アイコン 韓国「K11」複合型小銃 また問題発生

 

 

韓国防衛事業庁は8月3日、「K11複合型小銃52丁を、今年9月に韓国軍へ納入するのに先立ち試験運用する過程で、このうち1丁に問題が発生し、原因究明を行っている」と発表した。
演習弾を利用して射撃の実演を行う過程で、薬きょうが銃の外に排出されない問題が発生。

薬きょうが、銃の内部に引っかかると銃身に圧力がかかり、暴発・爆発の危険が高まる。
防事庁は、「銃の問題なのか、弾の問題なのかを明らかにしなければならない」として、既に支給されたK11小銃の運用も中止させた。

当初、韓国陸軍は2010年から今年にかけて4485億ウォン(約444億円)を投じ、K11小銃1万5000丁を戦力化する計画だった。

ところが、爆発事故の発生や射撃コントロール装置の亀裂といった問題が相次ぎ、現在までに戦力化されたのは914丁にとどまる。

戦力化が2度にわたって中断され、昨年はK11関連予算が大幅に削減されるという紆余曲折を経て、ようやく戦力化作業を再開しようとしたところに、また問題が生じた。

防事庁の関係者は、「銃に欠陥があると確認されたら、設計変更等の補完作業を経て再び生産に入る計画。今後6ヶ月間の生産中断は避けられなくなった」と語った。

スポンサード リンク

K11複合型小銃は、
韓国国防科学研究所(ADD)が開発した韓国版OICW(個人主体戦闘武器/米XM29を真似て開発)であり、5.56mmアサルトライフルと20mmグレネードランチャーを上下並列に組み合わせた2型式の複合型小銃。
射程距離の長い口径20mm弾は通常火器により発射されるが、グレネードランチャー=擲弾発射器により発射される。

0806_01.jpg

<度重なるK11複合型小銃の問題>
2008年10月、
韓国陸軍はこの武器を2009年以降の分隊支援火器として配備していくことを決定。 2009年には、アラブ首長国連邦にも40挺輸出。

1、2010年5月
国内部隊への供給を開始。しかし、K11の初期不良率は47.5%におよび、欠陥が発見され、現在は軍部隊への供給は中断している。

2、2012年5月
韓国防衛事業庁は、配備済みの246挺の全量リコール発表。撃発装置の設計変更、射撃統制装置・弾薬起爆装置のプログラム修正、電磁波干渉による誤動作の要因の除去予定。

3、2014年3月、
京畿道漣川の国防科学研究所で、試験射撃したK11の信管が爆発、試験射撃中だった下士と、横で待機していた上兵など3人が破片で負傷。

4、2014年5月、
国防技術品質院が「K11複合小銃電磁波影響性実験」を行ったところ、同機種の20ミリ空中炸裂弾(知能型)は市販されている一般的な磁石を近づけるとその磁性を撃発信号と誤認識して暴発する危険性が確認される。

5、2015年1月、
防衛事業庁関係者は、「昨年11月にK11小銃の公開試演会直後、軍に納品する予定だったK-11小銃の中から1丁を無作為で選んで品質保証検査試験をしたところ、全6000発を発射する規定上耐久性検査で4000余発の発射でネジが緩み、射撃統制装置に亀裂発見。製造上の欠陥の可能性があり納品中止。

6、2015年4月、
防衛事業庁関係者は、「国家科学研究院と技術品質院の主管で20mm空中爆発弾の弾薬に対し、電磁波影響性確認実験をした結果、低周波帯域(60Hz)の高出力(180dBpT)電磁波からの影響を受けることが確認された」と明らかにした。
これにより、製造済みの20mm弾薬15万発余、240億ウォン相当を全て廃棄予定(当時)。また同年1月の射撃統制装置の亀裂は、部品に生じた気孔によるものと発表された。

7、2015年5月、
防衛事業不正政府合同捜査団は、K11複合小銃射撃統制装置の試験検査を偽り、納品代金を受け取った疑い(特定経済犯罪加重処罰法上の詐欺)で、軍需企業の事業本部長ら3人を拘束、起訴したと明らかにした。
部品メーカーは、試験装置を無断で変更し、規定エネルギー量の3分の1を加えた衝撃試験しか行っていなかった。
製造会社はS&T大宇。大宇精密工業→S&T大宇→現在はS&T Motiv(自動車部品製造会社)。
韓国の軍需企業の検査官の不正は、単なる受発注に絡む贈収賄にとどまらず、品質検査データの不正の見逃し、かつてな仕様変更の容認など品質そのものを揺るがすものが多く含まれる。

K11複合型小銃 諸元
種類
軍用小銃
製造国
韓国
設計
国防科学研究所
製造会社
S&T大宇
種別
アサルトライフル
グレネードランチャー
口径
5,56mm
20mm(擲弾)
銃身長
250mm (5.56mm)
460mm (20mm)
使用弾薬
5.56x45mm NATO弾
20mm(擲弾)
装弾数
30発(箱形湾曲弾倉)
6発箱形弾倉(擲弾)
作動方式
ガス圧利用ロータリングボルト
ボルトアクション (20mm)
全長
860mm
重量
6100g(未装填時)
有効射程
300m (5.56mm)
500m (20mm)
射程確認
レーザー距離測定器を介してマイコンが距離測定、入力・発射
設計年
2000年〜2008年
製造期間
2010年〜
配備期間
2010年〜

 

スポンサード リンク
[ 2018年8月 6日 ]

 

 

 

関連記事

 

 

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 


PICK UP


PICK UP - 倒産