アイコン 日本製鉄 トヨタと宝山鋼鉄を提訴 提訴するには5年遅い


日本製鉄は14日、トヨタ自動車と中国の宝山鋼鉄を特許侵害で東京地裁に提訴したと発表した。それぞれ200億円の損害賠償を求めている。
電動車に使われる無方向性電磁鋼板に関する日鉄の特許を侵害したとし、トヨタには同製品を使用した電動車の製造販売の差し止め仮処分を申し立てた。
以上、

何で今頃になって日本製鉄は宝山を提訴するのだろうか。米国に同調した動きとしてはいただけない。
事の発端は、2010年ころにポスコが同社(元)従業員を産業スパイしたとして(ポスコの生産技術を宝山に売り渡した)、提訴したことに発している。

元従業員は裁判での供述で、ポスコの無方向性電磁鋼板は日本製鉄(=新日鉄)から技術を盗んだものであり、盗んだ技術を宝山に売却したところで、そもそもボスコの特許技術ではないため罪には問われないと反論したことに始まっている。
(新日鉄はポスコが無方向性電磁鋼板技術を盗んだものと確信していたが、裁判に訴えるだけの証拠が出ていなかった)

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新日鉄は、無方向性電磁鋼板製造技術は、極秘技術として金庫に製造技術書を入れ、ごく少数の関係者しか見れないようにしていた。
しかし、小泉政権時代の聖域なき削減の企業版で大手企業のほとんどが製造部門・技術開発部門も大量リストラ、明日はわが身かと案じた新日鉄の社員や関係者たち10数人が連携して、当技術をポスコに売却していたことが判明(新日鉄は罪を問わないことで元社員の一部から供述を引き出し、元従業員らを提訴、そこでも元従業員らと2017年3月に和解していた)。

その供述をもとに、新日鉄は2012年にポスコに対して約1000億円(実際は986億円)の損害賠償請求訴訟を起こした。しかし、金の玉のないインポな新日鉄は、当時各国へポスコ製無方向性電磁鋼板の輸入をしないように訴訟することもなく、2015年になるとポスコと約300億円で和解していた。大バーゲンセール。

(ポスコは元国営の浦項製鉄所、戦後の八幡製鉄所の最新設備技術を当時の政権者らが韓国ににじり寄るため技術支援としてプラント輸出(賠償金の一部で決済)させた。業界では必ずブーメラン現象が生じると懸念された。溶鉱炉から製鉄に至るまでのプラント一式は1973年に完成し、2020年7月まで生産していた優れもののプラントであった。新日鉄は以前からポスコの株主でもある。)

ポスコが訴えた元従業員による中国の宝山にポスコの無方向性電磁鋼板製造技術を売り渡した事件、韓国の裁判では、被告人は宝山に売り渡したことを認めており、新日鉄は2010年当時、当該の被告人から言動や供述・証拠は取れたと見られる。また、新日鉄は2015年にボスコと和解したときにもなんらか裏づけを取れたと見られる。

今になって、訴訟を起こすとは、石橋をたたいて渡らなかった日本の大手企業を象徴する動きになっている。
それとも中国派の国会議員からの強い圧力があったのだろうか、当該の議員さんが最近失脚したことから訴訟に踏み切ったのだろうか。
日本製鉄の動きは何かいんきんタムシ臭い。宝山を訴えるなら遅くとも2015年までに訴えるべきだった。
今や生産技術、生産効率、新規事業へ開発意欲、海外への進出意欲等、日本製鉄はポカコの足元にも及ばなくなっている。

今の日本製鉄の社長は、就任に当たって、かつての世界一を目指すと豪語したものの、現実は新たに効率の良い製鉄所を設けることなく、全国各地の溶鉱炉を潰してばかりいる。
日本製鉄が当該鋼板を使用しているトヨタまで訴えたのは、トヨタとの取引が減った意趣返しなのだろう。
金の玉のない日本製鉄は宝山に対して200億円の請求訴訟、2000億円ではない。

[ 2021年10月14日 ]

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