世界を席巻してきた韓国勢TVも中国勢に抜かれる
韓国では液晶TVが中国に抜かれたと悲鳴を上げている。韓国がこれまで首位だった分野が次々と中国勢に奪われている。
韓国勢は、すでに液晶ディスプレイは2017年に中国にその座を奪われ、有機ELに軸足を移しているが、スマホの装着率はAPPLEが採用したことで飛躍的に伸びているものの、TVの世界では、まだ圧倒的に液晶TVの出荷量が多い。
有機ELディスプレイは高額スマホのシンボルになっているが、液晶も高性能化しており、世界市場が経済低迷に陥る中、高級路線の有機EL-TVが市場を席巻するほどに成長するには、まだかなりの時間を要する。(有機ELの生産歩留率が大型になるほど悪く、生産コストが上昇する)
過去、日本勢がポイント還元のエコP家電で国内で現を抜かす中、韓国勢が液晶市場を占有、日本は大型高級路線で生き残りをかけたが、中小型で力を付けた韓国勢に大型高級市場でも駆逐された。
歴史は繰り返し、韓国勢が支配した世界のTV市場で、中国勢が猛烈に追い上げ、液晶TVでは、ついに昨年(1~9月)に、中国勢が追い抜かれた。
有機EL-TVの大型ディスプレイの量産技術はLGとサムスン電子にしかなく、LGが圧倒している。そのLGは中国に大型有機ELディスプレイ工場を造っており、今年か来年には操業が開始される。
LGは中国への当工場進出時、知的財産権問題を抱えていたことから、生産技術を中国側に開示した可能性すらある。そのブーメラン現象は以前よりかなりのスピード迫り、どっち道、有機EL分野でも中国勢が台頭することになる。
また、日本勢のTVメーカーの有機EL-TVは、ディスプレイをLGから仕入れ、TV生産されている。中国勢もLGからディスプレイだけ購入し、中国製有機EL-TVが市場占有率を高めることも想定される。(有機EL中小型TVは中国勢もラインアップしている)。
韓国勢が有機EL-TV市場を開拓し、中国勢が果実を頂く、スマホ市場のように。
TVの精密度は、医療画像ではあるまいし、あまり精密度が高くなっても、庶民の視聴に関係ない世界に行き着いている。そうしたところにも低賃金コストの中国勢が、賃金コストがさらに上昇中の韓国勢より優位で立つことになる。
LCD(液晶)TV販売台数推移/調査会社:IHS版
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2016年
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2017年
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2018年
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万台
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万台
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1~9月
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シェア
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中国
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6,599
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5,810
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4,856
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31.9%
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韓国
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7,473
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6,908
|
4,658
|
30.6%
|
日本
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2,022
|
3,469
|
2,218
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14.6%
|
欧州
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530
|
588
|
421
|
2.8%
|
米国
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868
|
630
|
358
|
2.4%
|
台湾
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400
|
372
|
289
|
1.9%
|
その他
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3,256
|
3,570
|
2,413
|
15.9%
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合計
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22,150
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21,350
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15,213
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100.0%
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QLCD(有機EL)TV
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260
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100.0%
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