アイコン 日本電気硝子 全固体ナトリウムイオン電池の開発と量産化にめど


日本電気硝子は、開発中の全固体ナトリウムイオン電池の電気抵抗を大幅に減らすことで、実用可能な水準の性能を確かめたと発表した。
製品化への弾みとなる成果といい、車載用や定置型用途として2025年中の量産化を目指す方針も明らかにした。
研究成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。
次世代電池と目される全固体電池は、リチウムイオン電池のように電解質に液体を使わず、安全性や耐久性に優れる。電気自動車(EV)への搭載も今後見込まれるため、世界中で開発競争が激化している。
ガラス加工を得意とする同社は、正極材料に結晶化ガラス、電解質に酸化アルミニウム素材を用い、2017年に試作した全固体電池の駆動実験に成功した。

今回は結晶化ガラスと電解質の粉を小さくするなどして互いの接触面積を拡大。電気を取り出す量に関わる電池内部の電気抵抗値を、従来の約5%に抑えた。
 新たに試作した電池では、セ氏0度でプロペラを回すモーターの作動を実証した。
今後は負極材料の開発を急ぐ一方、早期の事業化に向けて電池や自動車メーカーなど提携先を探す。
以上、

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<負極材については>
2019年11月、国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)は、市販のシリコンナノ粒子を用い、スプレー塗工法で作製したシリコンナノ粒子電極体が、全固体電池中で高い出力特性及びサイクル特性を示すことを見出した。
高価で大面積化の困難な気相法で作製するシリコン蒸着膜ではなく、安価で大面積化が比較的容易なスプレー塗工法で作製したシリコンナノ粒子電極体で高い電極特性が確認されたことは画期的で、安全で高い信頼性を有する全固体リチウム二次電池の高容量化への貢献が期待される。
以上の報道がなされていた。

<トヨタの全固体電池>
2020年1月の報道では、全固体電池は、従来型の電池の電解質を固体にすることで、高いエネルギー密度と出力特性の電池を可能にする。後続距離や充電時間に課題があるEV用の次世代電池として期待されている技術。
トヨタは2019年、小型EVのコムスで実験走行に成功し、2020年中には実際の製品に搭載するとしている。最初は、コムスやその他パーソナルモビリティへの搭載が予想されるが、実現すればEV普及に弾みがつく。
とくにトヨタは、現状のリチウムイオン電池のピュアEV(BEV)は、長距離および乗用車には適さないと考えており、全固体電池の実用化とEVシフトをセットにして考えている。
(トヨタは中国での新エネ車販売促進策によるEV販売は、提携する広州自動車のEVを供給してもらい別ブランドで販売している。ペナルティが大きいため)

現状のリチウムイオン電池のエネルギー密度は、300Wh/L、出力密度は8000W/L、全固体電池は400から800Wh/L前後のエネルギー密度をカバーできる。
エネルギー密度が高いほど、同じ大きさでも高い容量の電池が実現できる。
また、全固体電池は液体の電解質を使わないので、電極のショートを防ぐセパレータが不要という特徴もある。セパレータは絶縁体だが、リチウムイオンを通す繊維素材で作られる。液体電解質の場合、セパレータがないと、圧力などで正極(アノード)と負極(カソード)が接触してしまいショートする。電解質は硫化物質または有機溶剤が使われるので爆発や引火の危険性もある。
(韓国現代車のコナEVは5件の火災事故発生させている)

電解質が固体なら、電極は電解質で分離されているのでそもそもセパレータは不要。しかし、リチウムイオンの行き来が自由で(つまり半導体の特性を持つ)薄膜にできる素材の探索が難しい。全固体電池の実用化は、いかに良好な特性を持つ個体電解質を探索・発見するかにかかっているという。

全固体電池の基礎技術は第2段階に入っているが、実用化には量産など製造技術の問題もある。一つは、固体の電解質をどのように重ねて電池の形にするかという問題。実験用にコイン型、円筒形に作るのはそれほど難しいものではない。しかし、EVのような大容量、大出力にするには、セルを何枚も集積したモジュールを作らなければならない。筒に入れるなら正極、負極、電解質をパウダー状にすればいいのだが、集積化を含めた量産を可能にするには別の方法が必要。
トヨタでは、電解質の粉を液体とのり(バインダー)を混ぜる湿式コーティング技術を開発。これにより、電解質の層を大幅に薄くすることができ、角形のセルのプロトタイプを完成させている。
全固体電池はまだ研究開発段階だが、生産技術もある程度同時に進められている。実用化、本当の量産化にはまだハードルはあるという。

日本は国家プロジェクトとして、いくつかのグループに開発させ、ヒト+モノ+カネを投入して開発促進させる必要がある。企業任せでは、国家支援が大きい中国勢や韓国勢に負けてしまう。
また、技術を盗まれないようにしなければ、商品開発力にスピードを持つ両国勢に負ける。

 

[ 2020年6月16日 ]

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