アイコン 韓国 私募債の危機 江原道レゴランドの不渡りが信用不安増幅 資金調達非常事態・・・


韓国では、江原道レゴランドの建設のために2020年11月に発行したプロジェクトファイナンス(PF/発行時、最高のA1評価)資産流動化企業手形(ABCP/資産担保のコマーシャルペ―パー)が不渡りとなり、触発された金融市場の不安が日増しに悪化し、韓国の債券市場が麻痺状態に陥っているという。

投資家の信頼が崩壊し、債券売りが殺到しているが、買い越しの勢いが失われ、企業手形(CP)と債券市場が資金調達機能を失った。
このような状況が続けば、企業の流動性が急激に悪化し、相次ぐ倒産危機に追い込まれかねないという懸念が大きい。

企業の多くがCPを発行し市場から資金調達しているが、CPが市場で消化されなければ、金融全体が硬直化する。CPの実質借り換えを目的に発行したりしており、CPが消化されず資金調達ができなければ、金融機関からの借り入れでCPを決済する必要がある。金融機関が対応しなければ、企業は発行したCPを決済できず不渡り=デフォルトに陥る。

江原道レゴランドは、江原道春川市の湖畔の33万㎡の敷地に開発、開発主体はアトラクション施設運営で世界第2位の英マーリン・エンターテイメンツのグループ社と韓国内の投資会社数社が投資して開発され、今年5月にオープンしたばかり。ただ、マーリン社が不動産開発に関係しているとは考えにくい・・・。開業した施設そのものは集客好調に推移している。

20日、韓国の金融投資協会によると、最上位信用等級であるA1基準CP 91日物金利は同日、年4.1%で取引を終えた。前日、年4.02%を記録し、リーマン・ショック当時の2009年1月28日の年4.09%以来初めて年4%台を突破したのに続き、この日も急騰傾向を続けた。

CP=コマーシャルペーパー、優良企業が資金調達を目的に、オープン市場で発行する割引方式の無担保約束手形。

 

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PF流動化証券市場はさらに深刻 
PF流動化証券(プロフィットファクター、発行債権の評価システムを応用した有価証券)
ソウル黒石9区域の再開発PF貸出資産担保付短期債(ABSTB)借換金利は、1ヶ月前は年3.34%だったが、19日は年7%に跳ね上がった。相当数のPF流動化証券は借り換えができず、証券会社が抱え込んでいる。
このような状況で、証券会社と運用会社が金利上昇にともなう損失を防ぐために債権売却に乗り出し、これは再びCPと債権金利を押し上げる悪循環が起きている。
ある証券会社関係者は「買収税はなく債権売物だけが積もっている」と話した。一部では、数十兆ウォン規模の買戻し条件付き債権(RP)償還要請が急増し、証券会社が流動性危機に陥りかねないと憂慮している。

韓国政府は20日、資金市場の麻痺への懸念が高まり、1兆6000億ウォン(約1600億円)の債券市場安定ファンドを本格的に投入することにした。
しかし、資金市場の不安を解消するには、至らないというのが専門家たちの反応。
サムスン証券の研究員は「新型コロナウイルス感染拡大の時に効果を得た韓国銀行のRP買い入れなど追加対策を考慮しなければならない」と話した。

韓国電力公社の発行債も売れ残る
17日、最高信用格付け(AAA)の韓国電力公社(政府と政府関係者が過半を持つ半官半民会社)が利回り5.75%と5.9%を提示して合計4000億ウォン規模の債券(2~3年物)を発行しようとした。だが、1200億ウォン(約126億円)分は投資家=買い手が見つからず取引が成立しなかった。
韓電は、莫大な赤字と石炭・石油・天然ガスのエネルギー原価の急上昇で資金調達が急務となっている。韓電は相対的に信用格付けが低いAA-級社債よりも多くの利子支給を約束したが、先月から売買不成立が頻繁になるなど投資家集めに困難を強いられている。

SKハイニックスも利息高で販売
20日、韓国金融決済院によると、前日SKハイニックスの1年満期手形調達金利が年5.34%に達した。先月初め、年4.59%(格付けAA級評価金利基準)から1ヶ月ぶりに0.75%も上昇した。
SKハイニックスのような優良企業はまだ事情が良い方だという。
信用格付の低い企業は、金融機関の保証なしには手形(CP)を発行しにくいのが実情。社債など長期資金市場も、同時に厳しくなっている。
SKレンタカーは、300億ウォン(約30億円)規模の1年6ヶ月満期の社債発行のための需要予測を13日に執行したが、大規模未達で希望金利最上限である年6.11%にしてやっと資金調達できた。

韓国銀行(中央銀行)によると、国内信用スプレッド(信用債権金利と国庫債金利の差)は14日、1.14ポイント(信用AA-級基準)まで広がり、2009年9月以降最高水準を記録した。
企業の体力が弱まった状況で、金融市場が硬直化し、財務構造が急速に悪化する懸念も出ている。
韓国の上場企業の中で、財務諸表が公示された750社の総負債は、6月末現在、806兆6千億ウォンで、1年前の700兆7千億ウォンより15.1%増えている。
特に満期1年未満の短期負債は391兆2千億ウォンから469兆8千億ウォンへと20.1%、78兆6千億ウォンも急増している。

金融市場の資金の流れが詰まったのは、証券会社が流動性危機に追い込まれたことによるもの。
これまで証券会社は、2~3年満期PF債権を担保に建設会社または証券会社の保証を付けてABCPまたは資産担保付短期債(ABSTB)を数ヶ月単位で発行してきた。利子差益のためだ。 しかし、このような「回し止め」で資金が詰まっている。
レゴランド事態後、流動化債権金利が急騰し、借り換えが不発になる事例が出ている。 借り換えができなければ、証券会社は自分が保証した債券を抱え込まなければならない。

19日発行されたソウル黒石9区域再開発PF貸出ABSTB借換金利は、1ヶ月前の年3.34%から年7%へと2倍以上急騰している。
現代建設の連帯保証が付いているA1信用等級の債券でも、利子急騰をけられなかった。

先月、年5~6%台の金利で発行したイーベスト投資証券が保証するSGCETEC建設の京畿平沢市物流倉庫PF流動化証券借換の金利は、今月17日、年12.2%まで急騰した。

金利を上げても発行できない場合、通常約3ヶ月満期に回していた流動化証券を最近は10日、2週間満期で発行する事例も相次いでいる。

19日には全北完州郡が保証したPFABCPの満期が到来したが、投資家が借換を拒否、資金を回収し韓国投資証券がそのまま抱え込んだ。

年金基金共済会なども短期金融市場で資金を回収している。
銀行、キャピタル、貯蓄銀行、保険会社も流動性確保に総力戦を繰り広げている。

信用評価業界によると、来週延長時期が近づく8250億ウォン(約825億円)規模の遁村住公PFを含め、年末までに34兆ウォン(約3兆4千億円)の流動化証券の満期が到来するという。満期がますます短くなり、一日の借り換え規模はますます大きくなる可能性が高い。

証券会社は、毎日非常対策会議を開き、投資機関を訪ねて泣き叫んでいる。
大型証券会社関係者は「PF流動化証券を借換発行するために日々が戦争」とし「来週超大型借換物を含め満期債権が相次いで戻ってくるため、このままでは黒字倒産するところが出てくるかもしれない」と伝えた。

専門家たちは、特段の対策作りが急がれると指摘した。ナイス信用評価SF評価本部のイ·セチャン本部長は「まだ証券会社の流動性で借換発行物量が難しく、消化されているが、来月に物量が集中していて危険だ」として、「政策当局の早急な対策準備が必要だ」と話した。
以上、韓国紙参照

すでに、韓国では私募債の発行が消化不良を起こし、新規発行の多くが頓挫しているという。外資の流動性資金が米金利高・ウォン安により韓国から逃げ、資金が回転しなくなっている可能性もある。借り換えはさらに深刻と見られている。

韓国は貿易立国、その貿易がエネルギー資源高、ウォン安により、買入価格が高騰し、貿易収支も赤字に落ち込んでいる。これまでリードしてきた半導体が米金利高、為替安防止に対抗した各国の金利上昇、企業の投資活動を圧迫し、世界経済は危機にいたっている。
そうしたことをすでにSOX半導体先物指数でも、バルチック海運指数でも明らかになっており、SOXは昨年12月から半減し、半導体メーカーは多くが生産調整に走っている。それほど、ユーザーも商社もメーカーも在庫を抱え、価格が大幅に落ちており、それでも総じて輸出額は増加しているものの、それを大きく上回って輸入が拡大し、韓国の貿易収支を悪化させる原因ともなっている。

SKハイニックスが新工場の建設計画を先送りし、各社の物流センターさえ工事が中断されている。5年間で倍になった首都圏の不動産価格は、金利上昇に下がり続けており、急激にバブル崩壊の危機にある。

証券投資も米金利高による外国人投資家の売りに対して個人が購入してきた証券市場も下がり続け、個人投資家も多くの含み損を抱え込んでおり、新たな投資どころはないのが実情。
SKの冠を呈した企業でさえ6%以上の金利を払わなければ発行債の購入者がいないとはかなり深刻なようだ。

仮想通貨も同じく下位圏を行ったりきたりしており、底割れする危険性も秘めているものの、これまで見切り千両を実施しなかった仮想通貨投資家たちは大きな含み損を抱え込んでいる。

大手企業に対する貸出金利も、韓国銀行の基準金利が3.0%まで上昇し、4.0%となっており、住宅担保ローンにいたっては9月までに7.0%を突破しており、10月に0.5ポイント基準金利が上昇し、現在はさらに上昇している可能性もある。
そんな金利で住宅を購入することは困難、不動産バブル崩壊は現実のものになってきている。
不動産価格が下がれば、家計負債残の8割以上/6月末の家計負債残1869兆ウォンの不動産担保ローンの担保不動産の価値下落により追証もしくは一部返済、もしくは銀行による担保物件の強制処分、金融機関における資金の固定化、新規貸出縮小の経済悪化の悪循環に陥る可能性もある。

文在寅政権が、上昇する不動産価格を沈静化させるために、机上しか経験のない左派の学者に不動産政策を委ねた結果、5年間で倍の価格にしてしまった。
文政権は社会主義政権、不動産の再開発を規制してマンションを供給不足に陥らせる一方、購入者が買えないように金融や税で締め付けたが、タマ不足から需給バランスを大きく崩し、必然的に不動産価格は急騰してきた。その是正に動いたのは文政権末期だった。
不動産価格の急騰により働き世代はマンションの購入ができなくなり、マンション購入ができるように一攫千金を夢見て証券市場や仮想通過市場に借金までして流れ込んでいだ。

 それでも韓国場合、賃金も上昇しており、電力価格も政府が補助し、消費者の需要を喚起させれば、内需が拡大し、国内での循環型経済規模が大きくなり、持ち堪える可能性もある。
 日本はアベノミクスで空前の利益を出しながら、経団連のご要望に応え賃金を上げない政策に終始し、一方で消費税増税を行い、2018年までは社会保険料も料率を上昇させ続け、僅かなインフレでも実質賃金がマイナス、循環経済など亡霊のようだ。
今になって「賃金を上げよ」と日商会頭が言っても、聞く耳を持つ財界企業はほとんどいないだろう。

よそごとではない。
超低利融資の大金融緩和、法人税減税、非正規雇用の拡大だけではなく、姑息にも不正までして利益を大出し、その利益を従業員にいっさい還元するわけでもなく、新規工場投資や生産性向上の投資にまわすわけでもなく、内部留保に務め、サラリーマン経営者自らの延命工作のために株主還元に終始してきた経団連の経営者たち。
日本は経団連会長を旧財閥系の日立や住友化学・東レから変えなければ救われない。
また、定年制を反故にした自民党のABC、再度、定年制に戻し、棺桶に片足突っ込みボケ防止のために議員活動死、ご隠居支配する老体議員たちを一掃する必要があるのではなかろうか。
変わらなければ変われない。
企業についても過保護せず新陳代謝を求めなければ、生産性、生産の効率化など図るわけがない。困らなければ智慧も出さない・出てもこない。皆で渡れば怖くないは日本の常識、世界の非常識。


スクロール→

貿易立国・韓国の交易収支

SOX

/百万ドル

輸出

貿易収支

経常収支

半導体指数

21/10

55,662

1,821

6,950

3,451

21/11

60,352

3,000

6,820

3,833

21/12

60,730

-452

6,060

3,946

22/1

55,316

-4,830

1,810

3,483

22/2

53,910

830

6,420

3,429

22/3

63,478

210

7,060

3,429

22/4

57,690

-2,480

-80

2,919

22/5

61,520

-1,610

3,860

3,098

22/6

57,730

-2,580

5,610

2,556

22/7

60,700

-4,800

790

2,967

22/8

56,670

-9,490

-3,050

2,677

22/9

57,460

-3,700

 

2,306

1021

 

 

 

2,336

SOX指数は月末の指数

 

[ 2022年10月24日 ]

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