アイコン 中国政府 外国企業の権利を認める法を整備へ 知的財産権侵害問題

 

 

新華社通信によると、中国政府は23日、国会にあたる全国人民代表大会の常務委員会において、外国企業の権利に関する新たな法案を提出した。
法案では、外国企業の知的財産権を保護するため「行政手段を通じて、技術移転を強制してはならない」としている。
中国では、外国企業が事業を行う際に、中国の企業と共同で出資した合弁企業でなければ操業できないといった規制があり、米トランプ政権は、企業活動を一緒に行わせることなどによって技術移転を強制していると問題視してきた。

これに対して、中国側は、これまで「技術移転は企業どうしの契約に基づくもので、政府による強制はない」としていた。

しかし、今回の動きは、米国の主張に譲歩する姿勢を示したもので、中国としては、来年3月1日までとされる交渉を通じて、アメリカとの貿易摩擦を緩和するねらいがあるとみられる。

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<3月には全人代開催>
3月には全人代が開催され、これまで豪腕政治を司ってきた習近平国家主席にとっても、米中貿易戦争の激化、経済低迷は打撃となる。それまでに収拾をつけたい思惑がある。
当問題は習主席を呼んでの党長老会議=北載江会議でも問題にされたと報じられていた。

<LGディスプレイの広州新工場の場合>
LGディスプレイ(LGD)は、今夏、総投資額約5000億円を投資し、広州市に最新の8.5世代の大型TV用OLED(有機EL)パネル工場を建設中であった。
完成後の生産認可を取得しようと新会社設立の申請をしたところ、中国政府が広州工場設立の承認条件として、(1)OLEDの製造技術移転、(2)OLED研究開発(R&D)センターの建設、(3)部品・素材の現地調達などを掲げ、技術情報を提出しなければ、認可しない方針を伝えたと報じられていた。
当技術は、韓国政府系研究機関との共同開発であり、中国進出に際しても、しぶしぶ、韓国政府は了承していた経緯もあった。

しかし、知的財産権問題が、米中貿易戦争の核心問題でもあったため、中国政府は急遽、そうした話は作り話だと一蹴し、生産会社を認可した。
ところが、新会社には、中国の地方政府が30%出資することになっている。LGDは土地の取得(権利)を行い、建設中であったため、独自進出をあきらめたものと見られる。
結局、LGDは技術流出の可能性を残した。

いまや世界の殆どのTVメーカーの大型有機ELディプレイはLG製、有機ELディプレイは「中国製造2025」の10核心製造品の一つだった。中国としても中国産のLGディスプレイは、自国メーカーが育たない以上、取り込み中国製として容認するものと見られる。「中国製造2025」も急がず、抑制策を取ると報じられている。

<マイクロン問題と米制裁>
半導体で米マイクロンに対する問題、中国裁判所が今年7月、マイクロン製品の中国国内での販売禁止の仮処分判決、一方でマイクロンは米国で、UMCとJHICCを知的財産権の侵害で訴訟を起こしていた。中国での判決を受け、米トランプが激怒。
マイクロンのファンドリーメーカーの台湾UMCが、マイクロンの製造技術を中国製造2025で設立された半導体メーカー福建省晋華集成電路(JHICC)に伝授・提供していたことから、UMCとJHICCに対して、米企業製品やサービスの提供禁止の制裁を課した。

JHICCには、米企業の半導体製造装置が大規模新工場に多く納品されており、制裁を受け、生産のための装置連結やメンテ要員が全員引き上げ、工場には装置が設備されているものの、動かすことができなくなっている。
世界第3位のファンドリーメーカーのUMCは、米トランプを怒らせており、潰れる可能性が高い。
米トランプが、知的財産権問題を核心問題と位置づけ、対中貿易戦争を仕掛けているさ中、中国もアホかいなと思われる。

中国では執権者により出る釘は打たれるが、執権者の出すぎた釘も打たれる。習近平国家主席の独裁政権樹立は自らの幻想に過ぎない。政敵潰しには成功したが・・・。
 

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[ 2018年12月24日 ]

 

 

 

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