アイコン スリランカ 大統領実兄の首相が辞任、一帯一路債務の罠


スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ首相(3回元大統領で現大統領の実兄)は9日辞任した。
同国ではアジア最速ペースで進むインフレを巡り数週間にわたって抗議デモが行われているが、デモ参加者が暴徒化。政府は外出禁止令を発令し、軍に出動を要請していた。

首相辞任によって、大統領が危機収束のために提案している解決策の一つが野党議員を政府の主要な役職に就ける道をつくった。
ただ、デモ隊はゴタバヤ・ラジャパクサ大統領も辞任すべきだと主張しており、マヒンダ氏が首相の座を降りるだけで市民の怒りを鎮められるかどうかは定かでない。
以上、

 

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マヒンダ・ラジャパクサ首相は2005年~2015年まで大統領に就任(別途首相には3回就任)、中国派として知られ、中国に対して巨額インフラ投資を要請し、港湾・空港・高速道・施設整備を行い、現在、債務の罠に嵌り(=借金の漬物国)、外貨不足で燃料を購入できない事態に至り、停電、ガソリン・食料高騰に陥っている。
主要産業である観光や海外出稼ぎ者の仕送りも新コロナで大きな打撃を受けており、救いようがなくなっている。

「ゼロコロナ策」を採る中国からの大量の観光客の受け入れは収束どころか終息するまで不可能に近くなっている。同国の最南端の港湾はすでに借金減らしに99年間貸与(最初からの中国の狙い)しており、今後、空港や高速道運営権、施設所有権等が中国側に99年間引き渡される可能性もある。

インフレ率は、今年2月は15.1%、3月18.7%、4月は29.8%、
うち食料インフレ率は、2月は25.0%、3月25.7%、4月は30.2%
中央銀行の貸出基準金利はこれまでの6.50%から4月に13.50%と一機に引き上げられた
対外債務は50,724百万ドル(今年期限の債務は45億ドル)
21年のGDPは8,071百万ドル
3月の外貨準備高は1,930百万ドル
対ドルスリランカルピーは、3月8日1ドルは201.766LKR、5月9日は364.705LKRと81%のLKR安、ドル高となっている。
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今年2月にはイランから購入していた石油代金が支払えず、急遽紅茶で決済したが、もう購入することができないようだ。
中国インフラ賄賂の政治家たちの富裕層は高級住宅街に住み、自家発電で電力が供給されているという。
同国はIMFに緊急融資を要請しているが、結果的に中国への巨額債務返済に充てられることになり、積極的に乗り出せないIMFの事情もある(欧米がパキスタン債務問題で提起)。
4月には、食料輸入に外貨を優先使用することから、対外債務の返済猶予を要請している。しかし、僅かな外貨でいつまで持ち応えられるか、約定期限の債務の返済がなければそれだけでデフォルトでもあるが・・・。
4月に入りインドが19億ドルの支援、中国が5億ドル分の元建スワップ締結と13億ドルの融資を約束しているが・・・。与党は中国・パキスタン寄り、野党はインド寄りの政治構図。
借金してでもお金をばら撒く政権を支持するのが国民。

2100万人が暮らすスリランカ、主たる産業は観光、それも中国から大挙して押し寄せていたもの、中国人客なき観光回復は限界がある。それに新コロナが収束したわけでもない。

新コロナ感染者数は世界では大幅に減ったもののそれでも日々30~50万人が感染している(日本も含めどこの国も大幅に検査数を減らしているため感染者数が減っている錯覚)。
WHOは凶悪変異株出現リスクが高くなることから検査数を減らすなと警告しているが・・・。

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首相公邸の外、反政府デモ隊と政府支持者らの衝突(コロンボ、5月9日)
以上、AFP参考

 

[ 2022年5月10日 ]

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