アイコン 韓国の公共投資と日本の公共投資の相似性 器造って魂入れず

 

 

韓国政府は国土均衡発展と地域経済活性化のために22の事業、約20兆ウォン(2兆円)規模の予備妥当性調査免除事業を発表した。
文在寅政府は、均衡発展のために地域の革新クラスター(集団・連携集団)造成に大きな力を傾けている。
ところで文在寅政府も、李明博政府が、地域経済活性化という名目で推進した開発主義基調の事業には予備妥当性調査免除政策をそのままに維持している。

“予備妥当性調査”免除は、一種の非常事態に対処する緊急措置。国家的に緊急に要求される事業に対して、経済性と手続きを省略して推進する一種の政治的決定である。
地域均衡発展と地域経済活性化は、緊急措置を取るべき領域であることは事実。ところで、地域崩壊だけが非常事態であり、緊急措置の対象であろうか?

少子化・高齢化、亡国的入試戦争、高い自殺率、住居貧困も20年におよぶ国家“非常事態”であり、首都圏と地方のすべてを含む韓国社会の持続可能性に関連した緊急課題であるが、こうした事案は“票”につながらないという理由で“緊急措置”の対象には含まれず、事態は悪化する一方だ。
すなわち、地域の崩壊は地域だけの問題でなく、事実上国家の持続可能性の問題、首都圏の生活の質の低下と実は同じ現象だ。

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財閥を後押しし、ソウルの住居価格を守り、首都圏の重要大学を後押しした結果がこのように現れた。
ところで、鉄道、空港、道路建設に予備妥当性調査を免除すれば、地域均衡発展ができるのだろうか?
李明博政府の4大河川事業(22兆ウォンの予算)に注ぎ込んだお金は、どこに住む誰に流れ込み、どの程度の地域雇用を創り出したのだろうか?

社会間接資本投資は、果たして地域経済を活性化し、首都圏集中を緩和したのか?空っぽの空港、車が通らない道路を維持するのにかかる費用は誰が負担するのか?首都圏集中を抑制する具体的政策を持たずに地方の発展が可能だろうか?
皆が知っているように、地域の崩壊は首都圏にお金と人が集中するためだ。
十分に青年エクソダス(=地方脱出)と呼べるほどの現象が、20年にわたり進行中だ。
働き口と教育が、最も重要な要因で、公共サービスと文化の不均衡もエクソダスの重要要因だ。
高速鉄道と道路が敷かれれば、ソウルの人が、地方に下っていくのが楽になるだけで、地方からソウルへ火が流れ、地方の中小病院、デパート、店は門を閉める。文在寅政府のスタートと共に始まったソウルの不動産価格暴騰で、地域社会の金持ちがソウルのアパートの買い占めに出たので、地方の金脈はさらに乾いた。
すなわち、数百兆ウォン(数十兆円)の地方のお金が、首都圏に吸い込まれ、働き口はほとんど首都圏のみで手に入れられることを考えれば、予備妥当性調査免除20兆ウォンというお金を地方に注ぎ込んでも“焼け石に水”に過ぎないだろう。

盧武鉉政府以後の公企業の地方移転の趣旨は良かったが、現実らできた革新都市にはアパートばかりが畑の上にぽつんと立っている。
今、韓国の地域社会は、青年が生きられない所で、若い夫婦が子を産んで育てにくいところだ。
地方で優秀で創意的な人材を手に入れることができるならば、企業も地方に降りて行かないだろうか?
大学と企業が、革新産業中心のクラスターを構築し、地方の実業高校、理工系大学生に無償で革新創業教育をさせ、その後の就職時に恩恵を与えれば、地域の青少年が強いてソウルの大学に上がってくるだろうか?

良質な公共病院があり、帰村支援政策を展開すれば、青壮年も帰省しないだろうか?
韓国の首都圏集中は、主に教育と働き口のために生じたことなのに、教育問題、特に大学の質的向上問題には、一つも触れないで地域社会が生き返るだろうか?

ロウソクの力によって執権した文在寅政府は、過去の政府とは質的に異なる地域政策を展開するだろうと期待した国民の失望が大きい。
地域の均衡発展を開発主義土建経済方式で進めるのは、国家を新しくすることとは距離が遠い。
しかも、お金と人の首都圏流入を事実上助長する政策を展開して均衡発展を語ることは、一層辻褄が合わない。
こうした事業に予備妥当性調査を免除をするのは、所信ある公務員と専門家たちを説得し難い。
当面の選挙では、票になり得するかも知れないが、さらに大きな荷物を残す可能性が大きい。
最も大きな問題は、まさに政界と公権力に対する不信だ。そして土建事業は必ず深刻な腐敗、莫大な取引費用、葛藤処理費用を産む。
青年たちが地方に降りて行くようにする政策でこそ成功できる。
革新中小企業支援、高水準の地域専門大学と4年制大学育成、産学連係、良い公共インフラの構築なしでは、首都圏へ向かう青年たちのエクソダス(地方脱出)は続くだろう。

以上、金東椿聖公会大NGO大学院長の韓国紙コラム参照

韓国文政権は、雇用対策に3兆円も5兆円もこれまでに使用し、公務員増をはかり、公共機関で2年間という短期就労者を大量採用させ、失業率問題を克服しようとしている。次世代に負担をもたらすばかりの本末転倒な浪費である。
規制改革を伴う新産業育成には、ロウソク民心を支えた労組、市民会議、左派学者、与党が、既得権益の崩壊をもたらすとして断固反対し、遅々として何も進んでいない。規制緩和は核を持ったままの北朝鮮に対する緩和政策だけのようだ。

韓国も日本も似ている。
結局、民主主義の選挙では、政党であれ、派閥であれ、選挙で勝たなければ政治家がいくら国民本位の賢明な政策を持とうがまったく実現できない現実がある。そのためには選挙で勝つこと、政権党は当然、勝ち続けるためには公共投資を野放図にバラ撒くことが勝利への最大の秘訣でもある。

結果、地方のインフラは整備されようが、地方における人的インフラ政策が何もなされない現状では、地方の過疎化は進むばかり。市町村ごとの人口減少・過疎化が進むというデータがありながら、そうしたデータを利用せず作成された机上の空論の収益性により大規模交通インフラ投資が行われ続けている。
一方のソフト面の人的インフラについては、少子化を歯止める政策は遅々として進まず、単に低賃金の非正規雇用を増加させ、この間、何百万人もの専業主婦を新たに働きに出させて70歳まで働けと1億総活を謳い、さらに少子化を助長させている現実がある。(所得中間層の崩壊)

日本では、全国にホールや体育館を造り、空港をあちこち糞田舎まで造り、結果、借金の山を築いたバブル時代、現在の公共投資バブルではその空港が、整備新幹線・高速道に化けただけのようだが・・・。
器作って魂込めず。残されるのは、巨額な借金とその巨額投資資産の維持費であろうか。
今の赤ちゃんたちが40歳になったとき、日本の人口は現在の12,600万人から8,600万人まで▲30%以上減少する。
何か、韓国も日本もよくよく似ている。韓国紙のコラム記事も考させられる。

 

 
[ 2019年2月13日 ]

 

 

 

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