アイコン バイデン 新たなるアメリカンファースト NATOは撤退反対だった


バイデンはオバマ政権下副大統領であったものの、オバマ時代のアフガン増派に対して撤退論者だった。彼自身からすれば大統領になり自論を行使したものだろうが、今回の失敗の責任をトランプ前大統領が兵士をアフガンから大幅に撤退させてきたことになすりつけるなど、見苦しくなっている。

また、欧州のNATO軍の代表格のドイツのメルケル首相は完全撤退に反対であったものの、NATOと話し合いもせずに決定して、完全撤退を断行することにしていた。これではトランプとバイデンは何も変わらない。
NATO諸国もアフガンへ兵士を送り込んでおり、一方的な撤退はNATO軍や欧州国からの派遣人員にも危険が及んでおり、今後米×NATOに亀裂が生じる可能性もある。

トランプが大統領就任早々もっと金を出せとNATO加盟の欧州国と喧嘩し、独仏は米国離れを加速させ、欧州軍創設まで検討していた。今後、本格化させる可能性もある。因みにドイツだけでもアフガンから1万人規模の人員を帰国させる必要があるという。

今回、米国の諜報機関は米軍が撤退してもアフガン軍が最低3ヶ月は持つと構想を信用したバイデンだったが、撤退計画を実施する前にアフガン政権は崩壊した。現在アフガンに残っている4000人以上の米軍の撤退は今月末までを予定していた(今年4月、バイデンが今年の9.11までに完全撤退すると一方的に表明したことに始まっている)。

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ベトナムのサイゴン陥落では、米政権は、大混乱の中、多くの現地の関係者や要人たちを飛行機や船舶で大量に米国へ避難させたが、今回は、まだ米軍が撤退の作業中であり、首都カブールが中央政府も地方政府も逃亡したことにより無血陥落し、米国人だけでも逃げ出すのが精一杯の状態。逃げ道は空路しかない。

そのためバイデンは1000人規模の空挺部隊をアフガンへ急派している。
当然、米国関係の仕事に従事していたアフガン人を米国へ入国させなければ、今後、処刑される可能性も高く、バイデンの非人道的な行為が大きな問題になる可能性もある。

米軍は月曜日にカブール空港を通じてアフガン人の特別移民ビザ(SIV)申請者を避難させるという任務を停止した。また、カブールが陥落するまで特別ビザ発給もしなかった。そのため、多くのアフガン人が置き去りにされると恐怖に駆られている。

また大使館関係者も現地採用者に対してあなた達を乗せる飛行機はないと発言するなど、バイデン政権は置き去りにする可能性も高くなっている。

空港内には大量の国外脱出を図りたいアフガン人が集結しており、民間機は飛んでもおらず、米軍機だけが頼りになっている。
こうした中でも、バイデン政権はタリバンと交渉すべきだろうが・・・。

2001年の9.11事件から20年間アフガンに進駐し傀儡政権を樹立させ、米政権だけで9兆円以上(米軍費用も含めば約220兆円+NATO諸国や日本も負担金あり))をアフガン政権に投資してきたものの、金の切れ目、米軍撤退、が縁の切れ目となり、アフガン軍は戦わずしてタリバン勢力に明け渡し、瞬く間にタリバンがアフガンを制圧した。ガニ大統領はタジキスタンに飛行機で逃亡、自動車4台とヘリで現金を積み込み、空港には飛行機に積み込みできなかった現金袋が放置されていたという。

米軍が仕掛けたアフガンでの20年間の戦闘でイランだけでも300万人のアフガン避難民がいるとされ、今後のタリバンしだいでは避難民が急増するおそれもあるが、イランは米制裁で困窮しており、新たなる避難民を受け入れない可能性もある。

逆に、イランとアフガンは共にイスラム原理主義、シーア派とスンニ改革派と大きな違いがあるものの、米国に対して結束することも考えられる。(タリバンが擁護したアルカイダはスンニ派の原理主義者たちの武装組織だった)

米国はイランでも戦争をしかけ、尻も拭かずに撤退、ISを台頭させた原因を作った。さらにウクライナやアラブに春の風を吹かせ、ほとんど失敗に終わり、中東・北アフリカから大量の避難民が欧州に押し寄せる結果を招いた。

今回のバイデンの独断行為は、トランプがなしたタリバンとの交渉もろくにせず、NATO加盟国とも話し合わず、トランプ時代の孤立が、今度はバイデン孤立になる可能性もある。

香港でさえ見殺し状態、金融制裁するわけでもなく、結果、口先だけの介入で中国のやりたい放題にさせている。

反トランプとして登場したバイデン、バイデン自身の勝利ではなく、反トランプ陣営の勝利であったが、やはり副大統領の器止まり、大統領の器ではなかったようだ。
これまでの手法はほとんどトランプと何も変わっていない。トランプは交渉術に長けていたが、血の気だけが多いバイデンにあっては交渉術も見当たらない。スタッフも実務派揃いだろうが個性が弱すぎ、バイデンを補完する役者もいない。

タリバンは空港を攻撃しないだろう。
撤退する米国を怒らさせたら、米軍からタリバン勢力が陣取る場所は空爆されることになる。首都という平地、攻撃を回避できる山岳地帯ではなく逃げることも限られる。
イラク戦争では、米軍は撤退するに当たり政府軍に大量の兵器を渡したものの、イラク第2の都市モスラをISに攻撃され、政府軍は簡単に逃げてしまい、武器庫の大量の兵器がそのままIS側にわたり、その後ISがイラク全土で攻勢を仕掛ける原因をつくった。

今回は、無血クーデターと同じ、大統領がいち早く逃亡して戦わずして政権崩壊・首都陥落、米軍がこれまで大量の兵器をアフガン軍に渡しており、その兵器が米軍の攻撃に利用される可能性や、世界各地の紛争地帯へ持ち込まれる可能性も高い。アルカイダもまだ存在している。

イランが支援するフーシ派とサウジが支援する政府軍の内戦国のイエメンがさらに血生臭いものになる可能性もある。
イエメンでは旧北イエメン地域を支配しているフーシ派のほか、IS:系、アルカイダ系も活動している。イランが米軍最新兵器をタリバンから購入し、イエメンのフーシ派に供与する可能性もあり、タリバンから米製武器がアルカイダに渡る可能性もある。
イランは核合意を一方的に米トランプ政権から破棄され、強烈な制裁を受け、新コロナでも大きな打撃を受け、穏健派からタカ派の大統領に変わっている。
米国は、早期にイランを取り込まなければ米製兵器がイランなどを通じて中東のパレスチナやレバノンの武装勢力に渡る可能性も高く、イスラエルがヒステリーを起こす可能性もある。

↓空港に押し寄せた避難民と警備する米軍
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[ 2021年8月17日 ]

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