「法的な観点から」を中心に論じて行きたいと思います。

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/11...

■ 「ほっと」とした私 

先の新日鉄関連の韓国大法院判決は出るべくして出たものですが、私がその報に接したときの瞬間の正直な気持ちは「ほっとした」というか、胸をなでおろすような気持ちでいっぱいでした。

この理由はいくつもあり、韓国の日本に向けた「悪意」というものがようやくカタチとして可視化されるにいたり、多くの日本人にもそれが正しく理解できるようになるであろうと考えたゆえでした。

ですが、一番の理由はそこではなく、これまで曖昧にして隠されてきた日本政府の緩いスタンスからくる不首尾こそが目に見えるカタチで提出され、以降の外交の在り方に一本筋を通す事になるとの期待感からです。

例えば朝日新聞などを読んでおりますと、日本はILO(国際労働機関)から「29項の(時効のない)強制労働規約に違反している」と指摘されていると読める記事が出ていますが、ILOは同時に、「戦時の徴用に関する例外規定に該当する」とする日本側の主張の正当性をほぼそのまま認めています。

もし、朝日の記事内容が正しいとすれば(少なくも主旨は正しいと思われますが)、ILOの言っている事はきわめて二律背反的なものと言わざるを得ません。

なぜ、そうなるのか。一般論として、日本がILOの常任理事国であり、先頭に立って国際社会に置ける強制労働問題解消に寄与する役割を期待されている事がまずあるでしょう。

ですが、まずこれまで(2007年以前)のいわゆる徴用工問題における前向きな「日本側の対応」(企業の和解金支払いであったり、請求権は消滅していないとする妥当な正式見解を日本政府が一貫して取り続けて来た事があります。

また韓国人原爆被災者に対する特別立法措置など)の経緯を見ての、譲歩しやすい日本側の体質を見越したうえで、さらなる譲歩を促す意味や期待感のあらわれである事は間違いありません。

端折って言えば、日本のこれまでの緩い仕方こそが日韓基本条約や請求権協定の平和条約としての根本的意義を失わしめようとしていて、国際機関のジャッジメントに影響を与える最大要因になっているのです。

安倍総理は「戦後レジームからの脱却」をうたい、それが多くの保守派支持層のこころをつかみました。

しかし、それは西尾幹二氏が期待するような「日本の従来性の回復」というようなものではついぞなく、見る人から見ればむしろ最近は「戦後レジームの守護者」とさえ誤解されるきらいがあります。

しかし、そのような自称保守派反安倍組の意見は観念的であるばかりでなく、短絡的に過ぎるので採用できません。

少なくも(その目的自体が正しいとしても)一朝一夕には行かないのです。

安倍の「戦後レジームからの脱却」の重要な第一歩は、まずは戦後に確立したルールや枠組みの尊重、国際的な「法治の徹底」があり、その実現により日本がよりフェアな扱いを受ける位置を確立する事でした。

この事は国際主義オンリーのように一見みえますがそうではなく、日本国内にこそ重要な改革すべき点が存在するのです。

その象徴的なものが、日韓基本条約や請求権協定、日中平和基本条約の精神を自ら換骨奪胎した歴代日本政府・自民党、あるいはマスコミ等の朝鮮半島や中国との従来的な関わり方の中にあります。 

そのような点にかんがみて今回の件に戻れば、いい意味で「日本は非常に追い込まれた」と言えます。

この事で日本国内の戦後レジーム的「ゆるみ」はハッキリしますし、さらにそれを介在する余地を残す事は日本企業のみならず、どれだけ日本国民に損失を与える事になるか明白になったからです。

文在寅に国際条約を守る意思はなく、南北統一を期にサンフランシスコ体制の枠組みを解釈変更させようとする企図さえ見受けられます。

国際社会を通じて合意した「慰安婦合意」が一方的に事実上破棄された以上、日本国として再び問題解決のための「基金の設立」など出来ようハズがありません。

北朝鮮問題などいろいろ言い訳は可能でしょうが、これをやれば安倍総理は死んだも同然です。

「差し押さえ」云々が注目されますが、そこがポイントではありません。 

あのような確定判決が出た自体が国際法違反なのであり、その解決策はもはや国際的な司法判断を介在させるしかありません。

もし、このような判決を韓国政府が有効に是正せず、かつそれを日本政府が「差し押さえ未満だから」といって放置して、再び永遠に守られもしない合意を繰り返すなら、以降の日本は韓国側判決を「追認」したとみなすのが国際法の常識です。

大法院の判決どおりの、「条約の解釈の変更」が有効に成立した事になり得ます。

してみれば、韓国知識人や朝日新聞は「基金設立による解決」をしきりと喧伝するのもまた当然です。

ともかくも、日本がこの問題に安倍総理時代に当たった事はとても幸運だったと言えます。

韓国側が考えるようには日本の外交力は外務省も含めて落ちていず、事実は真逆です。

対する韓国外交部こそが、国内的に「積弊」扱いされて疲弊しきった状況にあると見て良いでしょう。

もちろん困難は想定されますが、むしろ複数の理由から「最大のチャンスが与えられた」と考えます。

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[ 2018年12月18日 ]

 

 

 

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