アイコン 韓国でも海外への工場移転が進む、日本同様産業の空洞化懸念


「韓国では、人口減少で内需市場が萎縮し、外国に生産拠点を置く企業が増えている」と報じられている。日本がこれまで来た道と同じだが、日本は海外の安価な労賃を求めて浸出、韓国はこれまではそうであったが、現在は米国の保護主義により生産拠点を米国内に構築することが求められ、半強制的に移転している部分も多くなってきている。
日本では自動車だけだが、韓国は、自動車、半導体・EV用バッテリーなど世界シェアの高い主力事業も米国への工場進出を半強制され、世界経済しだいでは国内生産の空洞化が一挙に進む可能性もある。

海外への工場移転理由
1、(韓国企業は)後発企業として、海外との賃金格差による低コスト生産を実現し、世界市場での価格優位性により市場占有率を高める企業戦略をとっていること。しかし、国内の賃金上昇により、低賃金の海外へ工場移転を加速させている。

2、海外が工場を誘致するため、税など種々な特典を与えて誘致していること。

3、消費地に近く物流コストが抑えられる海外への工場移転もある。

4、世界の2大市場である米国や中国が国産化率を高める保護貿易主義を採っていること。
半導体や自動車用バッテリー工場は付加価値や価格設定面から、どこで生産してもほぼ同じだが、米国は明らさまに国産率を高めるため、税制など保護政策の下、米国で生産するよう半強制していること。自動車⇒半導体⇒EV用バッテリーetc
米国の今回のインフレ抑制策も地産地消の保護主義政策の一環。
新興国では国内への工場誘致策のインドネシアの保護主義が顕著。木材・鉄鉱石・ニッケル・石炭等の鉱物資源の輸出禁止や輸出統制、付加価値を付け輸出する策に転じている。

 

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5、国内が少子高齢化により、市場キャパが縮小、新たな市場を求めて海外工場進出。

6、長期的に見て為替変動により、国内からの輸出の優位性が崩れる可能性。
などがあげられる。

 米インフレ抑制策のEV購入補助金支給制度は、中国が講じていた地産地消政策をそのまま米バイデン政権が導入するもの。車両躯体も対象としており、中国よりきつい。

韓国ではすでに少子高齢化が進み、昨年からは人口減少も始まっている。よほど賃金を上昇させ続けない限り、当然、市場は縮小することになる。

現代自動車は3月、インドネシアのジャカルタ近郊に完成車工場を新設しEV生産も開始している。
現代自動車Gは1億人以上の人口の国や経済圏をターゲットに工場進出。米国・中国・ロシア・ブラジル・EU・メキシコ・インド・ベトナム・インドネシアなどへ急展開しているとおり、市場が大きい国、成長が見込める国へ進出している。

現代自G(:現代+起亜)の海外販売台数は、20年前の2002年の海外生産は約151万台だったが、今年は約618万台と約4倍に拡大させている。
同グループの昨年の国内生産比率は39%だったが、2001年は96%に達していた。

サムスンやLGの家電やスマホも、高級機種以外はほとんどベトナムやマレーシアなど海外で生産し、そうした生産国から欧米先進国などへ輸出されている。それも米国の保護貿易主義により、すでに米国でも家電生産工場を稼動させている。

半導体にしても、最大の需要国である米国のトランプ-バイデン政権の保護貿易主義により、ソムスン電子は米国に巨大工場の建設に入っている。

EV用バッテリーは、EV同様、韓国で生産し、輸出する体制だったが、米国の保護主義により、すでに、LGエネソルはGMとの合弁で米国各地にバッテリー工場を建設しており、SKオンはフォードとの合弁で米国で工場建設、サムスンSDIはクライスラーなどのステランティスとの合弁で米国に工場建設しており、LGやSKは別に単独でも米国で工場建設を行っている。LGはホンダとも米国で合弁工場建設に合意している。
(そこには日本の電池企業はない、パナ社のEV電池の研究開発はテスラが主導している)

バイデン政権がインフレ抑制法に対し、韓国からEV輸出する体制の現代自Gが大慌て、現代の米国工場でのEV生産は2025年度でもあり、韓国政府に対し米政府と交渉させている。

2017年~20年まで続いた中国が補助金対象を絞ったEV販売制度とまったく同じもの。当時、3元系の韓国勢のバッテリーは安全面からも中国市場からパージされていた。それは中国で生産しても同じで、バッテリーメーカーに対して補助金の認証を与えていた。

韓国では海外からの直接投資も減っている。
将来的な国内市場の縮小、国内生産の縮小、海外生産の増加に伴うものだろう。それは工場のほか金融などサービス産業でも生じている。

半導体等の生産増加は今後とも当然続くが、全世界が均等に拡大するわけではなく、製造も消費も大きい国家政策の中国や消費だけが途方もなく大きかった米国が製造面でも保護主義に入っており、そうした国にサプライチェーンも付随して工場進出するしかなくなっている。

しかし、韓国3社製EVバッテリーに見られるように、その材料のほとんどを中国からの購入に依存しており、その材料費だけでも生産原価の8割に達する。
ニッケル生産国はインドネシアとフィリピンで、インドネシアは鉱石輸出を禁止、フィリピンは中国と提携しているが、フィリピンからの最大の鉱石輸入国は日本でもある。
特に韓国勢の3元系バッテリーはニッケルを大量に使用する。

また、中国は、アフリカ・コンゴに世界最大の埋蔵量を誇るコバルト鉱山の開発利権を有し、生産に当たっている。
リチウムにしても中国は豪州の鉱物リチウム鉱山の利権を有し、鉱石を輸入して中国で生産している。

EV電池価格の2割部分が、工場設備投資や労務費などの経費+利益となる計算、3元系ではどっち道、中国がその利益のほとんどを享受することになる。また、それなしには米国でもどこでもEV用電池を生産できない。

日本では、いろいろな電池が開発されていたが、政府が銭をくれず研究開発が続けられず、ほとんど消えてしまった。

高価なレアアースを使用しない、または大幅に減らした電池の開発が望まれているが、日本はすでにすべての分野で蚊帳の外に置かれている。
トヨタが開発した全固体電池でさえ、国の参総研も出動させたが、知験がなく、いまだEV搭載の小型化開発には至っていない。
国家による研究開発投資は、票に直接つながらず、国家上げて投資してこなかった天罰が現在降りてきている。かといって票に直接つながる公共投資は国土強靭化の美名の下に空前の規模で実施され続けている(以前は国の予算が主導、現在は地方交付金により地方主導になり、全体を見えにくくする巧妙さが際立つ。

世界最大のEV用電池メーカーの中国CATLには、研究開発要員だけでも5000人が在籍。当然世界中からも優秀な研究者を千人計画の国家政策の下に採用している。
CATLはこれまでも主力としていたコバルトを使用しない燐酸鉄リチウムイオンバッテリーの出力を大幅に増加させたLIBを開発し、すでにベンツなどにも搭載させている(充電走行距離を200キロ台から400キロ台まで伸ばした。(安価で安全性に優れている。ただ、瞬間最大出力や最大航続距離は3元系が優位、しかし、日常の使用にしまったく支障はなく、車両価格の1/3以上がバッテリー価格であり、販売価格を3元系より大幅に落とすことができる。航続距離を伸ばすには大量の電池を搭載することになり、車両価格は比例して高騰する)。

こうした技術の進化や開発は、昔は日本のお家芸であったが、基礎研究や研究開発に対する今に続く聖域なき削減は日本の将来の芽が、ヒステリックな統一サタンに汚染された政治家たちにより毟り取られ続けてきた。

[ 2022年9月13日 ]

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