アイコン 論座!郷原信郎「選挙コンサル」は民主主義の救世主か、それとも単なる「当選請負人」か。その3


大石賢吾

幼稚園生や、自民党長崎県連県議、自民党国会議員でも分かりやすいように、郷原信郎弁護士が「論座」に優しく丁寧に寄稿している。
珠玉の「当選請負人諭」である。・・・その3をどうぞ~

 

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3・県内の団体も長崎県警に告発
長崎地検には、本年5月26日、告発状案をファックス送付し、担当の三席検事との間で、告発に関する協議を続けてきた。告発状の形式、告発事実その他記載について格別の問題はないことが確認されたので、6月14日に、告発人両名が署名押印した正式の告発状を郵送、同月16日に長崎地検に届いたことを受けて、17日に、私と上脇氏がオンライン会見を行って長崎地検に告発状を提出した事実を明らかにした。

 

 

 その後、長崎地検において、この告発状受理についての審査として、事実関係の確認等が行われていたようだった。地検では、上記の団体から長崎県警に、大石陣営の公選法違反の疑いについて、「告発状」と称する書面が提出されていたことから、地検と県警とで協力して、大石陣営の公職選挙法違反事件への対応、刑事立件の要否について検討を続けていたようだ。

 

 

10月4日に、この団体の代表者が告発代理人弁護士とともに記者会見を行い、上記402万円余の支払については、公選法違反で長崎県警長崎警察署に告発状を正式に提出したことを明らかにした。

 

 

この時点で、長崎地検の担当検察官に、私と上脇氏が提出している告発状の件について尋ねたところ、「受理の方向で検討中、近々、手続が終わると思う」とのことだった。そして、10月7日に、担当検察官から連絡があり、受理が決定されたことと告発状の記載の若干の形式的な補正の必要性の指摘があったので、補正した告発状を再度郵送し、10月19日に告発が受理された。

大濱

 刑事訴訟法上は、告発も、被害者が行う告訴と、同列に位置づけられており、本来は、犯罪事実が特定されて告発が行われれば、原則として受理しなければいけないはずだが、実際の運用としては、警察は、一般人から「告発状」が提出されても、「単なる情報提供」と受け止めて放置する。正式に受理することは極めて稀だ。

 

 

また、検察庁も、一般人の告発は、受理して不起訴にした場合に検察審査会で起訴相当議決が出る可能性があるので、受理には慎重な姿勢で臨むのが一般的であり、検察審査会の「起訴議決制度」の導入後は、その傾向が一層強まっている。告発状が提出されても、「審査」と称して長期間預かったままにし、最終的には、いろいろ理由をつけて、告発人に返戻することもしばしばだ。その典型例が、菅原一秀元衆院議員の公選法違反事件(選挙区内の有権者への違法寄附)だ(【菅原前経産相・不起訴処分を“丸裸”にする~河井夫妻事件捜査は大丈夫か】)。

https://agora-web.jp/archives/2046887.html

この事件では、週刊文春の記事で公選法違反の疑いが指摘されて経産大臣を辞任した菅原氏について、一般人が東京地検特捜部に告発状を提出していたが、特捜部は、告発状を受理しないまま、長期間にわたって放置した後に、告発状を、理由もなく返戻した直後に、独自に菅原氏の公選法違反事件を立件し、菅原氏を不起訴(起訴猶予)にした。明らかに、検察審査会の審査を免れようとする措置をとったことから、私が、告発人の代理人として、検察の不起訴処分と告発状の返戻の不当性を訴え、検察審査会に、審査申立を行った。

https://nobuogohara.com/2021/06/02/

検察は、検察審査会からの不起訴記録提出要請を、「告発事件が存在しない」として拒んだが、審査会が職権で審査を開始し、起訴相当議決が出されたことを受け、検察は、起訴猶予処分を覆して略式請求をするに至り、菅原氏は議員を失職した(正式には公民権停止で失職になる直前に議員辞職)。

https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20200709-00187288

本件では、私と上脇氏とで行った告発は、犯罪事実の特定も嫌疑も十分であり、菅原氏の事件などからしても、告発人に「告発状の返戻」を行うことはできず、長崎地検の方でも、受理を前提に対応を検討したはずだ。

それ以前に団体が長崎県警に提出していた「告発状」にも、大石陣営の多数の公選法違反の疑いの中に、我々の告発事実である「J社への402万円余の支払」の公選法違反も含まれていた。このため、長崎地検と長崎県警捜査二課との間で協議を行い、警察の内偵の結果等も踏まえて、「402万円余の選挙コンサルへの支払」の事実に絞った告発状を、長崎県警に提出するよう、団体側と調整した結果、同事実について、長崎署への告発状を再提出して告発受理、地検への告発事件送付まで、あるいは送付と同時に、地検の告発を受理することになったのであろう。

 このような経過からも、本件の公選法違反については、既に、長崎県警の内偵によって、相当程度証拠は収集されていると思われ、犯罪の嫌疑も十分と判断したからこそ、団体に告発状を再提出させた上、地検、県警両方で受理ということになったものと考えられる。

 こうして長崎地検と長崎県警の両方で告発状が受理され、長崎県知事選挙での大石陣営との選挙コンサルをめぐる買収疑惑は、正式に刑事立件され、捜査・処分の対象とされることとなった。今後、被告発人の取り調べ等の最終段階の捜査を行って、処分が決定されるものと思われる。

[ 2022年10月28日 ]
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