アイコン 韓国経済暗雲はトランプ制裁も短期加算 サムスンの漁夫の利は続く

 

 

米中貿易戦争は新コロナを境に経済の名を借りた現代版戦争に突入している。かねてからトランプ政権が槍玉に挙げているファーウェイがターゲットになっている。
米国が9月から施行予定の「対ファーウェイ半導体輸出規制」。米商務省は「米国の装備や技術を利用、ファーウェイが設計した半導体を生産してファーウェイに供給する企業」を対象に輸出免許を受けるようにした。一次的に台湾のファウンドリー(半導体受託生産)企業であるTSMCを狙ったもの。
 米国が制裁発表直前にTSMCは米国に大型投資を行うと発表し、米政府はTSMCがファーウェイに供給し続けた場合、制裁するかどうか不明な点もある。欧米紙や日経はTSMCがファーウェイからの受注を中断したと掲載したが、TSMCはコメントしていない点もそうした思惑があるものと見られる。

<サムスンは3つの漁夫の利>
1、メモリ半導体は現在のところ制裁対象ではないが、米マイクロンはファーウェイに対する納品を停止している。DRAMについてはサムスンとSKの韓国勢が世界シェアの73%を占め、マイクロンが20%を占めている。当然、マイクロンの供給停止は韓国勢に恩恵をもたらしている。

2、米国は同盟国に対してファーウェイの5G中継機器をセキュリティ問題から導入しないように要請している。その結果、漁夫の利を得ているのは欧州勢のノキアでもエリクソンでもなく、サムスンが得、これまでの5%未満の市場シェアを大きく伸ばしている。

3、昨年の米国のファーウェイ制裁でもサムスンのスマホは、欧州でファーウェイから市場を奪還し、世界のスマホ市場が縮小する中、シェアを大きく回復させている。

米国がファーウェイ制裁すればするほど、サムスンは漁夫の利を得る構造となっている。

こうした中、最近、ファーウェイは韓国勢を呼びつけ、「安定したメモリ半導体納品」を要求した。
米国は国家安全保障に基づく対中国経済包囲網に韓国も同調するように求めているが、当然、対中貿易が大きい韓国政府は現在のところ無視している。

具体的な9月からの対ファーウェイ追加制裁を、米国がさらに拡大させ、米企業製のソフトや製造機械で生産した製品をファーウェイへ納品することを制裁対象にした場合、韓国勢も対象となってくる。
両社はファーウェイに対して合計で1兆円相当の半導体を納品(NAND含む)しており、両社にとって重要な取引先の1社、その直接的な打撃は大きい。

それも米中貿易戦争や新コロナにより韓国経済も低迷、しかし、現在も半導体で韓国経済は持っており、ファーウェイを代賛できる納品先も見当たらない。もしも半導体の輸出が落ちれば貿易赤字は必至、為替安を生じ、再び為替不安にいたる。

9月には、新コロナ為替不安に陥った韓国を救済した米韓スワップ協定の期限を迎える。米国が延長しなければ欧米の経済しだいでは再び為替不安に陥る可能性すらある。
米韓スワップ締結で、1290ウォン台まで暴落したウォン暴落危機を回避、しかし、マジノ線とされる1200ウォンを切ることもなく、再び1240ウォン台まで下落している。
(韓国当局は米国債を売り、ウォン買いドル売りで買い支えしたのか、米国債残が減少している。しかし、米国債残は外貨準備高を構成し、減少は結果として、ウォン安を誘引する)

これは文大統領が、ウォンが基軸通貨でないにもかかわらず、欧米並みの財政赤字のGDP比を意識し、補助金・助成金をばら撒き続け、失業対策に臨時も含め公務員を大増させ、財政悪化を招き続けていることにある(外貨準備高や対外純資産・第一次所得収支などのファンダメンタルの部分も大きく左右する)。
また、企業は、不景気のさなか、労働賃金を大幅に増加させられ、大企業は非正規職の正規職化を強制的に図らせられ、労働の硬直化を招き、国が過激な労働組合運動を支援している。
文政権の経済低迷下に、こうした歪な社会主義政策に、新コロナ経済対策が追い討ちをかけ、さらにばら撒き続けていることから、為替不安が生じている。
(韓国文政権のやりたい放題の経済政策によりウォン暴落を招いたとしても、日本に対してスワップ協定を復活させてくれと言うのはほとほとナンセンスだろう。米国がスワップを締結したのは、投資であくまで米国の利に適うからである。米韓で問題が生じれば、スワップ協定の延長もなくなる可能性もある。この間も外資が韓国投資を減らし続け、結果、ウォン安になっているのはそうしたリスクを抱えているからでもある。今年の韓国米軍駐留費負担金問題も拗れたままとなっている)

サムスンは、2030年までにシステム半導体でも世界一になるとし、システム半導体のファンドリー部門を急拡大させ、さらに工場建設に取り掛かった。
(汎用性がなく相場に左右されないシステム半導体は自社企画の半導体、ファブレスメーカーのシステム半導体の受託生産であるファンドリー事業とは異なる。今後、自社規格品を大幅に増加させるのだろうかは不明)
これは、メモリ半導体メーカー各社の生産工場の拡充が、米中貿易戦争激化により世界経済が低迷し、半導体の供給過多により価格が暴落、供給過剰・在庫増となり、サムスンは工場を稼動させるために急遽値崩れしないシステム半導体のファンドリー事業を拡大させ対応し、成功しているもの。受注好調で韓国ではさらにファンドリー工場の建設に取り掛かっている。

(サムスンは医薬品製造部門でも、これまでのジェネリック医薬品生産から、製品や原薬の受託生産を急拡大させている。この部分は中国勢が圧倒していたが、トランプ政策は中国へのこうした原薬や薬剤の委託生産を撤退させる動きにもなっている)

メモリ系半導体は、中国の西安工場の第2工場計画を有し、新工場でファーウェイ以外の中国の需要を満たすものと見られる。
新規に半導体需要が見込まれる自動車は、電気自動車も含め、米中貿易戦争・新コロナによる世界経済低迷により、爆発的な普及は見込めず、半導体価格の押し上げ効果は限られるものと見られる(自動車はパワー半導体が主)。また、主要半導体メーカーも工場をこれまで拡充しており、中国勢もメモリ系では大工場を稼動させており、技術差もサムスンらと1年未満まで縮まり、これまでのような価格暴騰を抑制させることになる。

いずれにしろ、米トランプ政権のファーウェイたたきがこれまで以上にエスカレートすれば、サムスンの漁夫の利の一角が崩れることになる。しかし、総じてサムスンにさらに大きな利が転がり込んでくることは間違いないだろう。
それはスマホとメモリ半導体の№1企業として巨額の利を得、各方面への研究開発に巨額投資してきたその優位性にあろうか。
後発のCMOSセンサー半導体もすでにSONYのシェアを奪いつつある。
車両用二次電池でも全固体電池の開発を進め、懸案の小型化に成功している。
サムスン電子は今年3月、1回の充電で800キロ、1000回以上再充電が可能な全固体電池の研究結果を「ネイチャー・エネルギー」誌に発表。サムスン電子総合技術院とサムスン日本研究所(日本人)の研究陣が共同で進めたもの。

[ 2020年5月26日 ]

 

 

 


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