アイコン アフガン、大使館員だけ避難 防衛省、米軍との連携0だったのか


アフガンには500人規模の日本人や現地スタッフなどを、自衛隊機2機、政府専用機1機の計3機を派遣し、日本に帰還させる予定だった。しかし、米軍とも蜜に連携せず、大使館員と共同通信の女性記者1人だけ避難させ、3機に対して帰国命令を発した。

菅首相が鳴り物入りで決定した帰還機派遣、外務省および防衛省の失態は免れない。日本より遅れて派遣した韓国軍は、米軍がチャーターした貸切りバスを増加してもらい、カブール市内から400人あまりを空港へ脱出させ、完全撤退させている。
(米軍とタリバンは、米人と日欧などの大使館員だけの安全退避で合意したようで、そのため日欧関係者は多くが取り残されている)

防衛大臣は吹くことだけで、現地の米軍との連携など微塵も考えていなかったようだ。

現地に元駐在していた元外交官は、すでに日本語通訳者2人が今月殺害されたと話している。現地有名芸能人2人も殺害されている。いずれもタリバン兵によるものだ。
同元外交官は、タリバン執行部のトップたちとカブールに展開しているタリバン兵の意思疎通がなされているか疑問だとしている。カブールのタリバン兵はなかでも多くの戦歴を持ち自爆テロさえ行ってきた最強硬派とされ、すでに市内各地に検問所を設置、家宅捜索による米軍協力者狩りも進めているという。まだ報道機関の記者が現地にいるならば、今後、血なまぐさいニュースが伝わる可能性もある。

まだ、日欧の多くの関係者が現地に取り残されており、タリバン執行部は「安全に関係者は帰国することができる」と発言しているものの、最強硬派のタリバン兵がどう動くかわからない点も多い。

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現に8月24日以降、タリバン強硬派は政府関係者や西側に協力していたアフガン人の出国を認めていない。

過去、米政権とタリバンが停戦に向け会談したとき、タリバン内の強硬派は執行部に不満をもち、多くのメンバーがISに流れたと報じられていたこともあり、タリバンとて決して一枚岩ではない。
最悪は主導権争いだろうが、スンニ派ハナフィー法学派の最高指導者がおり、穏健と見られる執行部と強硬派がどう折り合いをつけるか様子見の時間となっている。

タリバンとISは同じイスラム教スンニ派の武装組織、ISは米軍がイラクからの撤退を機にイラクで誕生した強度の武装集団、イランからシーア派のイランを避け、北方国を経由してアフガン、バキスタン、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、フィリピンへ進出、各国のイスラム武装集団を傘下に入れ、今でも小規模ながら活動を続けている。

アフガンはタリバンが政権を掌握したものの、ISがゲリラ・テロ活動を活発化させる可能性は高い。
それは同じスンニ派ながら兄弟喧嘩も高じれば、すさまじい争いになることはこれまでの歴史が証明している。
また、米国との戦争終了で平和になれば、タリバンの中でも強硬派は頭の切り替えができず、新タリバン政権が、過去の政権時と異なる穏健策を採った場合、不満が爆発し、タリバン兵が再びISに流れる可能性もある。
アフガンは山岳地帯が多く、米軍が20年かかってもタリバンを駆逐できなかったようにISを壊滅させるのはほとんど不可能と見られ、自爆テロが続き、アフガンの混乱は続くと予想される。

タリバン政権が全土を掌握しても、イラン型の政権になると見られるが、イランの政権交代時のホメイニ師のような絶対的な最高指導者がいなければ、政権内での混乱も続くものと見られる。
ましてや、民主化の流れが加速した米軍統治時代も20年を経過しており、アフガン国民もタリバンをどこまで受け入れられるか、受け入れさせるためにタリバン強硬派が動けば、粛清の嵐が吹き荒れる可能性も否定できない。

空港に残された、また自爆テロがあったゲートに集まっていた群衆のどれほどを米軍は移送したのだろうか。米軍そのものの撤退を最優先の時期、ほとんど放ったらかしで、31日午前4時で終了したものと見られる。
早期にお金を払っても日本人および関係者を日本へ送還させることがのぞまれる。

昔は独裁国を支援していた欧米、いまや独裁国を支援しているのは中国でもある。歴史の皮肉だろうか。

[ 2021年9月 1日 ]

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