アイコン シャープ 福山の半導体部門を分社化 鴻海の珠海新工場に対応へ

 

 

シャープの親会社の鴻海は、中国・珠海市(香港・深セン・マカオに近い)に総投資額1兆円規模の半導体生産工場を建設すると公表している。
そうした中、シャープは26日、半導体事業を分社化すると発表した。受皿会社を1月に設立し、同4月1日に実施する予定と発表した。

それによると、広島県福山市に吸収分割承継会社として半導体や大規模集積回路(LSI)を開発、生産する「シャープ福山セミコンダクター」と半導体レーザーを扱う「シャープ福山レーザー」の2社を設立する。
半導体事業に現在所属する従業員約1200人うち、1000人程度を新会社に出向させる。

シャープは、高精細の映像技術「8K」やモノのインターネット(IoT)分野の成長を目指しており、最先端製品の開発力強化が急務となる中、分社化で事業環境の変化により迅速に対応したい考え。

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シャープの親会社の鴻海は、EMSメーカー(電子機器の受託製造サービス)の最大手であるものの、半導体部門は希薄で珠海工場を造ったとしても生産ノウハウはほとんどない。これまでに他社と提携する動きを見せていたが、シャープに分社化させることで、経営資源(生産技術/設計技術)を、珠海新工場に取り込む狙いがあるものと見られる。
富士康(Foxconn/鴻海)は、
1、モノのインターネット(IoT)技術を活用して生産の自動化を図る「インダストリアルIoT(IIoT)」、
2、超高精細画面「8K(7680×4320ピクセル)」と第5世代(5G)移動通信システムの融合、
3、人工知能(AI)
など、次世代の高性能半導体チップの需要拡大に向け、珠海半導体工場を半導体サービス産業の重要な拠点にする計画。

また、鴻海は、Apple製品のほとんどを生産し、強い結び付きがあり、汎用半導体の製造ならば、同社製品に優先的に組み込むことが可能となる。Appleとしてもスマートフォンでライバルのサムスン電子から有機ELどころか半導体製品も大量に購入しており、鴻海の優先納品は揺るがないだろう。
しかし、サムスン電子やSKハイニックスの半導体は大容量化し進化し続けており、シャープの半導体部門の製造設計部門が対応できるかが鍵となる。当然、鴻海は今後、シャープから分社化した部門を、半導体の研究開発部門として強化するものと見られる。
福山の半導体工場は、珠海工場の稼動後は、顧客ニーズ合わせた付加価値の高いシステムLSI、カスタムLSI工場に移行させるものと見られる。
半導体・システムLSIの開発は、そのすべてが回路設計技術の開発力にある(中国勢はサムスンやSKなどから人材を大量に引っこ抜いている)。

ただ、米トランプは次世代IT世界において覇権をゆるぎないものにしたく、ライバルになってしまった中国の「中国製造2025」を、知的財産権侵害を持ち出し強くたたいており、台湾勢といえど、中国での生産を日台の合作ながら米トランプが許容するかは不明なところもある。

台湾には多くの半導体メーカーがあるが、主力はファンドリーメーカー(FM)であり、そうしたFM会社を鴻海が取り込み、中国で生産するならば、米マイクロンの半導体の委託生産をしていた台湾のFM会社UMC(聯華電子/FMの世界第3位)が、中国のJHICC(福建省晋華集成電路/「中国製造2025」での新設会社)と提携し、JHICCが半導体の大工場を建設、生産開始しようとしたものの、マイクロンにより提訴された知的財産権侵害により、両社がトランプ政権により制裁を受け、新工場にはすでに半導体製造装置が納品されているものの、稼動できなくなった問題のように、米制裁を受ける可能性もあり、珠海新工場では、シャープの半導体部門を活用するものと見られる。

リストラ?
1200名のうち1000名を分社化した会社に移行させるとしており、残る200名はどうするのだろうか。分社化の影で200名をリストラさせるのかもしれない。それとも200名をシャープ本体の製品造りに活用するのだろうか。

↓シャープ福山の半導体工場
シャープ福山の半導体工場

 

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[ 2018年12月27日 ]

 

 

 

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