アイコン 千代田化工建設の巨額赤字原因と新規大型案件受注 大赤字キャメロンプロジェクト

 

 

プラント大手の千代田化工建設が、メキシコ湾岸の米ルイジアナ州でのプラント工事「キャメロンLNGプロジェクト」で巨額の損失が発生したため、筆頭株主の三菱商事に金融支援を求めたことが2月5日報道されている。
最下位に記載の新規大型物件受注における運転資金確保の支援も意味しているものと思われる。
2019年3月期連結決算は1千億円超の赤字となる見通しで、支援を受けて財務強化を図る考え。
三菱商事は2018年9月末時点で千代田化工の発行済み株式の33%超を保有している。
総投資額約1兆円規模の当プロジェクには、三菱商事、三井物産も参画している。

<巨額損失のキャメロンLNGプロジェクト>
2014年8月、
キャメロンLNGプロジェクト、総投資額約100億米ドル、内74億米ドルについては国際協力銀行及び民間金融機関との融資契約を締結案件した。
キャメロンLNGプロジェクトにおいて、千代田化工建設(三菱商事系)は、ジョイントベンチャーを組成しているマクダーモット社(McDermott International,Inc.(NYSE: MDR))とともに、天然ガス液化プラント工事などを一括受注している。

<赤字原因>
1、工事の大幅遅れ
2、現場が辺鄙な地にあり、建設労働者の定着率が非常に悪い。
3、トランプ政策による好景気で労働者不足が生じ、当案件でも建設従事者不足が深刻、
4、 工事を左右する優秀な建設労働者ほど集まらない状態で労賃も高騰。
大規模な工事遅延損害金も発生するかもしれない。

 
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千代田化工建設 11月9日発表分
連結/百万円
売上高 
営業利益
←率
税前利益
株主利益
18/3期Q2
250,652
-13,126
 
-12,373
3,480
19/3期Q2
146,387
-96,267
 
-96,371
-108,606
19Q2/18Q2比
-41.6%
 
 
 
 
19/3期予想
400,000
-86,500
 
-86,500
-105,000
19期予/18実比
-21.7%
601.5%
 
756.4%
-1729.2%
18/3期
510,873
-12,330
 
-10,100
6,445
17/3期
603,745
15,680
2.6%
-3,080
-41,116
16/3期
611,548
16,015
2.6%
16,205
3,375
19/3期Q2
総資産
純資産
自資本
自資本率
 
375,581
49,446
47,549
12.7%
・自資本は自己資本。
 
<キャメロンLNGプロジェクトとは>
米国ルイジアナ州のキャメロンLNG社(CLNG社/センブラ社が50.2%株保有)を事業主体とする天然ガス液化事業。当事業には三菱商事、三井物産、仏GDFS社も参画。
センプラ社は米加州サンディエゴの発電・LNG供給事業会社
GDFS社は仏パリの発電事業、ガス輸送会社
 
米シェールガス革命により休止していたLNG輸入施設を輸出基地へ変身させるプロジェクト。
CLNG社が、ルイジアナ州ハックベリーに保有するキャメロンLNG輸入基地を、輸出基地へと転用する為、新たに年間1,200万トン(400万トン×3系列)の天然ガス液化関連設備を建設、2018年からの商業生産開始するプロジェクト。
<三井物産>
三井物産によると、天然ガス液化プラントが建設されているキャメロンLNG基地は、LNGを海外から米国に輸入する受入基地として、2009年7月に運営開始。
しかし、技術革新によって頁岩(シェール)層に含まれる天然ガスを低コストで採掘できるようになる、いわゆる"シェールガス革命"が起こり、米国産天然ガスが輸入LNG価格よりも大幅に安い価格で供給され始めたことにより、受入基地としてはほとんど稼働していなかった。
 
受入基地には、南北2つの桟橋があり、積載量217,000立方メートルという世界最大級のLNG船を受け入れることが可能。
LNGの貯蔵設備としてLNGタンクが3基あり、天然ガスを運ぶパイプラインも設置されている。
このため、新たに天然ガス液化プラントを建設すれば、既存の設備を活用しながら、受入基地を輸出基地へと転換することができる。
 
受入基地としてのキャメロンLNG基地は、センプラ社(Sempra Energy)の100%子会社であるキャメロン社(Cameron LNG, LLC)が保有・運営している。
この受入基地に、天然ガス液化プラントを建設して輸出基地へと転換するに当たり、三井物産の100%子会社であるMitsui & Co. Cameron LNG Investment, Inc.は、他2社と共にそれぞれ16.6%出資参画。
この事業では、年間1,200万トンの液化能力を持つプラント(400万トン×3系列)を新たに建設する。
三井物産はそのうち年間400万トンの液化能力を確保し、LNG生産開始から約20年間にわたり、原料となる天然ガスを確保しキャメロン社に供給した上で、キャメロン社が液化したLNGを東京電力、東邦ガス、関西電力、東京ガスなどに安定的に供給する。
 
また、日本を中心とした需要家向けのLNGを輸送するため、2015年5月までに8隻のLNG船の定期用船契約を締結した(商船三井が韓国の造船会社に発注している)。
 
LNGは、これまでの油価リンクではなく、米国天然ガス価格リンクでの販売であるため、LNG購入価格を多様化出来るというメリットがある。
 
<三菱商事>
三菱商事は、本プロジェクトにおいて、原料となる天然ガスを市場から調達、独自手配済のパイプラインにて輸送のうえ、LNG基地運営者であるCLNG社に天然ガス液化作業(LNG生産作業)を委託し、生産された当社分約400万トン/年のLNGを、日本を中心にアジア新興市場等の需要家へ販売予定。
 
<米現地企業と共同で1兆円のプロジェクト受注>
千代田化工建設は2月6日、米国で石油大手エクソンモービルなどが計画する大型の液化天然ガス(LNG)プラントを受注したと発表した。現地建設会社2社と共同して総額約1兆円のプラント工事を受注した。
 
千代田化工は2018年秋、米ルイジニア州の「キャメロンプロジェクト」で巨額の損失を計上している。今回は、リスク管理徹底のために業務を設計などにとどめて、工期遅延による追加損失を被らない契約を結び、経営再建の一歩にしたい考え。
 
今回の受注では、プラント建設を現地企業に任せることで、工期遅延や追加工事が発生した場合でも、千代田化工が負担しないで済む契約をジョイントベンチャー(JV)内で締結している。
 
同社は2019年3月末までに経営再建策を策定するとしており、リスクを減らしながら着実に利益を出す考え。
 
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<<新規受注>>
<新規ゴールデン・パスLNGプロジェクト>
千代田化工が受注したのは、米エクソンモービルとカタール国営石油が、米テキサス州で計画する「ゴールデン・パスLNGプロジェクト」。
千代田化工と米建設会社ザクリなど3社によるJVが受注した。
生産能力は年1560万トンで、既に建設予定地にあるLNG受け入れ基地の設備を転用して、液化・輸出設備を建設する。
総額1兆円の大規模プロジェクトで、千代田化工は得意とするプラントの設計と資機材の調達に担当業務を絞る。
 
千代田化工は2018年秋、米ルイジアナ州で建設中のキャメロンプロジェクトのLNGプラント工事で熟練工の不足による工期遅延が発生。2018年4~9月期に最終損益で▲1086億円の赤字を計上している。
以上、

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[ 2019年2月 7日 ]

 

 

 

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