アイコン 2020年代で日本経済は行き詰る  絵が描けない日本

 

 

貿易赤字・貯蓄減少⇒海外資産減少⇒経常収支減少⇒国際収支赤字へ
ロイターは次のように掲載している。
2018年の経常黒字が3年ぶりに20兆円を割り込んだ。
貿易黒字の大幅減少が主因だが、安定的な所得収支の黒字を理由に、マーケットではこの動向を懸念する声はほとんどない。しかし、20年代後半に超高齢化による貯蓄減少が顕在化して経常赤字に転落するとの試算もある。
市場混乱を避ける「軟着陸」を図るには、先端技術を駆使した新ビジネスの創出が欠かせないと専門家は指摘するものの、足元で起きている貿易黒字の急速な収縮は、「稼ぐ力」の衰退の象徴だと指摘する専門家の声もあり、いつもの掛け声だけのパフォーマンスだけで、光明はなかなか見えない。

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<貿易より海外投資で稼ぐ時代>
「経常収支は、ライフサイクルと一緒。現役時代に働いて得た貿易黒字は、高齢化すれば減少し、海外で築いた資産からの貯蓄と利子で切り盛りしていくことになる」。
経済財政諮問会議の民間議員の1人、慶應義塾大学の竹森俊平・経済学部教授は、日本経済の現状を家庭の状況にたとえ、「一家の働き手」が引退しつつある状況であり、貿易黒字より経常黒字が重要になってきていると指摘する。
18年の経常黒字19兆円の構成をみると、海外投資からの配当・利子などの第1次所得収支が21兆円の黒字なのに対し、貿易収支は僅か1兆円の黒字にすぎない。
2011年の東日本大震災以降はエネルギー輸入が膨らみ、2015年まで貿易赤字が継続。その間、日本は2000年代半ばから着々と投資してきた海外資産からの所得収益を増やしてきた。
2016年以降、円安効果と原油安により貿易黒字が復活したが、もはやその規模は所得収支に遠く及ばない。

<20年代には国内貯蓄減少、海外頼みで経常赤字に>
しかし、経常黒字も、団塊世代が75歳以上となって超高齢化社会が現実になる2022年以降、その規模が徐々に減少し、赤字に転落する可能性があるとの見方が民間エコノミストの間では多い。
実際、経常黒字額の大部分を占める所得収支の黒字を支える対外資産残高は、ピークの2014年末から3年連続で減少している。
2018年末に回復したものの、2014年比で20兆円程度減少している。
ニッセイ基礎研究所の試算では、国内貯蓄の減少に伴い、経常収支は2027年度ごろから小幅赤字に転落する。
その試算によると、家計貯蓄率が2024年以降、高齢化の影響でマイナスが恒常化。企業の内部留保も、2020年代後半には設備投資増加や金利上昇、円高による付加価値減少などが予想され、減少傾向をたどる。

慶大の竹森教授は「当面は、所得収支で経常黒字が確保できるものの、貿易赤字が巨額となってくれば、経常黒字維持は難しくなる」と指摘している。
「貿易赤字拡大を防ぐには、輸出競争力が重要であり、そのためにも先端産業の強化が欠かせない」とみている。

<経常赤字の先に見える危険なシナリオ>
国内の貯蓄が減少して経常赤字に陥りかねないという状況は、単に国際収支上の問題にとどまらない。日本経済全体の状況が大きく変化しかねない危険をはらむ。
立正大学の池尾和人・経済学部教授は、「国内の貯蓄があるから、金融機関や日銀を通じて大量の国債が消化されている。財政の持続性への信頼が保てるか否かは、貯蓄がもつかどうか次第」だと解説する。
そして「2020年代に入れば、貯蓄が減少して様相が変わる。金利が上昇し始めたら、そこでどれだけ増税できるか、また歳出をカットできるか次第で、財政への信頼が失われることもある」と警告する。

日本総研の湯元健治副理事長の試算によると、2020年代の超高齢化社会では医療・介護といった社会保障費が膨張。その不足財源を全て消費税でカバーする場合、17%への消費税率引き上げが必要となると見ている。
それができなければ財政状況は一段と悪化し、日銀のテーパリングが始まる時期と相まって、長期金利の急上昇リスクが一段と現実化しかねないとみている。

巨額の債務残高が積み上がっている日本において、金融市場で低金利が維持されている背景には、経常黒字の存在やその背後に存在する巨額の対外純資産の存在がある。
また、8%と他の先進国と比べて低い消費税率の水準が、今後の引き上げ余地の大きさとして海外投資家の目に映り、財政改善期待が辛うじて残存しているということもある。
しかし、自動運転、AI(人口知能)、ビッグデータを使ったビジネスモデルの転換、プラットフォーマーに代表される収益率の高いビジネスモデル構築など、最先端のビジネス現場で、日本企業は米国などに大幅に後れを取っている。

ある民間エコノミストは、「先端技術を駆使したビジネスが育たず、このまま高齢化を迎えると、持続的な財政運営が難しくなるだろう」と指摘している。
足元で国債現物が品薄になっている短期的な市場環境とは正反対の状況が、いずれやってくるリスクに警鐘を鳴らしている。
以上、ロイター参照

拡大したままの大公共投資、円安による企業収益の拡大、その内部蓄積、尽きぬ株主還元策、一方、小泉時代から労働分配しない日本企業の体質変化=年金収入不足へ・健康保険料収入源へ、所得税収減少へ、貯蓄の少ない非正規雇用層が順次退職年齢へ、現代版ICT革命に投資しない先進国一周遅れの生産性、2030年には2000万人超減る65歳未満の人口、加速度的な貯蓄減少、海外資産の減少、増加するままの国債残の金利上昇、・・・日本破綻。・・・F-35を中古で売る日が来るかも。

 

日本の人口/万人
人口
65歳未満
高齢者率
14歳未満
2004年
12,784
10,278
19.6%
 
2015年
12,659
9,264
26.8%
1,582
2020年
12,410
8,797
29.1%
1,456
2030年
11,522
7,858
31.8%
1,200
2040年
10,727
6,859
36.1%
1,073
2050年
9,515
5,747
39.6%
938
2060年
8,674
5,213
39.9%
791
・増加するのは現在大喜びしている公共投資のツケの国債残高ばかり。どうすんだろ。 

 

 
[ 2019年3月 9日 ]

 

 

 

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