アイコン 救いようのない韓国ルノーサムスン自動車労組 撤退あるのみ

 

 

韓国自動車業界で日産の小型スポーツ用多目的車(SUV)ローグは「ゴーンの贈り物」と呼ばれる。
ルノーサムスン自動車のローグ受託生産契約の獲得においてカルロス・ゴーン元ルノー・日産アライアンス会長の役割が大きかったため生まれた言葉。
ルノーサムスンは2013年当時、販売減から経営が苦しくなり、ゴーン采配により救済目的で日産ローグの委託生産を開始していた。

ルノーサムスン釜山(プサン)工場は2014年から対米輸出用ローグを受託生産している。昨年ルノーサムスン釜山工場で生産した車両21万5809台のうち49.7%の10万7262台がローグだったほど大きな比重を占めている。
ローグ受託生産の契約は今年9月に終了する。
これまで国内自動車業界はルノーサムスンが無難にローグの次期製造を契約できると観測してきたが予想外の突発的変数が生じた。それが、労働組合の長期ストライキ。

ルノーサムスンは、国内完成車5社の中で唯一、昨年の賃金および団体協約交渉を終えられなかった。
同社の労組は昨年10月から28回ストライキしている。

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ルノー本体のロス・モザス仏ルノーグループ製造総括副会長が、「労組がストライキを継続すれば、新たな製造車種を提供できない」という最後通告を送った。

ルノーサムスン労組は、韓国完成車業界で「模範生」で通っていた。ともするとストライキする他の完成車業者の労組とは違い合理的な指向を見せていた。
2015~2017年には3年連続ストライキなしに賃金交渉を終えた。
ルノーサムスン労組が変わったのは昨年下半期から、労組は、基本給を大幅に上げるよう要求し、使用者側は拒否した。
昨年12月に新しい労組委員長のパク・ジョンギュ氏が就任し、労組は更に強硬になった。
パク委員長は、2011年にルノーサムスン職員50人余りを集めて既存の労組(上級団体に所属していない企業労組)とは別に、より強硬派の全国民主労働組合総連盟ルノーサムスン支会を設立した。パク委員長は就任直後、ルノーサムスン労組を民主労組に加入させると公言していた。

ルノーサムスン労組は、昨年10月から今月7日まで28回にわたり部分ストを行った。累積ストライキ時間は104時間。5000台程度の生産支障が発生したと分かった。
ルノーサムスンの1ヶ月生産量(2万台余り)の25%に及ぶ規模となる。
今年1月からは、ストライキ時間も増えている。
昨年には、昼間組と夜間組が2時間ずつ部分ストライキするのが一般的だったが、1月からは4時間ずつストライキしている。

同社の労使臨時団体協議の核心の争点は、基本給引き上げの可否。
ルノーサムスンは、基本時間給を2016年3万1200ウォン(約3,050円)、2017年には6万2400ウォンに上げた。
労組は、これまで良い実績を収めた分、基本給を10万667ウォン上げるように要求した。
加えて自己啓発費の2万133ウォン引き上げと、特別激励金300万ウォンを支給するように主張している。
これに対して会社側はルノー本社とローグの次期生産台数配分交渉を行わなければならない時期であるため基本給の引き上げは難しいとしている。
使用者側は、代わりに基本給維持補償金、生産性激励金支給などで補償することを提案している。

ルノーサムスンの関係者は「2014年に釜山工場と日産の日本・九州工場がローグの生産台数配分をめぐり競合した時も釜山工場の平均人件費が低かったが、最近の調査で釜山工場の平均人件費の方が20%ほど高いことが分かった」とし、「このような状況で基本給まで上がればローグの次期生産台数を獲得することは事実上不可能だ」としている。

自動車業界関係者はモザス副会長の公開警告はおだやかではないと憂慮している。
ルノーサムスン釜山工場が、すでにローグ次期生産台数配分候補から外れたのではないかという観測まで出ている。
ルノーサムスンの親会社のルノーCEO会長だったゴーン元会長(所得の申告漏れなどの容疑で日本で拘留中)が失脚したことによる。

憂慮が現実になればルノーサムスンの売り上げは半分になる。
昨年、釜山工場で生産した物量の半分ほどが消える。
営業利益を出せるかも不透明。
ルノーサムスンは、輸出用ローグの生産物量を委託される直前の2011~2012年に内需不振のため赤字を出していた。
仕事が急減すれば、大規模な構造調整が避けられないというのが業界の見解。
業界では、4000人水準の釜山工場の人材のうち半数ほどが職場を失うかも知れないと予測している。
以上、韓国経済新聞参考
文政権になり、労働組合に加盟する人たちが急増している。
元々韓国には韓国労総があるが、より強硬派の民主労組が急激に勢力を伸ばし、現在では加盟員数が各100万名ずつと双璧となっている。韓国労総にしても決して労使協調路線の組合ではない。
こうした労働組合は産業別に組織されているが、中でもストで賃上げを迫る自動車産業の組合は、別次元の最も過激な団体となっている。
組合も武装勢力と同じで、より過激な勢力が伸ばす。トランプのツイッター砲も同じ手法だが・・・。
日本の連合のような骨抜き労働組合ではまったく意味をなさないが、韓国の労働組合は武装勢力と一緒で過激、民主労総は12月にはゼネストを敢行したほど。
そうした労組がルノーサムスンに蔓延っており、もう収拾は付かず、ルノーは本体が健全なうちにルノーサムスンを破綻させ、撤退するしかないだろう。

サムスン電子は労働組合を作らせなかったとされ、文政権になり、調査を受けていたが、文政権としても、雇用問題を抱え、敵対するより雇用を増やさせたほうが得策として、追求を封じている。
それでも、これまでにサムスンの62系列会社のうち8社に労働組合が作られ、サムスン電子にも労働組合が結成された。サムスン電子には労働組合対策に通称「労組破壊文書」があり、労働組合を御用化させていたという。
今回は過激な民主労組で結成され、李在鎔副会長に一方的に面談を申し入れ、会社側が設置したバリケードを突破して揉みあいになった。それほど、異次元の韓国の労働組合をオーナー一族は嫌っている。

ゴーンから乳離れした日産は、今後、ルノーの言いなりにはならず、ルノーサムスンに労働組合がストを打つほどに明日が見えなくなる。
(日産はルノーの立場のゴーンから、ルノーサムスン救済の発注及び、フランス国内の稼働率が悪化していたルノーの工場で日産車を造らせ、ルノー本体の連結経営を大幅に改善させ、高く評価されていた。)
当然、日産は、自社の利益を最大化することで、ルノーとのアライアンス提携を平等な立場で行使させていくものと見られる。
そのためにもルノーの筆頭株主のフランス政府の持株はルノーに直接介入してくることから邪魔であり、ルノーの日産持株比率と日産のルノーに対する持株比率との不公平な関係も是正する動きをさせている。

 

ルノーサムスン販売台数推移 (ルノー80%の持株比率)
/千台
世界市場
韓国市場
備考
2012年
154
59
 
2013年
131
60
経営不振
2014年
169
80
9月日産とOEM協定
2015年
229
80
協定期間19年9月まで
2016年
257
111
 
2017年
276
100
 
2018年
227
90
 
日産Rogue米国販売台数
 
 
千台
前年比
2016年
329
 
2017年
403
22.3%
2018年
412
2.1%

 

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[ 2019年2月 9日 ]

 

 

 

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