アイコン ウクライナ軍 クラスター爆弾使用 効果絶大 だが・・・今も苦しむラオス


日本の報道番組や週刊誌の論説は、専門家と称する人たちが、まことしやかに説明しているが、まったく的を得ていない。

クラスター爆弾を米国がウクライナに供与したのは、155ミリ砲弾が枯渇していることが原因であり、戦略的にクラスター弾を使用しているわけではない。当然ながら、その破壊力により結果的に成果を挙げているに過ぎない。

欧米NATO軍がウクライナに供与している榴弾砲・自走式榴弾砲の砲径は155ミリが主、ウクライナが持つ榴弾砲はロシアと同様で152ミリや120ミリ、所有する砲弾は合わず、榴弾砲や自走式榴弾砲(ほとんど戦車同)をウクライナに大量供与、砲弾も欧米が供給している。その砲弾が不足しているもの。

 

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<砲弾不足>
<これまでに500万発以上砲弾使用か、双方計1000万発>侵攻から512日経過
昨年までに米国は155ミリ砲弾を100万発、欧州も計100万発供与し、155ミリ砲弾だけでも計200万発をウクライナに供与してきたものの、そのほとんどを使い切り、昨年末、米国は急遽、韓国から10万発の155ミリ砲弾を購入し、結果、ウクライナに追加供与、それでも足りず、米国は韓国からさらに100万発購入(借用)契約を締結。
また、欧州NATO加盟国も今年2月、100万発調達の生産計画を立案し生産を開始させている。
(欧米NATO軍は榴弾砲については155ミリにほぼ統一している)

戦車もウクライナに対して欧米からすでに300両以上供与しているが、口径は各国の戦車で異なり、供与した国が砲弾の供給をし続ける必要がある。

2022年の戦闘期間は311日、23年は7月20日までに201日、露のウクライナ侵攻から512日を経過し、ウクライナには欧米の最新兵器が供与され続け、戦闘はエスカレートし続け、双方国の人的消耗戦となっている。

ほかの口径の砲弾やミサイルも合わせれば、これまでに500万発以上の砲弾が侵攻してきたロシア軍に対して撃ち込まれたと思われる。
当然、ロシア軍はそれ以上にウクライナ軍に対して砲弾を撃ち込んでいるものと見られる。

欧米が供与している砲弾は在庫用であり、補給用がなくなれば、基地が個別に保有する砲弾しかなく、欧米NATO加盟各国は補給用の砲弾不足で現在脅威に晒されている状態にある。
当然、欧米は大量生産に入っているが、簡単に大量生産できる砲弾ではない。100万発生産するには工場や機械設備の拡充、材料の調達などにより最低2年はかかるとされている。

<韓国はウクライナ戦争特需>
韓国は持ち前の生産力で砲弾や戦車(ポーランドへ大量売却など)など戦争特需に沸いているが、韓国の砲弾生産能力に勝る国はないだろう。

ウクライナへ砲弾供与国はどこの国もフル生産状態が続いているものと見られる。

いくら韓国やNATO加盟国が砲弾を追加して供与するとしても、生産には時間がかかり、
特に今年の冬あけの大反撃に膨大な砲弾が必要になっており、そのため反撃は6月上旬に繰り延べされたと見られる。それでも砲弾は枯渇することから、今回、米国はやもえず在庫で保有するクラスター弾を供与している。
敵陣に対する破壊効果が高く、米国はあらゆるクラスター爆弾・砲弾を供与し続けるものと見られる。

ロシアもワグネルが激怒したロシア国防省からの砲弾の供給不足、ロシアとて砲弾不足に陥っている。

<米国のクラスター爆弾、英国のストーム・シャドウミサイル供与>
ウクライナ軍の反撃は戦闘機の供与がないため砲兵部隊中心、戦線が伸びきり、反撃もあり進軍できなくなったロシア軍にあり、その戦線に巨大なブロックや地雷原を構築してウクライナ軍の進軍を止め、止まった部隊を空から攻撃するというロシアの戦法に実際のウクライナ軍の大反撃は苦戦を強いられている。そうしたロシア軍の攻撃基地に対するクラスター爆弾やイギリスがウクライナに供与したストーム・シャドウミサイル(巡航ミサイル・射程560キロ)の射程は250キロ超とされているが(これまでに西側が供与したミサイルで射程距離250キロは過去最高の射程距離)、供与分の射程距離は調整されたのかは不明(推進剤減少?)が、ロシア軍に対して効果的な攻撃兵器となっている。

<クラスター爆弾禁止条約>
米軍は各種クラスター弾を所有しており、子爆弾も50発前後から300発あまり入った分もあり、広範囲な殺戮用と自走砲や戦車などの破壊用まで各種ある。
その用途により子爆弾はテニスコート4面あまりから10面分以上に拡散する。その子爆弾の中には、さらに鉄球が数百発入っているものもあり、その殺傷能力は極端。

広範囲に無差別に殺戮することから、使用禁止の条約締結国が109ヶ国となっているもの。英国は条約を批准国で今回の米国のクラスター爆弾供与に反対の意思表示を行っている。日本も批准国であるが、米国様に嫌われることは発しない国である。

さらに、クラスター弾は、不発弾が多く、原型のまま不発弾となって落下して、残ったり、子爆弾が不発弾として残り、広範囲に飛び散るため何十年もその不発弾の処理に当たることになり、その間、被害が出続けることになる、戦後40年のラオスのように。

クラスター弾は着弾直前の空中で破裂し、子爆弾が一面に振り注ぎ、その効果は通常の砲弾と比べようもない。

米軍のクラスター弾は、
軍用機からの爆撃用と、
ハイマールなどの227ミリ、ロケット発射システム機を利用する砲弾型と、
戦車や榴弾砲から発射する155ミリ砲弾型など各種仕様が存在し、その使用目的においても各種存在する。

クラスター弾の最大使用例はベトナム戦争、米軍の最大33トンも爆弾を搭載できるB-52爆撃機がクラスター弾を雨のように降らせ続けた。その不発弾が地雷のように機能し、ベトコンや北ベトナム軍の秘密供給路があったベトナムやラオスの山岳地帯では、現在も被災している人たちがいる。(オバマ大統領は2016年にラオスに対してクラスター弾の不発弾撤去費用と装備を提供している。ベトナム戦争の終戦は1975年4月だった)

<まとめ>
1、 クラスター爆弾は、ウクライナ軍のロシア軍に対する大反撃のため大量に用いる155ミリ砲弾が足りないことから、米国が戦術面でより効果的な155ミリの砲弾型などのクラスター爆弾をウクライナに供与したもの(ウクライナは戦闘機も保有しており、ロケット型、投下型爆弾も供与しているものと見られる)。

2、 クラスター爆弾は、子爆弾が広範囲に広がり、民間人も含めた無差別攻撃になり、また不発率が砲弾+子爆弾を合わせれば非常に高く、比較的発見しやすい地雷とは異なり、特に子爆弾の不発弾は戦後の不発弾処理を困難にし、犠牲者を発生させ続けている。
(米政権の報道官は、ロシア製クラスター弾の不発弾率は30%、米国製は3%だとし、不発弾の批判は当たらないとしている。
しかし、米国製は20年以上前に製造した分とされ、性能は落ちていると専門家が指摘している。さらに、子爆弾の不発弾率には米政権は言及していない。)

3、 ロシア軍もウクライナ軍も、旧ソ連時代から保有するクラスター弾を、今回の戦闘で使用している。日本のNHKなど報道機関はロシア軍だけが、これまでウクライナ軍に対してクラスター弾を使用した内容となっている。

4、 すでにウクライナ戦は消耗戦に入っている。
ソ連のアフガン侵攻(1978-1989年-)、10年後大打撃のまま撤退。
米国のベトナム戦(1954-1975年)、20年後米軍敗走、
米国のアフガン侵攻(2001-2021年)、20年後米軍遁走
米国のイラク侵攻(2003-2021年)、勝利したもののISが台頭、ISにも勝利、その間、計8年かかり、イラン政府の要請で2500人の米軍を残し撤退完了。

ウクライナ戦争は泥沼化が必至と見られる。
ウクライナでは1ヶ所に6基ある原発をロシア軍が占拠しており、
エスカレートし続ければ、当原発で何が起こるかわからない。
ウクライナやロシアの戦況報告は情報戦の一環、虚偽内容がほとんど、元喜劇俳優のゼレンスキー劇場の生中継となっている。

<米国の戦争形態の変化>
イラク侵攻後、米軍の犠牲者の多さに米国民が戦争に批判的になり、駐留はし続けている。しかし、米軍は、その後は戦闘機や無人機による後方支援に回り、私的傭兵部隊に武器を供与することで直接戦闘介入を避けた戦術を取っている。
また、無人機を多用し、無人機による爆撃、ミサイル攻撃を可能にし、ネバダ空軍基地のゲームセンターで、全世界の紛争地帯で偵察飛行からミサイル攻撃までディスプレイ上で攻撃、米国自身は犠牲者を出さない戦争方式に転換している。
米国の仕掛ける戦争は、それまでとは異なり、経済戦争であり、貿易戦争という形に変化している。ウクライナ戦争でもウクライナ軍は米軍の代理戦争の様相を濃くしている。

<AIロボット兵器へ>
暫くすれば、AI無人機が、AIロボット兵器が、AIロボット兵士が米国が仕掛ける戦争の最前線で戦うことになる。
米NVIDIA-のGPUの対中輸出禁止措置は、中国が開発しているAIロボット兵器の中枢アイテムのGPUであり、米バイデン政権が中国という国家に対して輸出を禁止させたもの。
当然、米国ではAIロボット兵器開発を加速化させている。
米国は無人攻撃機(UCAV-1995年運用開始/プレデター)を開発したときからそうした流れにある(グローバル・ホークは無人偵察機(UAV)で2004年運用開始)。
 
戦争に人権も糞もない。それは戦争に従軍しない政治家たちがのたまうことであり、現実は狂気のなかで戦っている。

 

[ 2023年7月22日 ]

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