アイコン 韓国のバッテリー3社 深刻な開発技術者不足と


世界大手のバッテリーメーカーの韓国のLGエネルギーソリューション(LGES)とSKオン、サムスンSDIの3社は揃って、技術的な要求が膨らみ続ける中で研究開発や設計といった分野の専門家をそろえるのに苦戦しているとロイターが報じている。
大手自動車会社からの要求は容量、出力、軽量化、価格、安全性のハードルは上がる一方だが、全固体バッテリーなど最先端の開発技術を維持する上で必要な訓練を受けた技術者を十分に探し出せないという。
LGESのある幹部は「業界のこれほどの成長ぶりを間近で目にしてきたとはいえ、われわれは人材不足に見舞われているようだ。自前の人材を育てつつ、外部から集めることが重要だ」と語った。
ライバル2社も同様の見方で、SKオンはこのセクターの拡大を「指数関数的(爆発的)」と描写した。

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実際、世界全体のバッテリー産業は過去5年で2倍の規模になり、韓国だけで研究開発・設計などの分野の大卒者の不足が約3000人に上っていることが、韓国バッテリー業協会の直近データで分かる。LGES、SKオン、サムスンSDIの従業員は合計で現在およそ1万9000人。
韓国の人手不足は、世界のバッテリー市場で専門家がどんどん足りなくなっている状態の裏返しでもある。
IHSマークイットの予想では、同市場規模は2025年までに3倍に拡大し、ほぼ900億ドルに達する。
一部の業界専門家は、こうした世界的な労働力の供給不足が解消されなければ、バッテリー技術の進歩にブレーキがかかる恐れが出てくると警鐘を鳴らしている。
最大の温室効果ガス排出源の1つである自動車セクターのクリーンエネルギー化は、まさにその技術進歩にかかっている。
足元では、バッテリー産業において人材の需要は供給をはるかに上回っている。メーカー側には、この技術に関する仕事ができるごく少数の母集団から働き手を確保できるか、そして急成長を続ける市場で常に先頭の位置を維持できるだろうかという不安を指摘されている。

<外国企業の引き抜き>
LGESは来春、名門の高麗大学に「バッテリー・スマート工場学科」を開設し、卒業生に雇用を保証することを計画。これは、業界がいかに人材獲得を迫られているかを表す現象の1つと言える。
もっと最近では、各社が経営幹部を動員して、米大学において採用イベントを開催いる。

韓国勢は、世界最大手の中国CATL(寧徳時代新能源科技)やパナソニックといった既存の有力アジア企業だけでなく、スウェーデンのノースボルトなど欧米の新興メーカーとの競争を強いられている。
2人の業界関係者によると、韓国勢が人材不足に陥っている背景には、一部従業員がより高い報酬につられて外国のライバルに移籍している面もあるという。
VWなどと取引があるノースボルトは以前、従業員にはLGESやパナソニックから引き抜いた人が含まれると述べている。ただ従業員の具体的な報酬額は明らかにしてない。
韓国では、博士号を取得した新卒のバッテリー専門家なら年収は最大1億ウォン(8万5000ドル)を得ることが可能で、博士号がなくても2、3年の実務を経れば平均年収は約8000万ウォンになるという。
韓国の税務当局のデータに基づく韓国の勤労者の平均年間給与は2019年時点で3740万ウォン、大企業と中小企業の格差はあるが、それでも高い。

<人材不足問題は長期化か>
韓国のバッテリー産業は、つい最近まで「内輪もめ」もしていた。LGESとSKイノベーションの技術、企業秘密、従業員引き抜きを巡る紛争が2年にわたって続き、今年4月にようやく和解が成立した。それはLGの技術をSKが盗んだものと米ITCが採決していた。米バイデン政権による和解圧力によるものだった。
EV普及を最優先課題の1つに掲げるバイデン米大統領は、この和解を「米労働者と米自動車産業にとっての勝利」と評価し、LGESとSKオンの世界市場における重要性が浮き彫りになった。(米労働者にとって勝利とはいえない、エンジン部門はゆくゆくなくなり、そうした工場の労働者はサプライチェーンの労働者も含めて仕事がなくなる)
ただ、各バッテリーメーカーは、人材不足問題を抱えながらも世界的な需要増大に後押しされる形で生産能力増強の取り組みを急いでいる。

LGESは年末までに生産能力を155ギガワット時(GWh)に乗せ、25年中にはおよそ720万台のEVに供給可能な430GWhに引き上げる方針、LGESはGMと組み2ヶ所のバッテリー合弁工場を建設中でもある。
SKイノベーションも25年までに年間生産能力を今の5倍以上の220GWhとすることを目指し、先週にはフォードと共同で米国に3ヶ所のバッテリー工場を建設するため10兆2000億ウォンを投じると発表した。
サムスンSDIもPSA(ステランティス)やBMWへ供給している。
3社とも東欧に生産拠点を設けている。

技術者が足りない局面はあと何年も続く公算が大きいと予想されている。
バッテリー産業の労働力不足は、既に世界的な問題になっている。多くの企業が増産に乗り出すとともに、働き手の需給がずっと不均衡になるという。
以上、ロイター参照

EV用バッテリーは、ソニーが世界に先駆けて量産化したリチウムイオン電池からまだ抜け出せていない。
すでに高性能な全固定電池やリチウム硫黄電池など開発されているが、充電時間も含め性能面で優れていても価格、安全性などを克服できていない。そうしたこともあり、開発ベンチャー企業も世界で見れば多い。
意外とそうしたベンチャー企業に優秀な人材がいるかもしれないが、そうしたベンチャー企業は開発途中であっても、大手企業に会社ごと高値で売却する経営姿勢であり、海外で研究開発施設を持たなければ技術者の一本釣りは難しい。そうした面では韓国勢はシリコンバレーなどに研究施設を設けたりしているが、本格的なものではない。
ノースボルト社もスウェーデンのバッテリーのベンチャー企業であるが、すでにVWと組みドイツに工場を建設している。

日本勢は、
パナ社も核や組織を経営者が替わるごとに弄繰り回し、もはや蚊帳の外に自ら進もうとしている。元々テスラとの初期の共同研究はサンヨーが行っていたもの、力が入らないのだろうか。
日産は傘下のバッテリーメーカーを中国企業に売り飛ばし、今になってその企業と協業している。
日本のバッテリー専業メーカーは自ら埋没していくしかない。蓄電システムなど産業用に特化したところで、中韓大手やテスラさえ進出していることから、こうした巨額資本の企業に市場は飲み込まれてしまう。太陽光発電や半導体と同じ運命であるといえる。潜水艦用など親方日の丸だけではグローバル化した工業世界においては生き残れない。

中国バッテリー勢は米中貿易戦争の余波を受けているが、これまで韓国勢をパージして進めたEV販売効果もあり、技術的には大きく進歩、今では韓国勢に引けを取らない水準に達している。中国勢は2019年まで商売にならなかった開発で先行していた韓国バッテリーメーカー勢の技術者を一本釣りしてきていた経緯がある。
中国はこうした先端技術者の養成・育成を、国家が主導しており、そうした技術者たちも順次、戦力になってきている。

バッテリー価格は世界の大手自動車メーカーが、韓国勢3社を含め長期に高値で囲い込んでおり、2025年まで下がらない。
また、自動車メーカーは専業メーカーから購入すれば、車両販売価格の1/3~1/2とされるバッテリー価格により、利益が出ないジレンマに陥っている。すでにVWなどはバッテリーの自社生産も表明している。米2社もLGとSKとの合弁会社で生産を行い、利益を吸収する算段。
勢力図のどんでん返しが予想される全固定電池、購入や合弁で時間を稼ぎ、その開発をそれぞれの自動車メーカーは待っているのかもしれない。トヨタが先行しているが、どこの自動車メーカーも研究開発している。

韓国勢のバッテリー専業メーカーにしても巨額の技術開発や工場投資が相次ぎ、利益は出ていない。LGのように現代自やGM・VWで納入したバッテリーから火災が発生すれば、巨額のリコール費用の負担も待ち構えている。安全のニーズは今後とも高まり続ける。今後は充電中、停車・駐車中、走行中に加え、リチウムイオン電池の弱点である衝突時の火災問題もクローズアップされる可能性がある。2020年は世界的にEV元年となり販売が急増している。


 

[ 2021年10月 6日 ]

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