アイコン 韓国経済GDP▲0.3%減の現況

 

 

韓国銀行は、1~3月までの四半期のGDPは、前期比▲0.3%減(=成長率)の402兆6784億ウォン(約38兆7千億円)だったと発表した。
2017年10~12月期(▲0.2%)以降、5四半期ぶりの逆成長。世界金融危機が発生した2008年10~12月期(▲3.3%)以降、最低値となっている。
前年同期比では1.8%、今年2.6%成長するという政府計画に早くも黄色信号が灯った。直前四半期と比較しようが、一年前と比較しようが約10年ぶりの最悪の実績となっている。

洪楠基副首相兼企画財政部長官は25日、「1~3月期のGDPの結果が予想を下回った」とし、「予想より対内外の環境が悪化して下方リスクも拡大している」と明らかにした。  続いて「すべての政策手段を動員して当初提示した成長率目標である2.6~2.7%を達成することができるように総力を挙げる」とし、「経済が難しい状況ではあるが、1~3月期よりは4~6月期、上半期よりは下半期に良くなっていくものとみられる」と述べている。
ただ、韓国大統領府(青瓦台)の尹道漢国民疎通首席秘書官らは、「外部の経済的要因が最大の原因として挙げられるのではないか」と述べ、「海外の経済が不安定で影響を受けた面が大きい。これを経済政策の失敗と見なすことには同感しない」としている。

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<貿易>
米中貿易紛争の影響で世界交易量が減少し、前期比で輸出が▲2.6%減、輸入が▲3.3%減を記録した。
特に、半導体と液晶表示装置(LCD)など韓国の主力産業が価格下落の影響を多く受けた。
<投資>
また、設備投資が▲10.8%減、建設投資▲0.1%減が混迷を極めた。
設備投資は通貨危機当時である1998年1~3月期(▲24.8%減)以降、21年ぶり低数となった。
設備投資の減少は、製造業の生産額が▲2.4減と過去10年来のマイナス数値を反映しているともいえる。

<消費>
消費は0.1%増と増加幅が2年ぶりの低率だった。
これは統計庁の2018年家計動向調査の結果、昨年の世帯あたりの月平均消費支出が前年対比▲0.8%減とマイナスだったことを反映している。
  所得主導成長は、当初、所得増加が消費増加を誘引し、結果、投資と経済を成長させるという論理に基づいている。だが、肝心の消費が増加しない。
近視眼的で、短絡的でも机上の空論のような所得主導成長政策は、消費者の心理と行動に寄り添っていないことを反映している。
昨年の家計可処分所得は2人以上世帯を基準とすると1%ほど増加したが、単身世帯も合わせるとマイナスだった。(最低賃金が大幅上昇したが、失業増が可処分所得を押し下げ、また、週労働時間の短縮60時間→52時間になり残業料が減り、少々賃金が上がっても収入が減っていることにもある。)
これに伴い、月500万~600万ウォン(約48万円~約58万円)の所得層を除いたすべての世帯の消費支出が同時に減少している。
<政府消費>
1~3月期の政府消費は0.3%増加(前期比)にとどまった。前期の昨年10~12月期(3.0%)よりも増加幅が大幅に減った。

<成長寄与度>
経済主体別の成長寄与度では、政府の▲0.7%ポイントが民間+0.4%ポイントの成長の足を引っ張った。前期は、年間GDPを高位に維持するため巨額の政府投資を行った反動が今期出ている。
民間部門の成長寄与度は前期の不振(▲0.3%ポイント減)からプラスに転じている。
経済ショックなどない状態で、輸出と投資、消費など成長を導くべき要因がオールストップした局面となっている。
所得主導成長という左派学者とともにある文在寅政権の巨大な社会実験が、韓国民に大きな災いをもたらし始めている。
最低賃金の急激な引き上げで雇用はかえって縮小し、週52時間勤労は情報技術(IT)など一部企業が持っていた競争力を落とし、生産量・販売量は減じた。

政府は革新成長を主導しているが、文政権になり、労働組合が組織を拡大し「反企業・労働優位」が幅をきかせ、企業の投資意欲を損なう事態に至っている。
非生産的分野の福祉と雇用に対する政府の巨額の税投入も、経済波及効果はごく一部限られ、それもいつまでも続けられるわけでもなく、すでに落ち、民間活力を低下させるだけとなっている。

世界経済の歴史の教訓も無視し、ポピュリスタの文在寅大統領が、不満の国民を歓喜させて始めた政策、今のところ、結果は歴史の教訓どおりとなっている。
・・・阿波踊りも終わったら覚める。
こうしたことからもマイナス成長の主な原因提供者は文政権にある。
以上、

韓国経済は、これまで、自動車が引っ張り、造船が引っ張り、半導体が引っ張ってきた輸出主導型経済。しかし、自動車がマイナスにぶれ、特に韓国内での生産はストばかり打つ労働組合の勢いに押され、生産台数が減少の一途を辿っている。造船もリーマンショック以来過剰船腹から輸送費は低迷し続け、海運会社の造船投資が減退したままとなっている。また安値で受注しまくっているものの、市場縮小でままならない。
そうした中で浮上してきた半導体も、米中貿易戦争から、米国除く世界経済は低迷、昨年9月をピークに単価下落が止まらなくなっている。今後も中国では製造2025政策により、半導体やディスプレイ工場の巨大開発プロジェクトが動いており、容易に価格が上昇する気配にはない。

今回の設備投資が▲10.8%減とあるが精査する必要もある。
韓国の昨年の四半期別GDP(国内総生産)成長率は第1四半期に1.0%、第2・第3四半期は各0.6%を記録したが、第4四半期には1.0%に回復していた。
それが今年に入ってマイナスに転じたのは、前期比では政府支出の減少、前年同期比では、昨年同期は半導体工場の完成に伴う巨額の設備投資により増加、今年はそうした投資がなく、その反動の影響が大きく出たものと見られる。
また、労働コスト増に悲鳴を上げている企業の多くが、生き残りをかけ、ベトナム(それまでに4千社あまりが進出している)などに殺到しているという。
企業の設備投資は増加しているが、その設備投資先が国内ではなく、東南アジアに向かっている。
これを如実に現したのが、先日、LG電子が発表した、国内スマホ工場閉鎖、ベトナムスマホ工場への集約だった(労働コストが韓国の1/5以下)。

国内景気がよければ、労働コスト増は、販売価格に転嫁することができようが、景気が悪ければ、競争力を損ない、販売不振に陥る。
同じ製品・部品を高い価格で購入するお人よしのバカ経営者はいない、より安い価格の取引先に発注するのは市場原理。
しかし、景気が悪ければ、労働コスト増を価格転嫁できず利益を損なう、しいては、閉鎖・倒産・失業増・投資減・消費減・・・さらに景気悪化のデフレ経済を演出することになる。
ただ、文大統領の経済・労働政策は、景気が良ければ、優れたものでもある。景気が過熱するおそれもあるが・・・。
また、韓国の財閥系大企業と中小企業との賃金格差は著しく、中小企業の低コスト賃金による納品価格が、大企業の製品のコストパフォーンスを可能にし、世界市場を席巻してきたことも事実、中小企業の賃金が上がれば、輸出の原動力となってきたコスパが剥離することにもなる。結果、世界での競争力を損ない、大企業はベトナムなどへ低労賃と低コスト部品を求めて進出することになり、中小企業は大企業に追随するか、潰れるしかなくなる。そうした現象が現在生じている。

(韓国のベトナム進出企業の材料の現地調達率は4割前後でここ10年動かず、一方、韓国からの輸入調達率は30%台から50%近くまで増加している。サムスンやLGなどのIT製品企業のウエイトが高まっていることにもよるが、韓国の中小企業は、大企業からベトナム企業と価格競争をさせられているともいえる)
日本は財政状態を無視すれば、企業政策は有能だが、労働政策は皆無どころか、税を搾り取れるだけ搾り取る国。そのため、企業の利益が空前の利益を上げているにもかかわらず、GDPはほとんど増加せず、その足を大きく国民の消費が引っ張っている。いや、政策的に伸びないようにしている。

日本と韓国の経済の動向が逆だった場合、その政策は双方とも経済成長を牽引しよう。
しかし、日本は国の借金が大きく、人手不足に陥るほど企業景気が良くなっているものの、金利が上がれば、税収増があったとしても、税収が国債費に食い潰されることから、消費拡大を調整するためにも賃金を上げるわけにはいかない現実がある。
そのために賃金を、データ取得方法を変更してでも、上がっているようにカムフラージュしながら、あの手この手で押さえつけ、少々上がったところで、就労者に対して税金・社会保険料を上げ続け、その挙句、今度は手を変え消費税で貧乏人からも超富裕層からも分け隔てなく平等に収奪する。景気が1%より上がらぬよう0.5%前後で調整され、消費が増えぬよう・投資が増えぬよう、計算しながら政策が講じられている。ノーベル賞の経済企画賞もの。

韓国の左派の文政権には、左派系の政治学者や経済学者が、現実の経済から程遠い屁理屈理論を講釈して入り込み、経済疲弊下では破綻が歴史により証明されている所得主導経済成長論を持ち出し、感情豊かな大統領府や与党議員たちが、屁理屈理論武装していることから、救いようがない状態に陥っている。
すでに民主主義=多数決主義は為政者たちの妄想に過ぎず破綻しているようだ。

 
[ 2019年4月27日 ]

 

 

 

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