アイコン 韓国の財閥企業は中小企業から収奪するもまったく育てない

 

 

韓国の財閥の問題は、韓国経済をほぼ独占しており、輸出においてはそのほとんどを占めている。問題は、韓国経済を牽引してきたコストパフォーマンス製品にあるが、これは財閥企業が利益を独占し、協力企業の利益が損なわれていることによって求められている。そのため、財閥企業と中小企業間の賃金格差がはなはだしく、有能な人材も高給に引かれ財閥企業へ進路をとらざるを得ない社会的な状況におかれている。

ただ、文政権の誕生により、最低賃金の大幅増(18・19年の2ヶ年計29%上昇)により、下からの賃金上昇圧力は強まり、財閥企業も半導体のような優位性を持つ企業を除けば、今後、苦戦することが見込まれる。
 
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<本文>
中国メディアの新浪網は4月、韓国の財閥企業について、「数社の大企業が国家を牛耳ることは、どれだけ恐ろしいのか?」と題し、次のとおり掲載している。
 
韓国財閥の起源については、日本の植民地時代と朝鮮戦争の時期に登場した家族経営の小資本企業だったと紹介。
韓国の財閥は、戦前の日本の財閥の影響を受けているが、日本の場合は第2次世界大戦後に米国主導により財閥が解体されたのに対し、韓国では世界でも発展した経済体になるまでの数十年、財閥は国家経済との緊密な運命共同体として発展してきたと論じた。
 
また、韓国政府が、終戦直後の一時期、砂糖や小麦粉、繊維製品、セメントなど民生品の不足を解消するために、日本が残した資産や外国からの援助資源を安価に、場合によって無償で民間企業に渡し、それ以外にもさまざまな優遇策を実施したことが、サムソンやLGなどが原始資本の蓄積を行えたと紹介。
 
記事は、韓国の四大財閥であるサムスン、現代、LG、SKだけで、韓国の総資産の26%を占め、売上高は韓国企業の総売上高の20%を占めると紹介している。
また、2014年には韓国株式市場における時価総額の5割近くを4大財閥だけで占めたという。
2017年末時点では、10大財閥の時価総額が市場全体の53.0%を占める1018兆ウォン。それも半分強の553兆ウォンはサムスン財閥グループの時価総額だった。
 
記事は、天然資源に欠け市場も小さな韓国は、国家の富と資源を財閥に高度に集中することを発展の道に定め、さらに韓国経済の奇跡の成長に財閥が果たした貢献は否定できないとした上で、財閥の影響力が大きくなるにつれ、各種のスキャンダルも発生し、民衆の財閥に対する恨みや争議も増大したと指摘している。
 
さらに、韓国では初代の李承晩大統領から、朴槿恵前大統領までの全員が失脚しての亡命、暗殺、自殺、汚職で実刑が確定など、保守政権であり、軍事政権であれ、左派政権であれ大統領が「世界で最も危険な職業」になってしまった背景も、財閥と政府の「根底部分での曖昧な関係」が解消できていないことと無関係ではないと論じている。
 
また、純粋に経済面に限っても、財閥の存在で社会上の富の配分が不均等で、巨大財閥が中小企業の刷新と発展の可能性を奪っており、庶民の生活を圧迫している。
財閥に過度に依存する韓国モデルは、経済成長には役立っているものの、雇用の機会は創出していないと指摘している。
 
記事は公式統計として、2017年における財閥企業の営業利益の成長率は54.8%で、全国の企業の営業利益の40.8%を占めたと紹介した上で、企業数としては財閥企業の割合は0.2%に過ぎないと指摘。
財閥企業の成長の大部分は、半導体製造業などによるもので、財閥の不断の成長を雇用機会の増大に結びつけることはできていないとしている。
(半導体製造工場は今や無人化工場に近い)
 
記事は、財閥頼りの韓国経済の体質にメスが入れられたのは、1997年に通貨危機により国際通貨基金(IMF)から資金支援を受けた際だったと紹介した。
 
企業の資本や統治機構の改善が実施され、外資投資を解放したことが韓国経済に活力をもたらし、1999年の経済成長率は11.3%、2000年も8.9%となり、その後は成長率が鈍化したものの、韓国経済は世界の上位を維持することになったと紹介している。
ただし、韓国経済の「血脈」である財閥問題が解決されたわけでなく、成長の不平等さや雇用問題、政府と財界の癒着は、現在も韓国の成長のボトルネックになっており、いずれの政権も厳しい問題に直面することになると主張している。
 
記事は、韓国人の財閥に対する見方にも大きな矛盾があると指摘。
世論は、財閥の特権や不平等に憤激しているが、多くの若者にとっては財閥系企業に就職することが「夢」と紹介。
その理由は、結局のところ、財閥系以外の給与水準は財閥系企業の6割ぐらいしかないからだと解説している。
以上、
 
<サムスン電子李在鎔副会長と文大統領の癒着?>
韓国では財閥企業に就職するために、大学を留年する人も多く、狭き門がさらに狭く、輸出も国内景気も沈滞では、財閥企業であれ採用そのものを減らしている。
サムスン電子であれ、半導体景気が訪れる前、(2016年のスマホ出火問題が生じた前年の)2015年末には前年末比で5千人あまりの従業員を減らしていた。
これはスマホ以外の事業低迷により、家電などの開発部隊を中心に大量リストラを行ったこと、非正規職と入れ替えたてことによるものであった。
 
サムスン電子は2019年4月30日、華城事業場で「システムSLIのビジョン宣布式」を開催した。文在寅大統領も参加し、「サムスン電子の(システムLSIで)世界1位へ飛躍という目標を積極的に支援する」と演説した。
 しかし、李在鎔副会長は、贈賄容疑で起訴され、刑が確定していない被疑者、財閥トップと最高権力者との関係であり、大統領が一企業のトップと頻繁に会合や全面的な支援の約束などは、それ自体で不適切だという指摘が多い(左派系新聞のハンギョレ)。
 サムスン電子は、メモリー半導体では世界を席巻、半導体全体でも首位ながら、市場占有率は落ち、今後はシステム半導体事業でも世界ナンバー1になるといい、それに加え、ファンドリー(半導体受託生産)メーカーとしても世界ナンバー1になるという。
 
ただ、米国勢を主にするファブレスメーカー(設計までで、生産はファンドリーメーカーに委託)の設計情報が半導体メーカーであるサムスン電子に盗まれる可能性が高く、専業メーカーが優位と思えるのだが・・・。
 
 米ファブレスも難しい。
米マイクロンが生産委託した台湾ファンドリーが中国企業へマイクロンの設計技術情報を持ち出し大問題となり、米政府が台湾と中国の企業2社を個別制裁したことや、アップル製品を受託生産している鴻海にしてもオーナーが、台湾総統選挙、中国寄りの国民党から出馬するとか・・・。
 
参考
0501_07.jpg

 

2016年の韓国財閥グループの資産規模ベスト30/単位:億ウォン
 
財閥グループ
資産規模
主力事業
備考
1
サムスン
3,507,540
電子・電気製品、建設
 
2
現代自動車
2,096,180
自動車
元現代財閥
3
SK
1,638,060
半導体、化学
 
4
LG
1,093,700
電子・電化製品
 
5
ロッテ
1,088,940
食品、流通、化学
 
6
ポスコ
769,410
製鉄
 
7
GS
610,470
石油精製、化学、建設
LGから独立
8
ハンファ
599,910
化学、太陽光セル、建設
 
9
現代重工
522,260
造船・建機
元現代財閥
10
新世界
329,770
百貨店・スーパー・外食
元サムスン系 
11
KT
317,480
通信
 
12
斗山
310,250
重機械、化粧品
 
13
韓進
293,040
大韓航空、物流
会長失脚
14
CJ
266,620
食品
サムスンから分離
15
富栄
204,340
不動産
 
16
LS
199,510
電線
LGから独立
17
大林
180,000
バイク
 
18
未来アセット
159,550
金融
 
19
大宇造船海洋
156,810
造船
政府管理
20
錦湖アシアナ
144,710
化学、航空、タクシー
アシアナ航空売却中
21
現代百貨店
134,880
百貨店・スーパー・化学
元現代財閥
22
-OIL
133,770
石油化学
 
23
暁星
114,540
繊維・重工
 
24
OCI
114,290
化学
 
25
永豊
108,460
電子
 
26
大宇建設
105,850
建設
 
27
KCC
105,790
建材
 
28
夏林
103,210
飼料
 
29
KT&G
98,770
タバコ
 
30
コーロン
95,370
繊維
 
 
 
15,603,480
 
 
 
↓中央女性の右に文在寅大統領、左に李在鎔副会長
0501_08.jpg

 
[ 2019年5月 1日 ]

 

 

 

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