アイコン オスプレイは緊急着陸してはいけないのか?

 

 

安倍総理は応援してるけど、たま~に理解できない人事をやってくれる。

例えば野田聖子を総務大臣に起用してみたり、中谷元防衛大臣に替えて稲田朋美氏を防衛大臣に据えてみたり、最も酷い人事が現在の岩屋防衛大臣である。

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きょうも、珠玉のブログ(農と島のありんくりん)を読んで留飲を下げています。

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移り変わる自然、移り変わる世情の中で、真実らしきものを探求する

2019年4月5日 (金)

オスプレイは緊急着陸してはいけないのか?

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論評する気にもなれない(といってもするけど)馬鹿なことが、同時期にふたつ起きました。

ひとつはオスプレイのダイバート(緊急着陸)に近隣10市の大阪空港周辺都市対策協議会が抗議したということ、そしてもうひとつは岩屋防衛大臣の宮古島駐屯地についての愚か極まる謝罪と措置です。

時系列の順にオフプレイのほうからいきます。

「米軍の輸送機MV22オスプレイが大阪(伊丹)空港に緊急着陸したことを受け、同空港の周辺市でつくる大阪国際空港周辺都市対策協議会(10市協)は2日、着陸を許可した国土交通省と防衛省、同空港を運営する関西エアポートに抗議文を提出した。

10市協は緊急着陸した1日、関係機関に対し、情報提供の遅れを「遺憾」とコメントしていた。

 抗議文は、10市協会長の藤原保幸兵庫県伊丹市長名で提出。市街地に位置し、安全への配慮が特に求められる空港にもかかわらず、着陸を許可した国交省に疑問を呈した」(神戸新聞4月2日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190402-00000015-kobenext-l28

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    神戸新聞前掲

周辺10市協議会の抗議は理不尽です。

なぜなら、航空機という機械は、軍用であるか民間であるかに関わらず、「常に非常事態がありえる」からです。

ちょっと考えてみればおわかりでしょう。

故障のない機械などはこの世に存在しません。

機械は壊れる可能性があるのを前提にしてして作られています。だからあなたが使っている目覚まし時計ですら保証書がついていて、いったん壊れた場合には一定期間内はメーカーが修理する義務を負っています。

軍用機も同じです。そのリスクを最大限まで減らす努力をし、にもかかわらず事故が起きることが予測された場合、次善の対策をとります。

それが緊急着陸、あるいは予防着陸、ダイバートと呼ばれる処置です。

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時事https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180108-00000034-jij-soci

沖縄では一時頻繁にヘリの緊急着陸が起きたことがあります。たとえば2018年1月にはAH-1Zヴァイパー が緊急着陸しています。

この時の読谷の村長の発言です。

「読谷村の石嶺伝実村長は現場を視察した後、記者団に「極めて異常な状況が沖縄で起こっている」と指摘。

「ここは日本国かという感じだ。米軍の占領地ではない」と訴え、原因究明までの全航空機の運用停止を求めた」(時事1月8日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180108-00000034-jij-soci

石嶺さん、大阪でオスプレイがおなじような緊急着陸をしましたが、大阪もまた「日本ではなく占領地」なのでしょうか。

こういう感情を煽る言い方は見る眼を曇らせますから、止めて下さい。

今回の大阪空港のオスプレイの緊急着陸も同じですが、おそらく当該機はEmergencyを宣言し、Maydayコールをして、付近に影響がでない場所を選んで着陸しています。

オスプレイの場合は滑走路がある民間空港でしたし、AH-1Zの場合は広い草地でした。

このようなエマジェンシー・コールをして緊急着陸することが、今回の大阪のように安全を脅かしたとしてが監督官庁までが非難されるならば、では協議会の皆さんは市街地に落ちたほうがよかったということでしょうか。

いや軍用機だからダメなんだというならば、民間空港には軍用機は緊急着陸をさせてはならないという航空法でもあるのでしょうか。

もしそんなものがあれば、軍用機は何時落ちるかもしれない機体を無理に引きずって自分の基地まで帰還せねばならなくなります。

そのほうが遥かに民間人に対して危険を及ぼす可能性があります。

途中で市街地に落ちるかもしれないし、むりやりに海まで引っ張って飛べば落ちる可能性が高まります。

航空機パイロットにとってのエアマンシップは、民間人に被害をおよぼさないことが大前提だからです。

ですから事故や不具合が発生した場合、パイロットは緊急事態を宣言し、メイデイコールをします。

この宣言は、パイロットのみならず航空関係者にとって、最大の緊急度、優先度を有する言葉で、空港関係者は無条件に受け入れねばなりません。

これが空港側のエアマンシップです。

ここに、軍用、民間、国籍の垣根は存在しません。人命が関わることだからです。

このように人命を損なわないための予防的着陸だから、別名を「予防着陸」とも言われているわけです。

逆に軍用飛行場も民間機の緊急着陸を拒否できません。

いや米軍機だからだというならば、緊急事態を宣言して着陸要請する機体に対して、仮に中国空軍機であろうとロシア空軍機であろうと、はたまたモロッコ空軍だろうと、空港側は拒否できません。(領空侵犯していれば話は複雑になりますが、基本は着陸を受け入れます)
緊急事態に、国籍・人種の壁を設けないのが世界共通のエアマンシップだからです。

またこういう事態が起きると、予防着陸のことを「墜落」と呼ぶ者がいます。

米軍機の事故は大きなもののほうがありがたいと密かに願う人たちの表現ですが、どちらも概念の混乱です。

いい機会ですから、改めて整理しておきます。

・墜落・・・機体をコントロールできずに落下し、破損させた航空機の事故のこと
・緊急着陸・予防着陸・・・機体はコントロールされていて、航空機が目的地以外の場所に着陸すること

たぶん周辺自治体協の言い分は、当該機が「危険機」オスプレイだからということでしょうか、いい加減このオスプレイ・デマなどは払拭してほしいものですが、このことについてはかなりの本数記事にしていますから、そちらをご覧下さい。

関連記事「オスプレイは危険機か?」その1~その5
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-9b2e.html

かつて普天間基地のオスプレイのパイロットが沖縄メディアにガイダンスした時に、米軍が正直に「残念ながらこのような事故は完全には避けることはできない」と述べたことに関して、「事故を容認すると受け取れるような発言」と噛みついたことがあります。

このような沖タイの姿勢こそがリスクです。

なぜなら、運用側が「事故を容認する」もなにも、リスク管理というのは「事故を前提として容認する」ことから始まるからです。

沖タイは米軍に「事故は起こしてはならないから、絶対起きない。だから安全だ」と、かつての原発関係者のような精神論を言ってほしかったのでしょうか。

事故が起きませんようにと念仏を唱えていても起きる時には起きます。

運用側はその確率をかぎりなくゼロに近づけようと運用しているのであって、「事故は起こしていけないから起きない」わけではないのです。

仮に米軍が「事故は完全に避けられる。100%安全だ」と言ったなら、そのほうが嘘です。

嘘を言う言わないという倫理的問題ではなく、エンジニアなどの工学系関係者は、「100%安全」という言い方を絶対に避けます。

「事故は起こりうる」ということを前提にして発想しないと、事故対策そのものを工学的に構築し、それを運用できないからです。

「絶対安全」論と「ゼロリスク」論というのは、一見真逆に見えますが、ひとつのありえない確率「ゼロ仮定」から生えた二本の奇妙な樹のようなものです。

一方は「事故は起きるはずがない」と言い、方や「少しのリスクもあってはならない」としていても、発想の根は一緒で、ありえない「確率ゼロ」から発想している点で、兄弟のような発想方法なのです。

こんな根本的なことすら分からないで、オスプレイ危険説をまき散らし続けているメディアや、それに踊らされている地元自治体のほうが、世界的には珍しいのです。

またこういう米軍機の緊急着陸があると、必ず読谷村長のように米軍機全機種の飛行停止を言い出す人がいますが、ありえません。

米軍は事故が起きた場合、その程度に応じて同型機種の運用を停止したりする場合がありますが、航空機全部の飛行停止措置はありえません。

今回の事故は物損なし、人命に異常なしといった予防着陸レベルですから、通常なら同型機種ですら飛行停止されるかさえ微妙なレベルです。

このように航空法上なんの問題もないオスプレイの緊急着陸に対して、いちゃもんをつける周辺自治体協議会の対応はいかがなものでしょうか。

さてもう一点の岩屋防衛大臣の一件は、宮古島駐屯地から弾薬やミサイルを搬出したという一件ですが、氏の防衛大臣としての資質や適格性についてすら疑問符がつきかねない愚行でした。

こちらも長くなりそうですから明日に回します。

 

 
[ 2019年4月 6日 ]

 

 

 

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