アイコン 執拗なマクロン大統領 ルノーの日産統合を再び提案 ルノーサムスンを日産に

 

 

日産自動車とアライアンス(連合)を組む仏ルノー、1月就任したジャンドミニク・スナール会長になり初めて、今月中旬までに両社の経営統合を日産に提案したことが明らかになった。

両社トップを兼務していたカルロス・ゴーン被告の逮捕後、ルノーによる統合提案が表面化するのは初めて。日産は拒否するとみられるが、関係改善を進めてきた両社の対立の火種となる。ましてや、スナール会長は就任直後は吸収統合に否定的な見解を発言していた。
 
<窮地に追い込まれているルノーサムスン>
ルノーサムスンの一寸先は闇、
同社は事業継続しても過激な労働組合がストを打ち続け(昨年10月から4月16日までに58回の時限ストを敢行)、今では要求もエスカレート、賃金どころか、人員を増やせ、時間当たり生産台数を減らせ、人事配置も事前合意せよと迫っている。
生産コストは今でも日産九州苅田工場よりも高く、生産性も落ちる。
もう韓国は安価に車両を造れる国ではなくなっている。その上でこうした要求を突き付け、ストを打ち続け、ルノーにとって留まるも地獄、撤退するも地獄の様相を見せている。
ただ、撤退すれば、ルノーに多大な損害が生じる(中国でもルノー車はまったく売れていない)。
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スナール会長は日産と経営統合して、マクロンを喜ばせるとともに、ルノーサムスンを日産傘下の工場に再編するつもりなのだろう。
 
ルノーサムスンは設立来の韓国人の李基寅副社長からも逃げられ(ストの責任を取り辞任)、もう激しい労働組合対策ができる人物もいない状態。
当然、民族愛と積弊清算愛に溢れた韓国文政権も、韓国GM と状況は異なり、「撤退するな」ということしか言わない(労働争議に介入しないということ)。
 
日産ローグは、日産にとって米国で一番売れている車両であるが、昨年40万台を販売、うち12万台分をルノーサムスンで委託生産。この委託生産は2014年9月に開始されたが、2012・13年と同社の販売台数は落ち込み、経営不振に、そこでゴーン采配により、フルモデルチェンジとなるローグの生産の一部をルノーサムスンに生産委託、ルノーサムスンは勢いを取り戻した。
しかし、今年9月で契約期限切れ、日産は納品遅れなどストの影響もあり、今年は6万台を委託することを通知している。
 
米国SUVローグの販売台数:
2016年329,904台、
2017年前年比22.3%増の403,465台、
2018年前年比2.1%増の412,110台、
2019年1~3月は▲19.4%減の93,814台となっている。
これは、欧米人のゴーンびいきから日産批判の不買にあり、また、今年モデルチェンジの時期に来ていることにも起因しており、また、ルノーサムスンからの供給遅れもあるのかもしれない。
 

 

ルノーサムスン生産台数=販売台数推移
 
韓国
世界
 
 
/千台
前年比
/千台
前年比
 
2009年
 
 
192
 
リーマンショック余波/10年のFTA締結で欧州販売車生産
2010年
 
 
276
43.8%
2011年
 
 
243
-12.0%
2012年
59
 
154
-36.6%
2013年
60
1.7%
131
-14.9%
経営不振
2014年
80
33.3%
169
29.0%
2014年9月から日産ローグ生産
2015年
80
0.0%
229
35.5%
2016年
111
38.8%
257
12.2%
2017年
100
-9.9%
276
7.4%
2018年
90
-10.0%
227
-17.8%
2019年の月別販売状況 単位:台
 
韓国
世界
 
 
前年比
前年比
 
19/1月
5,174
-19.2%
13,693
-37.3%
 
19/2月
4,923
-8.0%
11,721
-26.7%
 
19/3月
6,540
-16.2%
13,796
-49.0%
 
1~3月計
16,637
-9.1%
39,210
-39.6%
 
2019年9月日産とのOEM生産契約終了/韓国数値は世界数値の内数
 
<吸収統合の系譜>
 マクロンは、前オラント政権下で産業相(2014年8月~2016年8月/2012年~2014年大統領府副事務総長) であり、ルノーに日産を吸収統合させようとした。
しかし、当時、ゴーンが猛反対した。
そこでマクロンは国金を使い、ルノー株を15%から約20%まで買い増し、フロランジュ法まで施行して2年以上の持株は2倍の議決権があるように制定した(2014年制定)。
それで、ゴーンに圧力をかけたが、ゴーンはそれも蹴った。
 
日産もルノー株を15%保有しており、仏政府により不当な介入があった場合、25%まで持てば、ルノーが持つ日産株43.4%の議決権の消滅することから、日産がルノー株を買い増すことも考慮されている。(和解で、仏政府はフロランジュ法の行使をルノーに対しては制限するとの密約もなされている。昨年12月には仏政府所有のルノーの15%株を日産が買い取る話も出ていたが立ち消えとなっている)
 
やっと、そこで、和解し、もうこれ以上仏政府はルノーに介入しないとした。そして仏政府は買い増した株も売却した。
 
<マクロンの屈辱>
まだ41歳マクロンは、ロスチャイルド系銀行で大型M&Aを手がけていた人物、ルノー株の買い増しも公金を使用して行わせ、法律まで新規に制定してまで、ルノーに日産を吸収統合させようとしたが失敗した。これは彼にとって最大の屈辱だったと見られる。
 
これで一件落着かと思われたが、マクロンが2017年5月、棚から牡丹餅状態で大統領に就任、今度ははばかることなく、大統領としてゴーンに対して日産を吸収統合するように暗に命じた。その引き換えはルノー会長+CEOの役席更新であり、ゴーンはその更新時期を昨年6月に控えていた。相手が大臣ではなく大統領だとしたら、筆頭株主でもあり、忠誠を尽くすしかない。
 
そうした動きを日産側は察知、ゴーンの裏切り行為に激怒した日産は、日本の検察と動き、2018年11月19日、ゴーンを有価証券不実記載や会社資金不正使用で逮捕、その後もゴーンの不正乱発が明るみになっている。
 
その間もマクロンは産業相を使ったり、自らも、ルノーによる吸収統合を認めるよう要請し続けていた。昨年12月1日のブエノスアイレス会議では、マクロンが安倍首相に要請、その要請を安倍首相は民間の案件は民間企業に任せるべきだとして断っていた。
 
仏経済誌シャランジュは2月6日、仏政府は15%のルノー株全株を順次売却すると報じたが、2ヶ月以上経ってもその動きは報じられていない。金融畑出身で日産を執拗にルノーに吸収統合させることに執念を燃やすマクロンは容認しないだろう。
 
ただ、日産に西川社長に続く愛社精神に燃え、才覚ある人物がいるかどうかはわからない。
治外法権国に所在するルノーサムスンを日産が経営することになれば、再び、倒れ込むことだろうが・・・。
ルノーサムスンは、ローグが空く分をルノーの新戦略車「XM3インスパイア」を生産させる予定であったとされるがストが続き、今ではスペイン工場で生産させることが濃厚となっている。
 
韓国製品は日本製品よりコスパが優れ、台頭してきた。しかし、そのコスパは文政権による最低賃金の大幅増と、労働組合の賃上げでもろくも崩れ去る段階に至っている。コスパ・性能・品質面でも、中国勢が韓国の主要製品を圧倒してきている。半導体取ったら何が残るのだろうか。
中国勢の自動車も現在はまだ輸出は100万台程度であるが、5年後10年後にはどれほど輸出されているだろうか。
韓国勢は、世界販売台数が伸びない中、工場ばかり造っても体力を消耗するばかりだ。現有の韓国工場の多くを捨てる気だったら別だろうが・・・。
選択と集中はルノーにぴったりではなかろうか。

 
[ 2019年4月23日 ]

 

 

 

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